「富士通」、野副元社長、社長復帰求める／新社長人事で内紛　?

富士通は昨年９月、社長であった野副氏が、病気療養を理由に社長の辞任の申し出があり、会長の間塚氏が、社長を兼務する人事を発表、今日に至っている。

ところが、野副氏(現相談役)が、社長辞任の取り消しを求める文書を会社に提出していたことが判明した。こうした事実を5日JC-NETの取材で広報担当も認めている。

　富士通では今年１月、山本正己執行役員常務(取締役ではない)が、４月１日付で社長に就任すると発表しており、そうしたなかでの野副氏の復帰表明であり、内紛が生じている可能性が高い。

富士通の広報担当は、野副氏の代理人から、野副氏からの社長辞任の取り消しを求める文書を受け取った事実を認めたが、内容についてはコメントできないと答えている。

平成21年９月25日の富士通が発表したリリース

各位

代表取締役の異動（社長交代）に関するお知らせ

当社は、本日開催の取締役会において、代表取締役の異動について決議いたしましたので、下記のとおりお知らせします。

記

１．代表取締役の異動について

新役職名	氏名	旧役職名
代表取締役会長兼社長	間塚道義	代表取締役会長
相談役	野副州旦	代表取締役社長

２．異動の理由

本日(2009年9月25日) 当社代表取締役社長野副州旦氏より、病気療養のため、平成21年9月25日をもって代表取締役社長および取締役を辞任する旨の申出があり、これを受理したことによるものであります。

＜JC-NETコメント＞

野副氏は辞任した時に、取締役も辞任しており、社長に復帰しようにも、株主総会でまず取締役に再就任する必要がある(謄本で辞任と表記されているはず)。

富士通では、4月1日に新社長就任予定も決定しており、到底無理な相談のようであるが、野副氏は何故今となって社長辞任の取り消しを求めてきたのであろうか? 新社長人事について異議申し立てをしているのであろうか? 会長派と元社長派の内紛か?　謎は深まるばかりである。

同社広報に対して、野副氏が社長を辞任した時に取締役の辞任も申請していたのか問い合わせたが、野副元社長の件については、社長辞任取り消しの書面が代理人を通じて当社にきていることは間違いないが、何もお話はできない。質問の社長辞任・取締役辞任についてもお話できないとの回答であった。何を書かれても仕方ないとまで述べた。

【富士通の取締役の状況】　　　　　　　　　　 2009年6月現在
役名	氏名	備考
代表取締役会長	間塚　道義	09年9/25日社長兼務
代表取締役社長	野副　州旦	社長・取締役を09年9/25日辞任
代表取締役副社長	広西　光一
代表取締役副社長	富田　達夫
取締役副会長	伊東　千秋
取締役	大浦　溥
取締役	野中　郁次郎
取締役	伊藤　晴夫
取締役	北川　正恭
取締役相談役	秋草　直之

2010年1月22日発表された次期役員人事

【４月１日付】　　　　　　　　　( )内は現職

代表取締役会長間塚道義 (代表取締役会長兼社長)

執行役員社長　 山本正己 (執行役員常務)

執行役員副社長リチャードクリストウ（執行役員副社長）

執行役員副社長石田一雄 (執行役員上席常務)

執行役員副社長藤田正美 (執行役員常務)

執行役員副社長佐相秀幸 (執行役員常務)

執行役員副社長生貝健二 (執行役員)

なお、他の役員人事については決定次第お知らせいたします。

また、上記に先立ち、本日付で、以下の異動を行ないます。

【１月２２日付】

執行役員副社長山本正己 (執行役員常務)

＜異例中の異例、新社長人事・・JC-NET＞

・新社長になる山本現副社長は、現在、代表取締役でも、取締役でもない。取締役でもない幹部社員(執行役員=取締役ではない)が、4月1日から社長に抜擢されるとは、大会社としては異例中の異例。山本氏が取締役に6月末に予定される株主総会で承認されるとしても、その間は取締役ではない。そうした人が社長とは、大会社では前例がなく異常としか言いようがない。

・間塚会長兼社長采配による今回の新社長人事、会長の間塚氏が同社のオーナーならば、役員人事は自由自在であろうが。それに反旗を翻したのが前社長の野副氏であると見られる。

[ 2010年3月 5日 ]