アイコン 豊田通商/近大マグロを五島で生産へ

豊田通商が近畿大の協力を得て養殖に取り組むクロマグロが、「近大マグロ」のブランド名で出荷されることになった。2020を目処に近大と豊田通商を合わせ、昨年の3倍となる年間6千匹(240トン)の生産を目指す。 

豊田通商と近大が26日、東京都内で記者会見して明らかにした。
近大水産研究所は2002年、世界で初めて人工ふ化で誕生した成魚から卵を取り出す「完全養殖」を実現したことで知られる。近大が他の施設で「近大マグロ」のブランドを認定するのは初めて。

計画では、長崎県の五島列島で豊田通商の子会社「ツナドリーム五島」(長崎県五島市玉之浦町荒川129−26)が、近大から仕入れた稚魚を数年掛けて体重40キロまで育て、「近大マグロ」と銘打って、近大が運営する飲食店で販売する。北米やアジアの新興国向けの輸出も検討中。
近大で、体長30センチまで育てた幼魚の段階で、各地の養殖業者に転売する蓄養事業も継続する。

五島列島では来年5月、豊田通商の種苗センターが完成する見通しで、自前でふ化させる環境も整う。豊田通商単体では今年から2016年までは年間1000匹ペースで生産し、人工種苗の供給が整う2017年以降は年間500~1000匹ずつ増やし、2020年には4000匹とする。
 クロマグロの養殖では、餌の確保や養魚場の管理に多額の費用が発生する上、受精卵から成魚まで生き残る個体が1%と低い。近大では設備面の問題から、生産が年2000匹程度で頭打ちとなっており、資金力のある商社と手を組んでブランド力の維持や向上につなげる考え。

 太平洋クロマグロについては、国際自然保護連合(IUCN)が11月17日、生物の絶滅危惧種として掲載している。メキシコなどで漁獲され日本へ大量に輸入されているが、幼魚なども一網打尽に漁獲しており、IUCNは、過去22年で個体数が33~19%減少したと推定している。
 東太平洋のクロマグロの漁獲規制を話し合う全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)は2015年の漁獲枠を14年より約4割少ない3300トンで10月30日合意している。
 乱獲が原因であり、保護の観点から漁獲枠の設定は妥当、ヘルシーとされる日本食とりわけ寿司・刺身が世界中で流行となっており、地中海マグロに続き、太平洋マグロも漁獲規制に入り、価格はさらに高騰するものと見られる。

長崎市では、水産庁管轄のまぐろ増養殖研究センターが、稚魚10万匹生産に向け取り組んでいる。長崎県はすでに、マグロ養殖の一大産地となっている。長崎県は島が全国一多い971島あり、対馬海流も流れ、水流が速くマグロ養殖には適している。

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[ 2014年11月27日 ]
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