アイコン 幻冬舎見城社長 イザベルの買占めに苦悩

出版業界の風雲児、幻冬舎の見城徹社長が、上場を取りやめることを発表したのは10月29日。そのスキムは、見城徹社長が、自ら100%持株で設立したばかりの㈱TKホールディングスを使って、TOBをかけ、その後、㈱TKホールディングスの完全子会社にして、上場を廃止するというものであった。
TKホールディングスは、公開買付価格1株22万円。10月28日の終値14万6,500円に対して50.2%のプレミアムをつけた。買付代金は最大60億3,878万円であった。

TOBは、11月1日から12月28日まで実行された。その結果、市場にある全株を買付ける数である27,449株(下限13,725株)に対して、15,968株(議決権58.17%)しか買い付けることができなかったと報告している。TOB下限ギリギリだったのである。(総発行済株式数36,000株(但し8,650株は自社株所有))
そうした中で、11月29日になると、ハゲタカ投資ファンドのイザベル・リミテッド(実態のない本社は英領ケイマン)が、2,854株(議決権の10.4%)取得したと関東財務局に報告。その後も猛烈に買占めを図っている。

イザベラ持株推移
報告日
所有株
議決権割合
11月29日
2,854
10.4
11月30日
3,854
14.0
12月1日
4,274
15.6
12月3日
4,996
18.2
12月6日
8,397
30.6
1月20日
 
37.4

幻冬舎は1月20日、2月15日に臨時株主総会を開催して、MBOを完了させる議案をはかると発表した。
ところが同日、イザベルは、議決権割合の37.4%を所有するまでになったと財務局に報告。
イザベルは、TK社のTOBで50%もプレミアムが付けられた株を売却せず、逆に買占めを増加させ、株主総会で重要案件を否決できる3分の1超を確保してしまった。2月15日のMBO計画の議案も暗礁に乗り上げる可能性も否定できない。
株価も1月20日には35万円を付けている。
幻冬舎の見城徹社長もイザベルの買占めに仕事どころではなかろう。
イザベルは、まさしく貪るハゲタカである。

2010年3月末における主要株主
氏名又は名称
所有株式数(株)
割合(%)
見城 徹
8,300
23.05
日本トラスティ・サービス信託銀行
1,131
3.14
棚網 基己
803
2.23
㈱トライグループ
650
1.8
石原 正康
528
1.46
舘野 晴彦
528
1.46
小玉 圭太
508
1.41
中央出版㈱
500
1.38
中里 幸途
360
1
新実 修
348
0.96
13,656
37.93
総発行済株数
36,000
 
2010/12/29移動
TK-H
15,968
58.17
 
2010年6月30日段階では、新主要株主が
インベスコ投信投資顧問
1,564
4.34
エイアイジー投信投資顧問
1,295
3.60
モルガン・スタンレー・インベストメント・M
108
0.30
モルガン・スタンレー・アセット・M
493
1.37

2010年4月以降6月30日までに、こうした訳の分からない株主が登場したことにより、見城社長は、株式公開を止めることを決意したと思われる。そのために50%もプレミアムを付けたが、ハゲタカはそれ以上の儲けを企み、株を買い占め続けたのである。
小泉―竹中が導入した経済のグローバル化とはこういうものである。
こうした馬鹿げた買占めを取り締まる法律は、アメリカに対して弱いためありません。
 

[ 2011年1月22日 ]
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