4回目の七隈線陥没 福岡地下鉄工事 博多湾の潮との関係 立坑の位置 危うい前提条件
8日早朝発生した福岡市地下鉄工事の道路陥没事故、工事は今回、山間部のトンネル工事で用いられる穴を掘り、コンクリを吹き付け固めながら進める「ナトム工法」という工法が用いられていた。
専門家は、掘削機が水を含んだ地層に当たり、崩落に至った可能性を指摘。ナトム工法では、掘削機の先端が水を含んだ砂の層に当たった場合に崩落につながりやすいと指摘している。水と土砂が大量に流出して空洞ができ、地面の重さを支え切れずに陥没した可能性が高いとしている。
別の専門家は、地下鉄のトンネル掘削工事の影響で、地表近くにある軟弱な地盤が含んでいる地下水が、下部の岩盤に土砂とともに流れ込み、地表近くの地盤が一挙に緩み陥没した可能性があるとしている。(・・・2014年10月の陥没事故の原因とされる)
工事を進めるに当たり、50メートル間隔でボーリング調査を行っても、それより短い幅で地中に水が流れ込んでいれば事前に見抜くのは難しいという。(・・・地下工事規定で決まっているのだろう)
延伸工事では、2014年10月にも現場から約350メートル離れた車道の一部が陥没する事故があった。地下鉄延伸工事を前に福岡市が発注した雨水管移設工事、陥没は工事に当たり地盤改良工事の施工不良が原因だとして、九州運輸局が市交通局に警告書を出していた。国交省は再発防止策が徹底されていたかなど詳しく調べる。
以上、報道など参照
<福岡市地下鉄工事のこれまでの陥没事故>
1.2000年6月、福岡市中央区薬院で地表から地盤の掘削工事を行っていたところ、周辺の道路が長さ約10メートル、幅5メートル、深さ8メートルにわたって陥没した。
2、2004年には九州最大の商業地・天神で道路が陥没し、原付バイクを運転していた男性3人が転倒して軽傷を負った。(・・・TBS報道参照)
3、2014年10月27日、今回の現場から西へ350メートル離れた車道が長さ約5m、幅約4m、深さ約4mにわたって陥没した。当時、地下鉄工事を行うにあたり下水管の移設工事を行っていた。人的被害はなかった。
4、今回の博多駅前通りの大陥没事故、陥没穴の深さは最大約15メートル、幅約27メートル、長さ約30メートル。道路そばのビルの基礎杭が剥き出しになっている。(トンネル口が見えているが、これは地下鉄工事のトンネルとは異なるようだ。下水管?)
<ナトム工法>道路がそのまま使える。
今回の博多駅前の道路陥没は、地中26メートルをナトム工法で工事中だった
<ナトム工法現場写真>
博多駅前地下トンネル工事写真
<シールド工法>軟弱地盤用・道路がそのまま使える
ほかの2工区(大林JVと銭高JV)は地下13メートルから26メートルまでのトンネル工事でシールド工法を採用している。
<地下水の圧力と河川・海との関係は・・・>
工事現場は、海抜5メートル・博多湾河口から約2000メートル、現場東方約600メートルに御笠川が、西側には約700メートルに那珂川が流れ、両河川とも博多湾に注いでいる。現場一帯は両河川に挟まれた場所に位置する。
工事現場は、博多駅前通の地下を西から東側(博多駅側)へ進められていた。高低差は少ないものの現場から南へ行くほど高くなり、地下水圧は、現場一帯では南から北(博多湾側)へかかっている。
<立坑は明治公園にある>
陥没した博多2丁目交差点の地下トンネル工事は、南へ一区画隔てた明治公園に機材搬入用の立坑が設けられ、そこからトンネル工事本坑に至る連絡坑が設けられている。立坑から本坑までの距離は約60メートル超。地下水上流部に設けられた立坑と連絡坑の工事で、地下水の圧力が現場付近に集中した可能性もある。
<満潮干潮との関係>
博多湾の海水との圧力関係は、8日は02時20分に満潮になり、陥没時間帯は潮が引く中間点あたりの小潮だった。上弦の半月。
博多湾の潮水は、満潮にかけ御笠川や那珂川を逆流する。陥没時間帯は逆流した海水を含む流れが博多湾に注ぐ最後の方だと見られる。
博多湾の潮見表
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2016年11月8日
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潮時
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潮位/m
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小潮
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2:20
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147.8
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満潮
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9:20
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67.9
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干潮
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16:36
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136.9
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満潮
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22:26
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99.4
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干潮
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博多駅前通陥没地の地層
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表土層
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1メートル未満の厚さ
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地下水含む地表砂礫堆積層
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15メートル前後の厚さ
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トンネルのすぐ上の不透水の粘土層
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2メートルの厚さ
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トンネル工事の岩盤層の位置
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地下26メートル
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トンネル工事の掘削機が不透水層を破り地下水を含む層から、地下水が噴出したものではと・・・。
計算上は岩盤層と不透水粘土層は水平かつ不透水粘土層の厚さは2メートル均一を前提条件に工事が進められていた。それが崩れたら・・・・。
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