北海道は2026年10月14日、帯広市の十勝医療生活協同組合に対し、消費生活協同組合法第95条第3項に基づく解散命令を出したと発表した。命令は10月7日付。同組合は正当な理由なく1年以上事業を休止し、道が2025年11月に発した事業再開命令にも従わなかった。
同組合は、帯広市内の「帯広記念病院」を2016年5月に開院した旧運営主体。同年10月1日に病院事業を医療法人社団あすなろ会へ譲渡しており、現在の病院運営とは法人が異なる。今回の解散命令は旧運営主体である十勝医療生活協同組合に対するもので、帯広記念病院の閉院や現在の運営法人への解散命令を意味するものではない。
1年以上事業休止、再開命令に従わず解散命令
北海道によると、十勝医療生活協同組合は正当な理由なく1年以上事業を休止していたため、2025年11月10日付で事業再開命令を受けていた。
道は2026年5月11日までに、定款に定める事業を再開するとともに、再開した事業の内容が分かる関係書類を提出するよう求めていた。しかし、組合は指定された期限までに事業を再開せず、命令に従わなかった。
このため道は、消費生活協同組合法第95条第3項の規定に基づき、10月7日付で組合の解散を命じた。
組合の法人番号は8460105000197。登記上の所在地は帯広市川西町となっているが、道は現在この所在地に同組合の事務所はないと説明している。
帯広記念病院は2016年に開院、約5カ月後に事業譲渡
十勝医療生活協同組合は、帯広記念病院の開設に関わった法人。同病院は1998年に北海道から開設許可を受け、2005年には建物が完成したものの、資金面の問題などから長期間開院に至らなかった。
その後、施設改修などを経て2016年5月2日に開院した。しかし、開院から約5カ月後の同年10月1日、十勝医療生活協同組合は帯広記念病院の事業を医療法人社団あすなろ会に譲渡した。譲渡額は1,200万円だった。
同病院については、2026年3月19日更新の厚生労働省「医療情報ネット」でも、正式名称が「医療法人社団あすなろ会帯広記念病院」、開設者が医療法人社団あすなろ会とされている。
したがって、今回解散を命じられた十勝医療生活協同組合と、病院の現在の開設者である医療法人社団あすなろ会は区別する必要がある。行政処分の対象となった組合が、現在も帯広記念病院を運営していたわけではない。
2020年以降、総代会未開催や決算書類未提出で改善命令
北海道の過去の公表資料によると、同組合は今回の解散命令以前にも、組合運営に関する複数の改善命令を受けていた。
2020年3月の措置命令では、主たる事務所の未設置、総代選挙の未実施、通常総代会の未招集、役員の未補充、決算関係書類の未提出が指摘されていた。
道の調査では、総代選挙は2015年12月、通常総代会は2017年6月を最後に実施されていなかった。また、2017年6月に理事4人、監事2人が辞任したものの、必要な役員の補充が行われていなかった。
2021年3月には、通常総代会の未招集と決算関係書類の未提出を理由に再び改善命令を受けた。その後も2023年3月、2024年3月に同様の組合運営上の問題で措置命令が出されていた。
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年月日 |
主な動き |
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2016年5月2日 |
十勝医療生活協同組合が帯広記念病院を開院 |
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2016年10月1日 |
医療法人社団あすなろ会へ病院事業を譲渡 |
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2020年3月19日 |
事務所未設置、総代会未開催、書類未提出などで改善命令 |
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2021年3月8日 |
総代会未開催、決算関係書類未提出で改善命令 |
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2023年3月20日 |
組合運営に関する改善命令 |
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2024年3月22日 |
総代会未開催、決算関係書類未提出で改善命令 |
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2025年11月10日 |
1年以上の事業休止を理由に事業再開命令 |
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2026年10月7日 |
事業再開命令に従わなかったため解散命令 |
今回の処分は破産ではなく行政上の解散命令
今回の解散命令は、消費生活協同組合法に基づく行政処分であり、裁判所による破産手続開始決定とは異なる。
十勝医療生活協同組合の負債総額や直近の財務状況、解散命令後の具体的な清算手続き、組合員への出資金返還状況などについては、公表資料から確認できていない。
2016年に病院事業を譲渡した旧運営主体に対し、約10年後に解散命令が出された今回の案件。北海道の公表資料からは、組合運営上の問題に対する改善命令が長年繰り返され、最終的に事業休止と再開命令への不履行を理由として解散命令に至った経緯が確認できる。