アイコン 原弘産とサブプライムローン問題-生き残りへの厳しい道(3)

原弘産

不動産バブル崩壊(
一度あることは2度ある)―2
 
ところが、08年9月7日に至ると、不動産担保証券を5兆ドル(約500兆円、2社計)を保有する米政府系金融機関(GSE)のフレディマックとファニーメイが、サブプライムローン問題から担保価値が大幅下落に転じ、アメリカ政府の管理下になって一機にサブプライムローン問題が火を吹いた。

その3日後の10日には、リーマン・ブラザーズ証券が約65兆円の負債を抱え破綻。同日、危機にあったアメリカ三大銀行のメリルリンチが、バンク・オブ・アメリカの傘下となるなど08年9月は、サブプライムローン問題という活火山が大爆発した月であった。同時に世界同時大不況へ突入、原油も1バーレル150ドルを付けていたが、瞬く間に40ドルまで暴落した。

金融工学を駆使した金融資本主義が崩壊。アメリカではノーベル数学賞までもらうような金融工学が発達、商品・不動産・債権・先物等何でもかんでも証券され、それらを組み合わせたより複雑な証券が販売されていた。サブプライムローン破綻問題の頂点となったリーマン破綻後は、一機に証券市場を奈落底に陥らせ、株式や不動産・先物という信用の上に成立していた信用そのものが大きな収縮局面を向かえてしまった。世界的不動産バブルを演じていたドバイの証券市場は80%(ドバイの上場会社)も下落しているほどである。世界的には不況があらゆる業種に及んでおり、破綻・失業・消費不況と景気は悪化の大スパイラルに落ち込んでいる。またそれらの証券を保証していたAIG保険も実質破綻した。

これまでの世界的な景気拡大は、原油や穀物相場を値上がりさせた資金や新興国の貿易収支の黒字拡大による世界の資金がアメリカに集中していた。そのためすさまじい勢いで全世界に広がってしまった。
[ 2009年4月22日 ]
この記事の関連記事
スポンサードリンク
スポンサードリンク