スマートフォン部品メーカー主要6社のQ3業績動向 悪化
スマートフォン(スマホ)市場の成長が鈍り、大手電子部品の業績が苦戦している。
2015年10~12月期の連結決算で大手6社のうち、29日に決算を発表した日東電工、京セラ、村田製作所、すでに発表済みのアルプス電気の計4社が最終減益となった。
主要得意先である米アップルの生産調整が響いている。成長に向けて新たな収益源の確保が必要になっている。
電子部品大手6社の合計の純利益は10~12月期に1500億円と、前年同期に比べて▲13%減少した。前年同期比で利益が減少するのは2013年1~3月期以来となる。
世界で見ればスマホの需要が減少しているわけでもなく、これまで高かったサムスンとアップルのシェアが落ちていることにある。
ただ、販売主力は新興国向けに100ドル未満の低価格品が伸びており、今後、所得の増加に応じて、こうした新興国でも中・高価格帯のスマホの需要が増加するものと見られる。また、メーカー数は拡大しており、移り変わりも早いが、中国勢大手4社やサムスン、アップル、ブラジルのVivo、インドのマイクロマックスは抑えていく必要があると思われる。
村田製作所は、前年同期に為替差益が膨らんだ反動もあって、10~12月期の純利益が▲3%減った。
スマホ市場減速の影響を受けた。もっとも中国での高速通信端末の普及を受けてスマホ1台あたりの部品点数は増加。特に表面波フィルタと呼ばれる通信関連部品は生産が追いつかないほど注文が活況だという。こうした追い風が下支えし、営業利益は16%増を確保した。
スマホ市場の拡大が一服する中で、各社は収益基盤の強化を急ぐ。村田製作所は、スマホ部品などの開発強化のため、株式の63%を保有する東光を完全子会社にすると発表した。新たな顧客の開拓や付加価値の高い製品の開発がより重要になっている。
<アルプス電気>
アルプス電気は通期業績予想を下方修正、これまで495億円の純利益予想を400億円とした。それでも前期比15%増にはなる。車載市場向け製品が堅調 に推移したものの、スマートフォン向け製品が軟調に推移し、前回予想の売上高・利益を下回る見込みとなったためとしている。
<日東電工>
日東電工の10~12月期の純利益は▲8%減った。
自動車向けの産業用テープや医療関連は伸びたが、液晶向け偏光板などオプトロニクス事業が伸び悩んだ。主要顧客であるアップルの生産調整が響いた。同社では、液晶向けの偏光板の販売が想定より早いスピードで落ちたとしている。
1~3月期も需要減が続くと判断。2016年3月期の純利益予想は前期比10%増の860億円(期初は14%増の887億円)に下方修正した。
<京セラ>
京セラは、10~12月期の純利益が▲71%減った。
スマホ部品に加え複合機の販売が振るわなかった。電子デバイス事業では固定資産の減損等で約230億円の費用を計上した。通期の営業利益予想も前期比▲9%減の850億円に下方修正した。
<TDK>
TDKは、100~12月期も最終増益となった。2次電池が好調で、自動車向けのコンデンサーなどが伸びた。スマホ向けの電子部品は鈍化しているが、1台当たりの部品搭載数の増加に加え、『勝ち組』の中国メーカー向けの拡販が寄与しているという。
日本電産はスマホ向けに手振れ補正部品やアップル向けに新機軸となるハプティック部品(タッチ圧)など納品している。同社は産業用精密モーターなど多岐にわたり決算の計画の変更はないとしている。
スマーとフォンの世界市場 Q4と2015年通年
|
||||||
販売台数 Global Smartphone Vendor Shipments (Millions of Units)
|
||||||
(Millions of Units)
|
増減率
|
|||||
/百万台
|
Q4 '14
|
2014
|
Q4 '15
|
2015
|
Q4比
|
前年比
|
Samsung
|
74.5
|
317.2
|
81.3
|
319.7
|
9.1%
|
0.8%
|
Apple
|
74.5
|
192.7
|
74.8
|
231.5
|
0.4%
|
20.1%
|
Huawei(華為技術)
|
24.1
|
74.1
|
32.6
|
107.1
|
35.3%
|
44.5%
|
Lenovo-Motorola
|
24.7
|
92.7
|
20.2
|
73.9
|
-18.2%
|
-20.3%
|
Xiaomi(小米科技)
|
17.0
|
61.1
|
19.5
|
72.0
|
14.7%
|
17.8%
|
その他
|
165.3
|
545.7
|
176.1
|
637.5
|
6.5%
|
16.8%
|
Total
|
380.1
|
1283.5
|
404.5
|
1441.7
|
6.4%
|
12.3%
|
シェア Global Smartphone Vendor Marketshare (%)
|
||||||
|
Q4 '14
|
2014
|
Q4 '15
|
2015
|
|
|
Samsung
|
19.6%
|
24.7%
|
20.1%
|
22.2%
|
||
Apple
|
19.6%
|
15.0%
|
18.5%
|
16.1%
|
||
Huawei
|
6.3%
|
5.8%
|
8.1%
|
7.4%
|
||
Lenovo-Motorola
|
6.5%
|
7.2%
|
5.0%
|
5.1%
|
||
Xiaomi
|
4.5%
|
4.8%
|
4.8%
|
5.0%
|
||
その他
|
43.5%
|
42.5%
|
43.5%
|
44.2%
|
||
Total
|
100.0%
|
100.0%
|
100.0%
|
100.0%
|
||
Total Growth: Year-over-Year (%)
|
||||||
増減率
|
31.0%
|
29.6%
|
6.4%
|
12.3%
|
||
Source: Strategy Analytics
|
China Smartphone Vendor Shipments
|
||||||
販売台数 (Millions of Units) /百万台
|
増減率
|
|||||
|
Q4 '14
|
2014
|
Q4 '15
|
2015
|
Q4比
|
前年比
|
Xiaomi
|
15.7
|
57.8
|
17.5
|
67.5
|
11.5%
|
16.8%
|
Huawei
|
11.9
|
41.3
|
17.9
|
62.2
|
50.4%
|
50.6%
|
Apple
|
13.4
|
31.1
|
15.5
|
49.5
|
15.7%
|
59.2%
|
OPPO
|
9.6
|
22.3
|
10.8
|
33.2
|
12.5%
|
48.9%
|
その他
|
62.6
|
247
|
44.4
|
188.7
|
-29.1%
|
-23.6%
|
Total
|
123
|
423.6
|
117.9
|
437.8
|
-4.1%
|
3.4%
|
シェア China Smartphone Vendor Marketshare (%)
|
||||||
|
Q4 '14
|
2014
|
Q4 '15
|
2015
|
|
|
Xiaomi
|
12.8%
|
13.6%
|
14.8%
|
15.4%
|
||
Huawei
|
9.7%
|
9.7%
|
15.2%
|
14.2%
|
||
Apple
|
10.9%
|
7.3%
|
13.1%
|
11.3%
|
||
OPPO
|
7.8%
|
5.3%
|
9.2%
|
7.6%
|
||
その他
|
50.9%
|
58.3%
|
37.7%
|
43.1%
|
||
Total
|
100.0%
|
100.0%
|
100.0%
|
100.0%
|
||
前年比
|
||||||
増減率
|
34.7%
|
33.6%
|
-4.1%
|
3.4%
|
||
中国のマーケットシェア
|
32.4%
|
33.0%
|
29.1%
|
30.4%
|
||
Source: Strategy Analytics
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