アイコン アップルの電子書籍価格つり上げ  価格カルテル裁判始まる

 米国司法省は現地時間の3日、米国・ニューヨークマンハッタンにある裁判所でアップル社が電子書籍の価格操作を行っているとされた案件について、審理をスタートした。
同省とアップル側の弁護士がそれぞれの意見を述べた。審理は3週間にわたって行われ、アップルやアマゾンのトップが証人として出廷する可能性がある。
キンドルとアイパッドに関わる電子書籍価格の問題であり、アップルが電子書籍の価格操作をしていたとされる案件の審理である。

<既に出版社は認め司法省と和解している>
 同省は2012年4月、アップルとサイモン&シュスター、ハーパーコリンズ、アシェット・リブレ、マクミラン、ペンギンの五大出版社に対し、独占禁止法に違反することを理由として訴訟を提起し、謀議して電子書籍の価格をつり上げていると指摘した。
今年5月22日、ペンギン社は同省と和解合意を結びたいとの意向を明らかにし、その後、出版5社はすべて和解に至り、賠償金として1億6400万ドル(約164億円)を支払った。こうしてアップル社が唯一の被告となった。

先にアマゾンは2007年に電子書籍端末のキンドルを発売し、電子書籍のほとんどを1冊あたり9.99ドルとした。
2010年4月、アップルはタブレットコンピューター「iPad」(アイパッド)を発売する直前に五大出版社と電子書籍の価格について合意を結び、出版社側が小売価格を設定できるようにし、出版社は最優遇価格でアップルの利用者に書籍を提供することを保証するとした。またアップルは出版社の利益の30%を受け取ることにした。
iPadが発売されると、アップルは電子書籍の価格を1冊あたり12.99-14.99ドルとし、アマゾンのキンドルより大分割高になった。
出版社側は、アップルに対し最優遇価格で書籍を提供しなければならず、アマゾンも出版社が設定した小売価格を受け入れざるを得ない。アマゾンはこうしなければ競争の中でより不利な立場に立つことになる。
このことが、アップルの価格操作および、消費者に不利益をもたらしたとされている。

この案件の審理を担当するデニス・コッター裁判官は5月23日に行われた公聴会で、審理に際し、アップルが意識的に電子書籍価格を操作していたことを示す証拠を米国政府が提出することを期待する、と述べている。

アマゾンの電子書籍販売量は、一時は電子書籍の販売量全体の90%に上り、これこそ独占。アップルは、価格をアマゾンのように出版社側に強いるものではなく、価格の裁量権を与え、電子書籍量を拡大させ、アイパッドの拡販に成功した。しかも利益の3割も入り、一石三鳥の施策であった。ただ、価格の裁量権といっても12.99~14.99ドルであり、出版社側はアマゾンとの取引より利益が多く入ることになる。出版社は高い取引先に売るのは当然、アマゾンも値上げに追随せざるを得なくなった。こうしたことを出版社が認めているため、既に当該の大手5社は司法省と1社当たり33億円も支払い和解している。
アップルへの罰金は巨額になるものと思われる。

<電子書籍の歴史 日本が開発者>
2000年代に入り、本格的なインターネットの時代に突入、今の原型のようなダウンロード型の電子書籍が誕生。2004年に松下電器産業(現パナソニック)とソニーが相次いで電子書籍リーダーを発売。松下の「Σブック」とソニーの「リブリエ」。パソコンからインターネットを経由して購入し、ダウンロードした電子書籍を電子書籍リーダーに転送するしくみで、以前のものと比べると格段に便利なものになった。
 しかし、コンテンツが少なかったことや電子書籍リーダー自体の価格、インフラ整備=書籍数など環境が整わなかった背景もあり、数年で販売を終了した。(残念)

<ネット上にオンデマンドの登場が電子書籍市場を可能にした>
2007年11月にアマゾンが電子書籍リーダー「キンドル」を発売した。アマゾンの出発は書籍のネット販売であっため出版社との関係も強く、スタート時点からコンテンツが豊富であったこと、価格の安さ、「キンドル」自体の魅力もあって、瞬く間にブームとなり、米国では電子書籍市場が拡大した。
2010年4月になると、アップルが「iPad」を発売、翌5月には日本でも発売されたことで、日本にも本格的な電子書籍ブームがやってくることになった。

IPAD

[ 2013年6月 6日 ]
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