【北海道】北電、老朽火力64.8万kWを2030年休廃止 音別は胆振東部地震で廃止を11年延期
北海道電力と北海道パワーエンジニアリングは、苫小牧市と釧路市で稼働する老朽火力発電設備について、2030年3月末に休止・廃止すると発表した。対象設備の定格出力は合計64万8,000kWに上る。
北海道電力の苫小牧発電所1号機25万kWと、北海道パワーエンジニアリングの苫小牧共同火力発電所3号機25万kWを休止するほか、北海道電力の音別発電所1・2号機計14万8,000kWを廃止する。
いずれも1970年代に運転を開始した設備で、北海道電力は設備の経年化が進んでいることを休廃止の理由としている。
| 発電設備 | 運転開始 | 出力 | 燃料 | 2030年3月末 |
|---|---|---|---|---|
| 苫小牧発電所1号機 | 1973年11月 | 25万kW | 重原油・天然ガス | 休止 |
| 苫小牧共同火力3号機 | 1974年4月 | 25万kW | 重油 | 休止 |
| 音別発電所1・2号機 | 1978年5月 | 計14.8万kW | 軽油 | 廃止 |
音別は2019年廃止予定だった
今回廃止時期が決まった音別発電所1・2号機は、もともと2019年2月に廃止される計画だった。
しかし、2018年9月の北海道胆振東部地震で、道東方面へ電力を供給する狩勝幹線、日高幹線、新得追分線などの送電設備が一時停止。狩勝幹線では一部区間で地崩れも発生した。
北海道電力は同年11月、道東方面の安定供給を確保するため、音別発電所の廃止を延期した。2019年度の供給計画では、それまで2019年2月としていた廃止時期を「未定」に変更している。
今回、2030年3月末とする廃止時期が正式に決まったことで、当初計画から約11年後まで運転が続くことになる。1978年5月の運転開始から数えると、廃止時には50年以上が経過する。
2030年度には石狩湾新港2号機58万kW
一方、北海道電力は2026年8月、LNGを燃料とする石狩湾新港発電所2号機に着工した。定格出力は58万kWで、2030年度の営業運転開始を予定している。
石狩湾新港発電所はガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル方式を採用。すでに1号機56万9,400kWが2019年2月から営業運転しており、2号機に続き、3号機58万kWも2033年度の運転開始が計画されている。
老朽火力64.8万kWの休廃止が2030年3月末、石狩湾新港2号機58万kWの営業運転開始が2030年度と、時期は近接する。ただし北海道電力は、今回休廃止する設備と石狩湾新港2号機を直接の代替関係とは説明していない。
苫小牧・厚真でも次期LNG電源を検討
北海道電力は石狩湾新港とは別に、苫小牧・厚真地域で次期LNG電源とLNG基地の整備も検討している。
2026年8月には次期LNG電源の環境影響評価手続きに向けた調査を開始し、9月28日には大型外航船の受け入れを想定したLNG基地の基本設計に着手した。基本設計は東京ガスに発注し、設備構成や配置、建設工程などを具体化する。
北海道電力は、この構想について、次世代半導体工場や大型データセンターなどによる将来の電力需要への対応に加え、既存の石油・石炭火力から低炭素・脱炭素電源への移行を目的としている。将来的にはLNGから水素やアンモニアなどへの燃料転換も検討する。
50年超の火力から次の電源へ
苫小牧発電所1号機、苫小牧共同火力3号機、音別発電所1・2号機はいずれも高度経済成長期からその直後に導入され、北海道の電力供給を支えてきた。
その一方で、2026年には石狩湾新港2号機の建設が始まり、苫小牧・厚真でも新たなLNG電源と基地の検討が具体化している。2030年前後は、北海道の火力電源構成が大きく動く時期となる。
なお、今回の発表では、休止・廃止に伴う従業員の配置や雇用への影響、設備撤去の時期、発電所跡地の利用方法などは明らかにされていない。





