アイコン 中国の第3・四半期のGDP 6.7%の横這い 景気が良いのは内需の自動車産業だけ

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1019_07.jpg中国の国家統計局が19日、発表した今年7月~9月までの第3四半期のGDP=国内総生産の伸び率は、前年同期比6.7%のプラスとなり、4月~6月までの前四半期に続いて伸び率は2期連続で横ばいだった。

これは、鉄鋼をはじめとする重工業で過剰な生産能力の削減を進める中で、企業の設備投資といった民間投資が伸び悩んだ一方、政府によるインフラ投資の拡大のほか、住宅ローン規制の緩和や自動車減税などの販売刺激策を背景に内需が下支えされたことによるものと見られる。

中国は、安定成長・構造改革を進めるためとして、今年の経済成長率の目標を6.5%~7%と昨年より引き下げていて、今回も引き続き目標の範囲内にとどまっている。
(中国国家統計局の数値は政策数値であるともされ、実際の経済成長率は闇の中。経済成長の裏付けとなる国内の貨物輸送量や電力使用量はほとんど伸びていない)

ただ、景気刺激策で導入した金利低下により、大都市の住宅価格が高騰しバブル化しており、すでに主要70都市のうち20数都市で購入規制を再導入するほど上昇している。
こうしたことも鉄鋼生産量が過去最大の生産量になった一因にもなっている。

格差拡大も懸念される一方で、地方では、これまでに地方政府主導で開発されたマンションの販売が振るわず、膨大な在庫が残るなど、政府の主要経済対策である金利の低下や住宅購入の規制緩和などの対策は、以前からこうした問題も生じさせている。

中央政府による公共投資も大規模に行使されているものの、リーマン・ショック後のように公共投資で経済が大きく動き出す経済規模ではすでになくなっており、安定成長を維持しながら改革を進められるか難しい舵取りとなっている。

肝心の企業の構造改革にしても、実態は遅々として進んでおらず、余剰生産物を大量に世界へ放出=輸出し、欧米各国などの保護貿易主義を助長している鉄鋼製品、中央政府は構造改革しているというポーズは示すものの、当期は鉄鋼製品が過去最大の生産量に至っている。
これは、とっくの昔に実質破綻している借金だらけのゾンビ企業(国営企業も多く地方政府と関係が深く潰せない)にしても、利益も考慮せず生き残りをかけ大増産する始末(中国特有の統制の効かない企業との化かし合いの側面もある)。

輸出も、上述のほか欧州の経済低迷や国内の賃金増・コスト高により、また、東南アジア・南アジア勢の台頭により競争力の大幅低下に見舞われ、輸出量も輸出額も減少傾向が続いていて、繊維製品に至っては、すでに、東南アジアやバングラデシュの生産国がタッグの主流を占めている。(ブランドメーカーから生産を受注する中国企業自身が、すでに自国での生産をコスト高から諦め、東南・南アジアにシフトしていることにもある)。スマホを含めサムスン電子の製品群の最大の生産国は今やベトナムとなっている。

中国の中で景気を牽引しているのは自動車産業、販売台数の大幅増を背景に、伸び続けている。ただ、所得と車両価格にはギャップがありすぎ、今後、住宅ローン問題も含め個人負債の問題が台頭してくれば、これまで裾野の広がりで10%以上拡大し続けている消費にしても、いずれ陰りが出てくるものと見られる(潜在マイナス要因)。
ただ、欧米や東南アジア経済が回復してくれば、中国経済は内外需の相乗効果により、安定成長の維持や若干の伸びは期待できるものと見られる。
・自動車の9月の販売台数は前年同月比26.1%増の256万台、1~9月の累計では前年同期間比13.1%増の1,936万台(商用車含む)と絶好調となっている(ただ、昨年は10月まで低迷、11月からの取得税減税により販売に火が付いた)。

 

[ 2016年10月19日 ]
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