アイコン NHKウィニー裁判妨害/弁護士ブログ全文

下記は壇弁護士のブログ全文である

 2009年10月 6日 (火)
公判準備を進めていく中で問題になったのは、弁護側の情報をいかに正しく伝えて行くかである。
マスコミの報道は、警察のリークを嬉々として掲載しているものや、なんちゃってIT評論家の知ったような話しばかりである。

消費者事件などではホームページを作成したりすることもある。今回はネットを通じての支援が大きかったのであるから、支援者のためにHPを作るべきなのだろう。
しかし、私はとても面倒くさがりである。
どうしていいやらと思って町村先生のブログを眺めていた。
町村先生は捜査時に弁護側の情報の広報でブログを使わせてもらっていた。
それを見ながらつぶやいた。
「仕方ない。自分でブログをつくるか…」
「壇弁護士の事務室」なんて名前はその場の思いつきである。とりあえず、作りながら考えれば良いかと思ってたら、ブログを公開したとたん結構なアクセス数が来た。
正直、こんなに注目されているとは思わなかったので焦った。
読者もいろいろである。コメント者もいろいろである。
中でも、現役検察官が博士を非難するコメントをしてきたのは驚いた。
私は、弁護人として応対しているのである。この人は検察庁を賭けていないではないか。
私は、そう感じた。
正直、怒りも感じた。ただ、その後、本人から謝罪の手紙を受けたのでそれ以上は言うべきではない。
 
その後、公判も数回を重ねた後、博士から
「こんなんあったんですけど」と一通の封筒を渡された。
NHK京都支局の記者からの手紙が入っていた。(一部抜粋、個人名にかかる部分は一部変更)

 金子さま、突然お手紙で失礼します。NHK京都放送局の記者です。
 私は、NHKの記者として現在京都で司法の分野を担当しています。…
…結論から申しまして、公判の途中ですが、近々にNHKのインタビューに応じていただけないでしょうか。趣旨は初公判の後の会見で、私が質問した内容と全く同じです。インタビューにでていただき、金子さんの考えている「将来の著作権のあり方」について思う存分語っていただきたいと思うのです。…
 …現に裁判では、弁護側がいわば的外れな見解を繰り返している間に、検察側は着々と犯罪事実の立証に足る、最低限の条件をクリアしていっています。検察側と弁護側の争点が食い違っていますが、検察側が争点を弁護側に合わせようとしないことからも明らかです。検察側としては弁護側と争点がかみ合わなくても、むしろかみ合わず反論が内法が立証が容易だと考えているからに他なりません。…
 … 裁判は残念ながら、弁護団が躍起になって、金子さんの耳にタコができるほど吹き込んでいるような結果にはならないでしょう。「悪あがき」をすればするほどあなたの評価は下がる一方です。そして、あなたの描いた世界もきません。あるいは、その世界の到来まで我々は随分またなければなりません。ネットユーザの中には、47氏が著作権のあり方を変えてくれると期待していた人が多くいたはずです。保身のために、主張を覆す。それが、果たして「神」と呼ばれた人物のやるべきことでしょうか。…
…NHKのインタビューに応じて、その行動にいたった動機を正直に話せば、世間の納得は得られるはずです。仮に有罪判決になってもインタビューに出て世間に本音をさらしたことで執行猶予がつくのは間違いありません。逆に無罪を主張し続ける限り、減刑の余地はなく、実刑になる可能性も否定できません。その点から考えれば、インタビューに応じることはかえって金子さんにとって有益であると言えると思います。…
 …最後に度重なる無礼をお許し下さい。お返事お待ちしています

まぁ、要するに、弁護団の弁護は間違いだ、おまえは有罪だ、無罪の主張を続ければ実刑になる可能性もある。でもインタビューに応じれば執行猶予は間違いないということである。
天下のNHKがこれほど露骨な弁護妨害をしてくるとは思わなかった。
「神」がどうたらで、博士をマッドサイエンチストにしたがる者は今でも多数いるが、これでは、デスノートの「魅上」並の狂気ではないか。
しかも、この記者は、地裁判決後の記者会見で、何食わぬ顔で最前列に構えていた。
Winny事件の法廷の裏では、こんな戦いもあったのである。
ただ、このような手紙があっても、博士が信頼してくれていることがうれしかった。

 原文
ブログとメディアと

 

[ 2009年10月 9日 ]
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