アイコン 建設残土の最終処分場立退き問題/㈲名島産業建設

福岡県福津市本木地区には、建設残土などを処理する超大型の産業廃棄物最終処分場がある。同地で中間処理施設と最終処分場を経営しているのは㈲名島産業建設(以下、名島)である。福津市は最終処分場の利用つき、名島と公害防止協定の期限(2003年12月31日)を設定していた。福津市はその期限の更新を認めず立ち退きを同社に求めた。しかし、大都市である福岡都市圏の建設残土を扱う同施設のような大型施設は、福岡都市圏にはなく、福岡県からもこれまでにいろいろな要請も受け、運営してきていた施設でもあった。
福津市の立退き要請に対して、名島側は、膨大な費用もかけ建設した処分場でもあり、立ち退かなかったことから、市側は03年、裁判所に立ち退きを求めて提訴、06年の一審判決で福津市が勝訴した。これに対して名島側は不服として上告した。

福岡高裁は07年3月、社会的見地から一審判決を破棄して逆転勝訴の判決を得た。福津市はそれを不服として最高裁に控訴、最高裁は高裁に差し戻した。差し戻された段階で福津市側の勝訴は確定しているようなものであるが、福岡高裁はあらためて福津市の主張どおりの1審判決を継承した判決を言い渡した。名島はこの判決を不服として最高裁に上告したが、11月25日最高裁は上告を不受理とした。 

建設残土の最終処分場は、福岡都市圏になくてはならないものである。名島産業建設では、建設残土のリサイクル施設も有しており、建設汚泥から再生土木資材「N-ライト」を生産していた。それなりに福岡都市圏の開発や建設に貢献してきたのであるが・・・。
筑紫野市平等寺の産興が経営していた建設残土の大型最終処分場も、死亡事件が発生した後、不適切材の埋め立てが発覚、福岡県にて使用禁止処分を受け、クローズされている。

そもそも、福津市の処理場の立ち退きを求めたのは、当処分場近くの田畑から水準を若干上回る有機水銀を検出した環境派の議員であった。自然界より多かったもののそれほどでもなく、過去有機水銀系農薬もあった。
疑いをもたれた名島側は、これに対して、完全管理しており、処分場から出たものではないと主張した。福津市側は福岡県に対して原因究明を求めたが、福岡県では遅々として進まなかった。
その後名島、地元自治体である福津市と公害防止協定の更新問題が浮上した。福津市議会では、環境派とされる議員が発議した当施設の更新拒絶問題について、こうした環境問題は票に響くことから、大勢が乗っかり、結果、全会一致で更新契約をしないことを決議して、立ち退きを求めた。

当地は今では、建設残土の処分場として山の容姿まで大きく変貌しているが、こうした処分場は、新たに作るということになれば、住民運動が起こって、殆ど作ることは不可能である。福岡都市圏で大量に発生する建設残土の処分を今後どうするかは、広域での行政問題でもあり、今後とも行政の動きも注視していく必要がある。

福津市は12月8日、名島に対して処分場の使用を中止するよう求める内容の通知書を送った。
※福津市は、福間町と津屋崎町が合併してできた市であり、当問題は旧福間町で発生した問題であった。
 

[ 2010年12月11日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサードリンク

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •