王健林率いる巨大不動産会社の万達集団 捜査対象に 弱り目に祟り目
中国政府は、王健林氏率いる大連万達集団が海外投資に関する規則に違反したとして罰則を科すことを計画しているという。
資金調達の道を閉ざすことや必要な承認を与えない措置などが計画されているという。
政府は、同社による6件の投資が規則に違反したと判断。このうち4件は既に完了しており、2件はまだ保留の状態だという。
調査対象の取引には、
2017年1月、万達傘下のAMCシアターズによるスウェーデンのノルディック・シネマ・グループ・ホールディングの買収
2016年3月、AMCシアターズによる米カーマイク・シネマズの買収が含まれるとされ、
他の案件については明らかになっていない。
<<大連万達集団>>
<1988年に創業、アジア一の大富豪>
中国人民解放軍の軍人であった王健林により大連において不動産会社として1988年に創設され、後に北京へ本社を移した。
現在は、大型ショッピングモール万達広場や高級ホテルの運営、隣接するマンションの販売など多くのプロジェクトを展開している。
王健林は資産3.5兆円ともされアジア一の大富豪(2017年の米フォーブス調、313億ドル)。
<不動産事業・映画事業・テーマパーク>
また、大連の不動産開発(現在の不動産関連事業は、ホテル、分譲マンション、テーマパーク、ショッピングモール、飲食、金融など)で築いた財産を元手に、中国全土で映画館の買収を開始しており、2012年には国産映画の製作・配給に乗り出している。
2012年、北米映画館大手の1つAMCシアターズを買収功した。
2013年、2017年6月完成を目指し、総工費500億元(約8170億円)投資し、中国版ハリウッドの「青島東方影都(オリエンタル・ムービー・メトロポリス)」」を山東省青島市に開発すると発表した。
敷地総面積は376万平方メートルという東京ドーム80個分の広大な敷地に、映画スタジオ20や音響施設、アニメ制作所などを設置し、映画制作の一大拠点のほか、ホテル8棟・ショッピングモール・アミューズメント施設、ヨットハーバーなども備える映画制作を核とした巨大リゾート・テーマパーク型となる。
2014年7月、米シカゴに米国初となる大型投資で、投資額9億ドル(約1000億円)を投じ89階建て高層ビルを2018年に完成予定で建設中、自社ブランドの「ワンダ・ホテル」などを入居させている計画。
2014年12月、関連子会社の大連万達商業地産が香港証券取引所から新規株式公開(IPO)の認可を取得し、上場。
2015年1月、スペインのアトレチコ・マドリードに20%出資することを発表した。
2016年1月、米ハリウッドの映画制作会社のレジェンダリー・ピクチャーズを買収。
2016年3月、カーマイク・シネマズを買収して、全米最大の映画館運営会社となった。
2016年、FIFA公式パートナーを2030年までの14年間の大型契約を交わした。
2016年12月、欧州最大の映画館運営会社のオデオン・シネマズを買収した。
万達は世界最大の映画館運営会社となった。
2017年、
大連万達は、2016年の年次報告書の中でテーマパークの成功を足がかりに海外進出を加速させる構想を提示したほか、王健林もディズニーが中国で展開する事業を壊滅させる宣言を行い事業拡大に自信を示した。
2017年7月10日、しかし、外貨不足に陥る懸念から中国政府が、海外投資への規制を強化したことに伴い経営が悪化。テーマパークなど観光施設への出資分やホテル等の大半を、融創中国に93億ドル(1兆500億円)で売却する計画を発表した。
<共産党独裁政権と距離・睨まれる>
中国共産党にとって毎年3月開催される「両会」は、各界のエリートを代表に据え、政権の体裁を整える絶好の機会とされる。「両会」代表という肩書は、国政参加や名誉というより自身の実利と直結しているから、各界の著名人やエリートがこぞって代表になり、大会に参加しようとする。
しかし、中国大富豪の№1の王健林と№2の馬雲(アリババ)は「両会」に参加していない。
2011年、「両会」開催中、王健林氏は、「高級贅沢品に掛けられる関税を引き下げるよう提案」した。「関税が下がれば、ブランド品の国内販売価格も下がり、海外で買い物をする中国人を国内市場に呼び戻せるほか、内需が拡大すれば新たな雇用も生まれる」というのがその理由だったが、この案は不採用となった。
(名言)2012年10月、「金融博物館書院読書会」で、馬雲氏は「官僚になるならば決して富を追い求めてはならず、一旦その志を立てたなら、金のことなど忘れてしまうことだ。商売で生計を立てようと思ったならば、権力のことなど頭から捨て去るべきだ。金と権力を同時に追い求めるということは、火薬と雷管をセットにすることに他ならない。つまり、爆発は必至だ」と語っている。馬氏にとって政治にかかわることこそが危険と見ている。(・・・日本でも政権批判は企業にとってタブーとなっている。主義主張を重んじる米国とは異なる。)
<万達と習および共産党幹部の関係>
2015年4月、米ニューヨーク・タイムズは、中国の習近平国家主席の姉が経営していた投資会社が、大連万達集団の株式を大量に保有していたと伝えた。姉夫婦の会社は2009年、非公開の同集団の株を2860万ドル(約36億円)分購入し、習氏が国家主席に就任した2013年に、夫婦のビジネスパートナーに売却したという。評価額は現在2億4千万ドル(約286億円)にまで急騰したが、売買額は不明だが、膨大な利益を得ている。現在、会社はたたんでいるが、姉夫婦の資産は300億円以上とされる。
万達の株は、胡錦濤前国家主席ら複数の共産党指導部経験者の親族が関与する会社が、大量に保有しているという。
以上、
万達は、現在青島の中国版ハリウッドの開発を手がけており、また、シカゴの超高層ビルも工事中であり、資金需要は旺盛。しかし、海外分は投資規制がある。
習に逆らえば、天?罰の刃が必ず降り落とされる国が中国。現在、韓国もその対象となっている。
しかし、習の姉や共産党幹部および胡錦濤の親族企業と深い関係にあり、厳しい措置はとられないものと見られる。
日本でいえば、リクルート事件、だが、中国では政権を批判すれば、全員牢にぶち込まれる。
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