アイコン 生き残るか?穴吹工務店 09年3月期の決算①

急激な市場の落ち込みで穴吹工務店は、大リストラを敢行、建設中及び完成在庫の販売に注力して、09/3月期は前期とほぼ同じ4,450戸の戸数を売上げている。
しかし、早期売却を図るため値引販売や販売用不動産等の評価損の原価組み入れなどにより、粗利益は104億円も減少している。
そのため、経常利益段階で▲60億79百万円の赤字となり、有価証券や所有不動産の評価損など特損が生じて、最終赤字が▲138億34百万円まで膨らんでいる。

連結、百万円
09年3月期
08/3月期
【売上高】
176,081
178,689
粗利益
19,527
30,021
【営業利益】
-3,656
4,712
【経常利益】
-6,079
2,116
税金等調整前当期純利益
-10,699
-1,279
【当期純利益】
-13,834
-2,476 

 
穴吹工務店によると
景気の後退、雇用・所得環境の悪化など先行き不安による購入マインドの冷え込みにより、昨年後半から急激な落ち込みを見せた。平成20年(年間)の分譲マンションの発売戸数は約9万8千戸となり、16年ぶりに10万戸を割り込み、業界を取り巻く環境も世界的な株安進行、金融機関の貸渋等により、新興デベロッパーを中心とした不動産関連企業の破綻が相次ぐなど、厳しい事業環境となっている。
 穴吹工務店グループでは、連結の約7割を占める分譲マンション事業を行う穴吹工務店や、四国地方で戸建事業を展開する穴吹ミサワホームの売上高が減少したため、売上高は1,760億8,100万円(前期比1.4%減)となった。建物の管理事業等を行う穴吹コミュニティや総合建設業を行う古久根建設では増益となったが、用地取得費・建築費などの原価上昇に加え、たな卸資産の評価損を売上原価に計上、また市況悪化に伴う販売経費が増加したこと等により
36億5,600万円の営業損失、60億7,900万円の経常損失となった。また、株価の下落による保有有価証券の評価損、低価法によるたな卸資産の評価損を特別損失として計上するなどした結果、138億3,400万円の当期純損失となったとしている。
 
分譲マンション事業
分譲マンションの売上戸数は4,450戸、売上高は1,145億4,000万円(前期比3.5%減)。当期の分譲マンション市場は、昨年後半以降の急速な景気悪化を背景に、消費者の購入意欲の減退が見られ、販売期間の長期化、成約率の低下など、総じて厳しい状況で推移しました。また競合他社の破綻、撤退による投げ売り等により、全国の地方都市においても市場は大きく乱れる結果となった。
 当社ではグループ全従業員を挙げての販売支援体制により契約戸数の積み増しを図り、契約戸数はほぼ前期並みとなる4,053戸、契約高1,030億9,900万円(同3.6%増)となりました。また、期末の完成済未契約戸数も前期より減らし、284戸となった。なお平成21年度への繰越戸数(契約済未引渡戸数)は1,112戸、繰越高は307億4,700万円(同27.1%減)である。

 
発売戸数
契約戸数
売上戸数
完成済
次期繰越戸数
未契約戸数
(契約済未引渡戸数)
09/3月期
4,032
4,053
4,450
284
1,112
08/3月期
3,981
4,040
4,503
331
1,509
対前期比
1.2%増
0.3%増
1.1%減
14.1%減
26.3%減
 

今期(2010/3月期)の予想
平成20年4月にスタートした「第13次中期経営計画」の修正を行い、平成22年3月期(平成21年度)においては、分譲マンション事業のダウンサイジングにより売上高1,160億円(平成20年度比11.2%減)と減収を見込んでいたが、引き続き販売費及び一般管理費の圧縮に努め、営業利益48億円、経常利益21億円を計画する。
 次に穴吹工務店グループ連結業績については、ストック事業の中核である㈱穴吹コミュニティなどの堅調な売上に伴い売上高1,653億円(平成20年度比6.1%減)を見込み、また諸経費の圧縮に努めることで営業利益60億円、経常利益34億円を計画する。としている。
続く
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[ 2009年6月 5日 ]
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