アイコン 特許侵害の空中戦 グラフテック×ミマキエンジニアリング

商業印刷業者用の大きな印刷機械を製造しているミマキエンジニアリング(ジャスダック、売上高:232億円)は、商業印刷・看板印刷用ジェットプリンターでは数々の特許を有している。その技術レベルは米国でも表彰されるほどの高さを持ち世界級。
一方のグラフテック社(持株会社あいホールディングス、東証一部、売上高258億円)も印刷技術では高い技術力を持ち優秀な会社である。

そうした両社が、双方から特許権侵害の訴訟合戦を繰り広げている。

ミマキ社は、同社が特許保有する「カッティングプロッタと該プロッタを用いたシール材のカット方法」(特許第3589441号)を、グラ社が侵害しているとして、グラ社に対して平成20年11月、特許権侵害行為の差止と9億4,190万9,275円の損害賠償を求め訴訟を起こした。
それに対抗措置としてグラ社は、当該特許権の無効を主張してまず特許庁に審判請求。しかし、特許庁でミマキ社の特許は有効とされ、グラ社はそれを不服として知的財産高等裁判所に控訴、ところがここでは、知的財産高等裁判所が請求そのものを相手にせず、11月24日棄却判決がなされた。
 そうしたことから、ミマキ社がグラ社に対して起こしている特許権侵害訴訟は、自ずとそうした知的財産高等裁判所の判断が採用されることになり、ミマキ社からの特許侵害行為の差し止めと損害賠償請求訴訟はまだ係争中ながら、グラ社の負けが濃厚となっている。

 一方、グラ社側からはミマキ社に対して、ミマキ社が製造・販売に係る製品の一部によるグラ社保有に係る特許権(特許第2564157号)の侵害を理由として、平成21年1月30日、被った損害23億5,004万7,878円の賠償請求訴訟を提起し現在係属中である。
ここではミマキ社が、グラ社の特許第2564157号は無効であると特許庁に対して審判請求、11月2日特許庁は、当該特許は有効との判断を下している。ミマキ社が知的財産高等裁判所に控訴するかどうかは不明であるが、今のところ当該裁判ではミマキ社の負けが濃厚となっている。

ミマキ社がグラ社に対して特許戦争を仕掛けたが、ミマキ社はグラ社から反撃され、今は五分五分のところであろうか。
両社痛み分けで終わるのか、血みどろの戦いにもつれ込むのか今のところ不明である。

 損害賠償請求額は、当然それぞれ勝ったとしても査定に掛けられるが、ミマキ社がグラ社に対して9億4190 万9275円、グラ社がミマキ社に対して23億5,004万7,878円請求している。

[ 2010年11月25日 ]
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