アイコン 混迷深める福岡知事選挙① 自民党 小川氏・蔵内氏にダークホースの谷口博文教授

福岡県知事選は、5選目に挑もうとした元気な麻生知事に対して、これまで支援してきた身内から「もうこれまで」と勧告され断念した。そこで麻生知事は、支援してきた自民党福岡県連に対して、民主党県連とも話し合い、統一候補を擁立するように要請した。自民党県連は前向きに検討して、民主党にも理解を求めた。ところが、民主党は独自候補を擁立するとして、人選にあたっていることを新聞社にリーク、麻生知事の思いは届かなかった。

<小川洋氏 自民党福岡県連に推薦願を提出>
麻生知事が歩んだ元通産官僚・特許庁長官を歴任した元内閣広報官の小川洋氏(61歳)が1月27日、正式に自民党福岡県連に福岡知事選挙での推薦願を提出した。
一方、自民党県議会派の幹部たちは、自民党福岡県議団会長の蔵内勇夫氏(57歳、6期)を押す動きを強め、蔵内氏も了承、議員挨拶を済ませ、自民党県連に推薦願を提出。既に地元での挨拶廻りまで済ませ、臨戦態勢に至っている。

県連では、30日の候補者選考委員会で両者の取り扱いを協議するが、小川氏は推薦が得られなくても立候補するとされ、党を二分する選挙戦になる可能性が非常に高くなってきている。

自民党が4月に控えた県知事選挙で未だ候補者を決められないのは、地元選出の国会議員に翻弄され続けてきた結果であろう。
福岡県には大物の自民党国会議員が、それぞれの思惑の中で県会議員を動かしてきたからともいえる。その国会議員とは、山崎拓議員(福岡市)、麻生太郎元首相(筑豊地区)、古賀誠議員(筑後)である。

今回の小川洋氏の擁立には、麻生知事の強い動きがあった。しかし、こうした麻生太郎元首相の自民党福岡県連に対する頭ごなしの動きに対し、自民党県連は小川氏擁立に態度を硬化させた。
その結果、自民県議団の幹部たちが蔵内氏擁立に動いたのであった。また、そうした背景には、蔵内県議と同郷の古賀誠氏が水面下で動いたことは隠しようがなかろう。

自民党県連の候補者選考委員会(委員長・武田良太衆議)は、国会議員や県議など20人で組織されている。その大勢は蔵内氏に投票すると見られている。しかしながら、30日に開催される1回目で決定する要素は少ない。調整もなく1回目で決定するならば、今後、感情的なしこりを残すことは目に見えているからである。

<ダークホース・真打登場か「谷口氏」>
ところが、こうした自民党福岡県連の状況下、以前から自民党・民主党の両方から白羽の矢を当てられていた谷口博文氏(九大教授、56歳)が、自民県連に対して推薦願いを出した。
谷口氏は、自民党福岡県連のほか県議会主要会派の4会派に推薦願を提出、自民党同様候補者選考に苦悩する民主党福岡県連にも推薦願を提出している。
こうした動きは、保守の大物議員が水面下で動き、谷口氏の推薦願提出に至ったとされる。当然、小川氏と蔵内氏が共に立候補すれば、保守の分裂選挙になり、どちらが勝つにせよその後の自民党にとって痛手も大きいことから動いたのであろう。それに麻生知事の「県民党による統一候補」という思いも通じることになる。小川・蔵内両氏の分裂選挙を嫌う自民県連の大勢の支持も取り付けやすくなるというものである。
こうしたことから一機に、小川・蔵内の両氏は共に痛み分けとなる公算が高くなってきており、谷口氏の擁立が急浮上してきたのである。

  谷口博文

<谷口博文氏略歴>
谷口博文氏:九州大学産学連携センター教授 56歳
1954年生
東京大学法学部卒 
1977年大蔵省入省主計官、法規課長などを経て、九州財務局長、金融庁審議官、国土交通省政策統括官 
2009年から現職
 これまで、官僚としての付き合いや、多くの産学共同セミナーなどの開催を通して、財界人にも人気が高い人である。

小川洋 

<小川洋氏略歴>
1949年5月生
1973年(昭和48年)4月 - 通商産業省入省
1996年(平成8年)7月 - 大臣官房企画室長
1997年(平成9年)7月 - 産業政策局商政課長
1999年(平成11年)9月 - 近畿通商産業局長
2001年(平成13年)1月 - 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)
2003年(平成15年)7月 - 産業技術環境局長
2004年(平成16年)6月 - 特許庁長官
2004年(平成16年)9月 - 退官
2006年(平成18年)11月 - 内閣官房知的財産戦略推進事務局長
2007年(平成19年)11月 - 内閣官房内閣広報官
2010年(平成22年)8月 - 内閣広報官を退任
麻生知事も通産省入省から特許庁長官を経て知事となっている。

藏内勇夫 


<藏内勇夫氏>
1953年12月生
昭和54年3月:日本大学農獣医学部獣医学科卒業(獣医師)
昭和62年4月:福岡県議会議員初当選
       以後6期連続当選
平成13年5月:福岡県議会議長
平成22年3月:九州大学大学院農学博士学位取得
現在    : 警察常任委員会委員・自由民主党県議団会長

[ 2011年1月29日 ]
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