アイコン 大和システム② ADR・過去10年間の業績推移

同社の危険性は、事業再生実務家協会がモラトリアム行使で権勢を振るっており、ADRにより保護され、粉飾等特段のことがない限り、向こう1年以上まず破綻する可能性はないといえる。事業再生実務家協会が介在したからには破綻させられないからでもある。
ADRの申請受理と同社が報告している中で、今後、開発事業は行わないとしている。行おうにもイヤイヤながら貸付債権を債務免除やDESにより処理せざるをえない金融機関が、同じ動機の開発資金に対して融資するところがあろうはずもなく、開発事業が続けられないのが実態である(但し、その間に大きなスポンサーが付けば別)。

開発事業については、今後長谷工のような動きをすることも考えられるが、これまで同社のバブル化に軍資金を供給してきた三井住友銀行が、今後長谷工のようなそうした開発用不動産の取得のための軍資金を供給するか全く白紙である。長谷工の場合は、りそな救済の一環でそうした措置が取られた経緯がある。長谷工はマンションを自社建築していたため、たまたま不動産ミニバブルが生じ、乗っかることができ、息を吹き返しただけでもある。
しかし、同社の場合、大和ハウスの建築(戸建)からスタートした会社であり、開発事業の実績は長谷工に比し底が浅く、分譲マンション事業は1997年から、スーパー銭湯事業は98年からとなっている。その後同じ冠付の各地の会社と合併、大和ハウスと離れ、自社開発の分譲マンション事業やスーパー銭湯事業へ展開している。建築業務は商業施設や老健施設・一般建物などだが低層建物が主力であり、自社開発マンションを同社が建築しているわけでは殆どない。
株主にしても大和ハウスは現在12.02%の株を持つ筆頭株主であるが、大和ハウスに問い合わせたところ「大和システムさんとは、現在全く関係ありません。過去の経緯から株は所持していますが、現在は投資目的で所有しているに過ぎません」という回答をJC-NETでは2年前に取材している。
 
<大和システムの過去10年の業績推移と三井住友銀行の融資推移>
連結/百万円
013
02/3
03/3
04/3
05/3
売上高
20,522
26,799
30,960
38,739
35,158
経常利益
868
866
1,457
2,267
2,201
当期純利益
203
352
-316
806
1,238
純資産額
5,144
5,731
5,327
6,075
7,223
総資産額
18,744
23,129
24,287
28,249
29,768
自己資本比率
27.4
24.8
21.9
21.5
24.3
有利子負債
 
 
 
5,802
8,828
三井住友銀行貸付残
 
 
 
 
1,575
 

連結/百万円
06/3
07/3
08/3
09/3
2010/3
売上高
45,789
59,537
48,428
41,234
35,345
経常利益
3,135
5,187
6,558
-8,643
-28,391
当期純利益
1,563
2,549
3,406
-14,090
-28,166
純資産額
10,654
15,923
18,295
3,581
-242,272
総資産額
52,965
58,579
81,348
96,137
56,781
自己資本比率
20.1
27.2
22.5
3.7
 
有利子負債
10,787
17,987
41,117
64,195
61,507

※2010年3月期、売上高が353億円計上されているにもかかわらず、有利子負債が、09年期に比し26億円しか減少していないのは何故であろうか・・・。
[ 2010年6月 4日 ]
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