アイコン 原弘産とサブプライムローン問題-生き残りへの厳しい道(5)

旨くいかない多角化路線
18年6月にはマンション管理事業の日本ハウズイングの買収をはかっている。日本ハウズイングはマンション管理で急成長を遂げ、大京アステージや東急コミュニティに匹敵する物件管理数を誇る会社。

しかし同社と創業家との内紛に乗じて一機に原弘産は、同社を買収しようとしたが、失敗に終わっている。この間核事業である分譲マンションの売れ行きに暗雲が垂れ込み始めていた。先述したプライムローン問題が日本へ影響、東京の不動産価格が急落、地方のマンションも、消費の冷え込みと供給過剰も売上不振に追い討ちをかけた。

 
同社はこれまで、上場メリットを生かし、社債発行や増資により資金調達、上場信用による金融機関からのスムーズな借入れもあり規模の拡大をはかってきた。これらは錬金術師のごとく行われた。その資金は、子会社設立や企業買収を活発化させ、開発物件や投資不動産及びシニア事業・風力発電事業へ向けられた。しかし、風力発電事業は事業を拡大させた分、費用が先行して収益事業には至らないまま、本業の不振により、同事業の見直しを迫られた。
不動産事業は、投資資金が大きく、どの社もこうした社債や借入に依存したものであり、一旦売上不振に陥ると一機に業績を悪化させる。
 
社債の85%カットによる特別償還成功^
 同社は中核事業の分譲マンション事業が販売不振で売上高が急減。借入金の返済や社債の償還金の捻出問題、減損および評価損問題など山となって問題が生じる。財務バランスさえ危いものとなってくる。09年2月期の有利子負債は、年商をはるか超えてしまった。そこで07年2月発行した新株引受権付社債(償還期2012年2月)の60億円を85%カットして特別償還することを決定、社債所有者の殆どの了解を得て実行に移された。結果、有利子負債が60億円減少して、51億円の特別利益が生じるという、すばらしい妙案の実行である。金融機関から債務免除を受けた会社、国から公的資金を受けた会社もそのまま上場しており、この妙案の実行そのものには何も問題はない。
なお、09年2月本決算残高では、1年以内に償還予定の社債関係は6億50百万円と上述の60億円計上、1年以内返済の長期借入金45億75百万円があり、短期借入金も169億66百万円も存在している。借入金の減少は、販売用不動産などの資産売却や利益でしか返済できない。まだ厳しさは続く。
 
                                 (千円)
決算年月
平成12年2月
平成13年2月
平成14年2月
平成15年2月
平成16年2月
平成17年2月
営業収益
2,898,969
3,849,613
6,300,197
6,847,670
8,485,384
10,093,759
経常利益
85,247
275,902
306,723
310,001
502,849
1,019,723
当期純利益
43,832
137,090
178,410
174,420
241,248
585,317
資本金
45,000
230,810
400,810
605,753
941,906
4,422,406
純資産額
174,599
487,785
860,995
1,146,012
1,657,512
5,752,199
総資産額
4,070,880
3,202,820
5,783,202
7,988,236
6,921,147
17,220,460
自己資本率
4.3
15.2
14.9
14.3
23.9
33.4
 
平成18年2月
平成19年2月
平成20年2月
平成21年2月
25,911,084
52,841,903
55,338,807
20,096,419
1,903,820
3,065,707
181,169
-5,981
1,014,835
1,959,172
83,436
-9,134
6,034,908
7,659,238
7,659,238
7,659,238
9,639,397
14,768,199
14,656,658
4,602,214
30,713,952
69,745,102
68,128,904
43,078,624
31.4
20.9
21.0
10.7
 
[ 2009年4月24日 ]
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