アイコン IPS細胞で世界初の人工卵子創造/京大斎藤通紀教授ら

精子幹細胞再構成/篠再構成原美都 医学研究科助教ら
京都大の斎藤通紀 医学研究科教授と林克彦 同准教授らの研究グループは、さまざまな組織や臓器の細胞になる能力がある人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って卵子を作製し、通常の精子と体外受精さ せてマウスを誕生させることに世界で初めて成功し、米科学誌サイエンス電子版に4日発表した。

斎藤通紀 医学研究科教授と林克彦 同准教授らの研究グループは、マウスで多能性幹細胞であるES細胞とiPS細胞から卵子を作製し、それらの卵子から子供を産み出すことに成功した。

これまで同研究グループは、雄のES細胞やiPS細胞から精子を作製することには成功していたが、雌のES細胞やiPS細胞から機能的な卵子を作製した成功例は世界でもなく、その技術開発が望まれていた。
 研究グループは今回、雌のマウスのES細胞やiPS細胞を卵子や精子を作る元となる始原生殖細胞に試験管内で分化させて、それらをマウス胎仔の中から取り出した将来の卵巣になる体細胞と共に培養した後に、雌マウスの卵巣に移植することで未成熟卵子を得た。

それらの未成熟卵子を体外培養により受精可能な卵子にまで成熟させた後に、体外受精させることにより健常なマウスを得た。これらのマウスは正常に成長し、子供を作る能力があることも分かった。
 この技術の開発により、卵子が形成されていくメカニズムの解明に貢献するものと期待される。また、この技術を応用することで不妊症の原因究明などにも役立つものと期待されている。 
 本研究成果は、2012年10月4日(米国東部時間)に米国科学誌「Science」のオンライン速報版「Science express」で公開された。

<マウス精子幹細胞の支持環境の試験管内での再構成>
京大の篠原美都 医学研究科助教、篠原隆司 同教授、小倉淳郎 理化学研究所遺伝子工学基盤技術室長らの研究グループは、精子幹細胞移植法では、精細管内腔に注入された幹細胞が、精細管の基底幕側にある幹細胞ニッシェ(幹細胞の生息する微小環境)にたどり着いた(この現象をホーミングという)。
これまでにホーミングに関わる分子機構を解明してきたが、今回新たにGDNFとCXCL12というケモカイン(走化性因子:細胞の遊走を促す物質)の関与を明らかにした。
この発見を可能にしたのは、精子幹細胞のニッシェを試験管内で再構成した培養系の確立にある。
この培養系では、精子幹細胞がニッシェへとホーミングし、コロニーを形成する動態が再現され、それに基づいて、幹細胞のホーミング活性に影響を及ぼす分子のスクリーニングを行った結果、GDNFとCXCL12を見いだし、さらに、これらの物質が実際に精巣内でもホーミングに使われていることを明らかにした。
 本研究成果は米国科学誌「Cell Stem Cell」誌(2012年10月5日号)に掲載された。

 

[ 2012年10月 5日 ]
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