1947年創業の輸入楽譜・音楽書専門商社、アカデミア・ミュージック(株)(東京都文京区)が、2026年10月6日に東京地裁へ破産を申請し、翌7日に同地裁から破産手続開始決定を受けた。負債総額は約3億7,000万円。
同社はドイツやフランスなどから輸入したクラシック音楽の楽譜や専門書を取り扱い、大学、楽器店、音楽研究者、演奏家などを顧客として事業を展開。2001年12月期には売上高約3億8,353万円を計上していたが、輸入楽譜の需要減少などで長期的な減収傾向が続き、2020年12月期には売上高が約1億7,844万円まで縮小していた。
2026年5月には東京都文京区本郷の実店舗を閉店し、ネット通販を継続していたものの、同年9月末に事業を停止した。
創業79年、約5万冊を扱った国内有数の輸入楽譜専門店
アカデミア・ミュージックは1947年5月に創業し、1952年1月に法人化した老舗の輸入楽譜・音楽書販売会社。資本金は1,000万円。
クラシック音楽の楽譜を中心に、作曲家全集、研究用の専門書、原典版、自筆譜の復刻版など、一般の書店では入手が難しい商品を幅広く取り扱っていた。
2020年に紹介された店舗情報では、約5万冊の輸入楽譜・音楽書を揃えており、専門性の高い品揃えを特徴としていた。
ドイツやフランスなどの海外出版社から商品を輸入し、音楽大学や研究機関、楽器店などにも販売。法人向けには研究費、図書費、科学研究費などを利用した購入にも対応していた。
また、楽器店や書店への卸売販売を手掛け、国内の音楽専門卸商社や取次会社を通じた商品供給も行っていた。実店舗だけでなく、法人向け販売や通信販売にも営業基盤を築いていた。
年商3億8,353万円から1億7,844万円へ 売上高は約53.5%減少
業績は2001年12月期に売上高約3億8,353万円を計上していたが、その後は輸入楽譜の需要減少を背景に減収傾向が続いた。
2020年12月期の売上高は約1億7,844万円となり、2001年12月期と比較すると約2億509万円、率にして約53.5%減少。同決算期には約3,609万円の赤字を計上し、債務超過に転落していた。
売上規模が長期間にわたり縮小するなか、財務基盤も弱体化していた。
近年は円安による海外出版社からの仕入コスト上昇に加え、大学などの予算縮小や楽譜の電子化が進行。紙媒体の輸入楽譜を中心とする従来の販売形態には厳しい事業環境が続き、業況の回復が遅れていた。
海外出版社からの取り寄せ商品は、為替相場や版元の価格改定によって販売価格が変動する場合があり、同社も公式通販サイトでこうした仕入条件を案内していた。
40年以上続いた専門情報誌「アカデミア・ニュース」も2024年に休刊
同社は楽譜や音楽書の販売にとどまらず、出版・音楽情報の発信にも取り組んでいた。
1980年3月には輸入楽譜・音楽書の専門情報誌「アカデミア・ニュース」を創刊。新刊楽譜の紹介や専門的な解説記事を掲載し、音楽研究者、演奏家、愛好家などに向けて情報を提供していた。
同誌は創刊から40年以上発行されていたが、2024年の第422号をもって休刊。長年続いた紙媒体による情報発信にも区切りが付けられていた。
一方、公式サイトではその後も輸入楽譜の新刊案内や独自の解説記事、アカデミア出版の刊行物紹介などを続けていた。
2026年5月に本郷の実店舗閉店 ネット通販の継続を図る
経営環境が厳しさを増すなか、同社は2026年5月に販売体制を大きく変更した。
同年5月12日にネットショップをリニューアルし、商品検索機能や決済方法などを刷新。その11日後の5月23日には、長年営業してきた東京都文京区本郷の実店舗を閉店した。
実店舗の閉店に際しては、ネット通販で使用できる割引クーポンを配布するなど、従来の店舗利用者を通販へ誘導する取り組みも行っていた。
5月28日には実店舗の閉店作業に伴い、通販商品の発送や問い合わせ対応に遅れが出ていることを告知。その後もネット通販を続け、8月には夏季休業期間中の注文・発送予定を案内していた。
さらに、9月25日付の公式サイトには輸入楽譜や音楽書を紹介するメールマガジンの記事が掲載されており、事業停止直前まで商品情報の発信が続いていたことが分かる。
しかし、通販への販売体制の転換によっても経営の立て直しには至らず、9月末に事業を停止した。
10月7日に破産開始決定 負債3億7,000万円
アカデミア・ミュージックは2026年10月6日に東京地裁へ破産を申請し、翌7日に破産手続開始決定を受けた。
破産管財人には、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業の築留康夫弁護士が選任されている。
負債総額は債権者約70人に対し、約3億7,000万円とみられる。
同社のネットショップは現在メンテナンス中と表示されており、注文や問い合わせを受け付けていない。保有していた輸入楽譜・音楽書の在庫や自社出版物の今後の取り扱い、事業の承継先などは確認できていない。
創業から79年にわたり、日本国内で入手しにくい海外の楽譜や専門音楽書の供給を担ってきた老舗企業が、事業の終了を余儀なくされた。
アカデミア・ミュージックの会社概要
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法人名 |
アカデミア・ミュージック株式会社 |
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所在地 |
東京都文京区 |
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創業 |
1947年5月 |
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法人設立 |
1952年1月 |
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資本金 |
1,000万円 |
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主な事業 |
輸入楽譜・音楽書の小売、卸売、通信販売、出版 |
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2001年12月期売上高 |
約3億8,353万円 |
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2020年12月期売上高 |
約1億7,844万円 |
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2020年12月期損益 |
約3,609万円の赤字、債務超過 |
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実店舗閉店 |
2026年5月23日 |
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事業停止 |
2026年9月末 |
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破産申請 |
2026年10月6日・東京地裁 |
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破産手続開始決定 |
2026年10月7日・東京地裁 |
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破産管財人 |
築留康夫弁護士 |
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債権者数 |
約70人 |
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負債総額 |
約3億7,000万円 |
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法人番号 |
2010001000260 |