香川県高松市の木造建築工事・プレハブ建築業者、東海工業株式会社(香川県高松市香川町川東上、法人番号:7470001002900)が、2026年11月2日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。負債総額は推定約5億円。帝国データバンク高松支店の調査で明らかになった。
同社は1971年設立の建築関連企業で、2011年から住宅事業を本格展開。「かがわの家.com」や「Maman高松」などの住宅ブランドを運営し、自然素材を使用した注文住宅の建築やリフォームなどを手がけていた。2012年5月期には年商約11億円を計上していたが、2023年には約1億円に減少していた。
大手住宅メーカーとの競争やコロナ禍における住宅イベントの自粛などで集客力が低下。さらに、金利上昇を背景とする住宅需要の停滞もあり、事業継続を断念した。
1971年設立、プレハブ製造から住宅事業へ進出
東海工業は1971年6月18日に設立された。資本金は4,000万円。もともとは製造業を中心に事業を展開し、プレハブの製造・販売などを手がけていた。
同社公式サイトによると、2009年には小規模な住宅修繕を手がけるなど建築事業への取り組みを進め、2011年には住宅事業を本格的に立ち上げた。
高松市を拠点に、自然素材を使用した注文住宅の設計・施工、住宅リフォーム、マンションの改修、店舗や商業施設の空間演出などを展開。土地探しや住宅資金計画も含めた住宅関連サービスを提供していた。
プレハブ事業では、建築用プレハブの製造・販売に加え、施設提案や海外事業に関するコンサルティングなども事業内容に掲げていた。
経済産業省のGビズインフォには、2021年2月16日付で国土交通省による505万円のプレハブ購入に関する調達記録も残っている。
「かがわの家.com」「Maman高松」など住宅ブランドを展開
住宅事業では「かがわの家.com」を屋号とし、自然素材とデザイン性を重視した注文住宅を提案していた。
公式サイトには、木材の風合いを生かした住宅「樹の家」、フレンチカントリー調のデザインを特徴とする「Mamanの家」、アンティーク調の住宅「ラフェルム」などの商品が掲載されている。
また、「Maman高松」の専用サイトも運営。同サイトの会社概要には運営会社として東海工業株式会社が明記されている。
高松市岡本町にはモデルハウスを設け、住宅の完成見学会や構造見学会、リフォーム相談会などを通じて集客を図っていた。
同社の公式会社概要によると、2026年8月1日時点の従業員数は9人。住宅事業のほか、プレハブ製造・販売などを事業内容に掲げていた。
なお、今回の事業停止が判明したのは東海工業株式会社であり、「Maman」ブランドを取り扱う他地域の住宅事業者が同様の法的手続きに入ったことを意味するものではない。
年商約11億円から約1億円へ、売上規模は約9割縮小
住宅事業を立ち上げた後、業績は拡大し、2012年5月期には年間売上高約11億円を計上した。
しかし、その後は大手住宅メーカーとの競争が激しくなり、住宅事業の営業環境が悪化した。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、住宅関連イベントの開催や集客活動が制約を受け、受注獲得に苦戦していた。
こうした状況から売上高は減少し、2023年には約1億円にとどまった。2012年5月期と比較すると、売上規模は約90.9%縮小した計算になる。
|
時期 |
年間売上高 |
状況 |
|
2012年5月期 |
約11億円 |
住宅事業の本格展開後 |
|
2023年 |
約1億円 |
競争激化、集客力低下 |
※帝国データバンクの調査情報を引用した報道に基づく。2023年の正確な決算期と2024年以降の売上高は確認できていない。
住宅事業の規模が大幅に縮小するなか、近年は金利上昇による住宅需要の停滞も重なり、経営環境は一段と厳しさを増していた。
事業停止直前の10月にも住宅見学会を案内
一方、同社は事業停止直前まで、住宅事業の販促活動を公式サイトで案内していた。
「かがわの家.com」の公式サイトには、2026年10月3~4日に香川県多度津町で完成見学会、10月17~18日には高松市国分寺町で「Mamanの家」の構造見学会を開催するとの案内が掲載されている。
また、10月15日には「Maman高松展示場がハロウィン仕様に」と題した記事を公開。季節に合わせて展示場を装飾した様子を紹介していた。
これらの情報から、事業停止の半月ほど前まで住宅展示場や見学会を活用した営業活動を案内していたことが確認できる。
ただし、各見学会が予定どおり実施されたか、当時の受注件数や建築工事の進捗状況などは明らかになっていない。
また、公式サイトに掲載されているモデルハウスなどの営業案内は事業停止以前の情報であり、現在の営業状況を示すものではない。
大手住宅メーカーとの競争、金利上昇による需要停滞も影響
帝国データバンク高松支店によると、同社は大手住宅メーカーとの競争によって集客力が低下し、コロナ禍の住宅関連イベント自粛なども営業活動に影響していた。
その後も十分な業績回復には至らず、金利上昇を背景とした住宅需要の停滞が重なったことで、事業継続が難しくなった。
住宅事業は2012年5月期に約11億円の売上高を計上していたものの、2023年には約1億円まで縮小。従来の事業規模を維持することが困難となっていた。
なお、直近の営業損益や金融機関からの借入金残高、設備投資負担などの詳細は明らかになっていない。負債約5億円の形成過程についても確認できていない。
負債推定5億円、11月2日に事業停止し破産申請準備
業績改善の見通しが立たないなか、東海工業は2026年11月2日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。負債総額は推定約5億円。
1971年の設立から55年。プレハブ製造を基盤に住宅事業へ進出し、自然素材を生かした注文住宅などを提供してきた地場企業が、経営を継続できなくなった。
現時点では自己破産申請の準備段階であり、裁判所への正式な破産申請や破産手続開始決定は確認されていない。
また、施工中の住宅の有無、契約者への対応、住宅保証の取り扱い、従業員の処遇などについても詳細は明らかになっていない。
住宅会社の競争環境と集客力低下を浮き彫りに
今回の経営破綻で注目されるのは、住宅事業の立ち上げによって年商約11億円を計上した企業が、約10年後には売上規模を約9割縮小していた点だ。
東海工業は自然素材住宅やデザイン住宅を特徴として、大手住宅メーカーとの差別化を図っていた。
しかし、調査会社は競争激化とコロナ禍のイベント自粛による集客力低下を経営悪化の要因に挙げている。
住宅会社にとって、モデルハウスや完成見学会は顧客との接点を確保するための重要な営業手段となる。こうした集客活動が制約を受けるなか、受注の回復につなげることが難しくなっていた。
さらに、住宅需要の停滞も経営環境を厳しくした。
同社は事業停止直前の2026年10月まで見学会などを案内していたが、業績の回復には至らなかった。地域密着型の住宅会社が、大手との競争や需要変化に対応しながら事業規模を維持することの難しさを示す事例となった。
東海工業株式会社の企業概要
|
企業名 |
東海工業株式会社 |
|
本店所在地 |
香川県高松市香川町川東上 |
|
法人番号 |
7470001002900 |
|
設立 |
1971年6月18日 |
|
資本金 |
4,000万円 |
|
主な事業 |
木造建築工事、注文住宅、リフォーム、プレハブ製造・販売など |
|
住宅事業の屋号 |
かがわの家.com |
|
住宅ブランド |
Maman高松、ラフェルム、樹の家など |
|
従業員数 |
9人(2026年8月1日時点・公式サイト) |
|
売上高 |
約11億円(2012年5月期) |
|
その後の売上高 |
約1億円(2023年) |
|
事業停止 |
2026年11月2日 |
|
法的手続き |
自己破産申請準備 |
|
負債総額 |
推定約5億円 |
関連記事・参考資料