オーストラリアの金融大手ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は2026年10月20日、2027会計年度中に最大2500人分の職務を削減する計画を発表した。従業員の約6%に相当する規模で、このうち最大1500人分を2026年末までに削減する方針。組織の簡素化や重複業務の解消を進め、経営効率の改善を図る。
NABはオーストラリアの主要銀行「ビッグ4」の一角を占める大手金融機関。2025年9月末時点の従業員数は約4万1880人に上る。今回の削減計画は同行の管理部門を中心とした大規模な組織再編となる。
本社・管理部門を中心に削減 再編費用は約3億豪ドル
今回の削減では、本社・管理部門や上級管理職などが主な対象となる。管理階層の縮小や業務の重複解消によって組織を簡素化し、意思決定の迅速化を進める。
一方、支店窓口など顧客対応業務への重大な影響は想定していない。また、外部コンサルタントや契約業者への依存も減らし、人件費以外を含めた経営コストの圧縮を図る。
組織再編に伴う費用は2027会計年度に税引き前で約3億豪ドルを見込む。同行は影響を受ける従業員について、配置転換や再訓練、再就職支援などを進める方針としている。
なお、最大2500人という数字は削減計画の上限であり、退職が確定した人数ではない。
競争激化と技術革新に対応 成長分野への投資を強化
NABは組織再編の背景として、競争の激化や顧客ニーズの変化、急速な技術革新などを挙げている。重複業務の削減と生産性向上によって経営資源を確保し、法人向け銀行業務や預金、住宅ローン、技術関連分野への投資を強化する。
金融業界ではデジタル化に伴う業務の見直しが進んでいるが、今回の削減計画について、人工知能(AI)による直接的な業務代替が何人分に相当するかは明らかにされていない。
競合ANZも約3500人削減を計画 銀行業界で合理化相次ぐ
オーストラリアの銀行業界では、大手金融機関による人員削減が相次いでいる。
競合するANZグループ・ホールディングスは2025年、約3500人の人員削減計画を発表した。組織の簡素化や重複業務の解消を進め、経営効率の改善を図る内容となっている。
NABとANZがそれぞれ発表した削減計画を単純合計すると、最大約6000人の規模となる。ただし、両行では発表時期や実施期間が異なり、実際の退職確定人数を示すものではない。
NABの今回の計画については、金融業界の労働組合からも懸念が示されている。従業員の雇用や残る職員の業務負担などが今後の焦点となる。
同行は2027年9月末までの2027会計年度中に削減計画を進める方針。大手銀行による相次ぐ人員削減は、豪州金融業界で経営合理化と雇用構造の見直しが進んでいることを示している。