アイコン 中国 不動産恒大問題より電力供給不足問題が脅威

Posted:[ 2021年9月29日 ]

中国政府の昨年8月の不動産バブルに対する締め付けは、ここに来て不動産大手に波及しており、現在問題となっている恒大に限るものではない。
ただ、不動産の現物は政治でコントロールすることができるが、金融は別問題、不動産大手各社はドル建て債により外資を導入して開発しており、被害も拡大する。しかし、世界の低金利・金余り現象で世界の金融大手の懐は潤沢になっており耐えられる。

一方、電力問題は、政府主導によるもので、北京周辺の河北省などから煙突工場を遠くへ移転させ、自動車も新エネ車へのシフトを成功させてきているものの、中南海の人々にとって日常の鼻毛問題の解決には至らず、今回は、環境問題を大義に石炭火力発電所に対する規制を強化、その一環で石炭の供給が大幅に減り、全土で石炭不足から電力供給が落ち込み、製造業に直接影響が出始めている。

石炭の大飯喰らいは、鉄鋼、非鉄金属、セメント、電力などが上げられるが、いずれも基幹産業、中国経済に与える影響は計り知れない。
特に電力は電炉の鉄鋼生産は、H型鋼が建設に影響し、厚板鋼板はインフラ工事や造船に直接影響し、また、ほとんどの工場団地の生産施設は電力で動き、製造業すべてに影響してくる。



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日本などが中国の環境問題につき、過去、多くの提案を行ってきた。しかし、何れもコスト高になることから、胡錦濤体制の10年に続き習近平体制も成長が第1番として、環境問題を省みず、経済成長させてきた。その代わり中南海周辺から煙突工場を移転させるなど小手先のことだけに終始してきた。
しかし、地球温暖化の一つにある中国の煙突、自ら意識したのか、今回、煙突工場の硫黄酸化物や二酸化炭素の排出基準を強化したことにある。

日本の八幡製鉄所がある北九州市などが中国に提案していたときに、その国家利益の一部でも環境対策に用いていれば、これまでに多くの問題が解決していたと見られる。しかし、利益は軍拡に使用し、新エネ車補助など一部を除き環境問題解決に使用しなかったことから問題は先送りされ続け、それどころか経済規模だけが巨大化し、今では手をつけられない状態に至っている。
それを力で軌道修正させようとし、今回の不動産問題も電力問題も生じているといえる。

電力問題は豪州に対する一方的な貿易戦争で生じたとする見方もある。
新コロナ中国起源説を唱える豪首相に対する制裁とされているが、中国が豪の不動産を買占め、豪州議員の買収もしていた親中国政策を、自由党政権になり大きく見直している豪州との因縁の対決ともいえる。

新コロナ起源説言動を機に、豪州からの石炭輸入禁止に始まり、農畜産物まで輸入制限措置、これにより昨年末にも電力問題が生じ、今回は政治による環境規制も電力業界に加わっている。

また、豪州炭輸入禁止により、ほかの海外炭の価格が上昇、新コロナにより疲弊した経済の世界的な経済回復もあり、石炭価格が今年8月は1年前と比較し3倍高の急上昇している。
中国の電力会社は環境問題と石炭調達価格問題に直面し、電力の販売価格の上昇を政府が認めない限り、逆ザヤになりどこの石炭火力発電所も石炭の在庫が底をついているという。

中国政府が、規制を一時的に緩和したとしても、今度は大量購入により石炭価格はさらに上昇することになる。

中豪貿易戦争の余波は、エネルギー資源全般に至っており、原油価格(WTI先物価格)も8月20日の62ドル台から9月28日には75ドルまで急騰。当然、石油火力発電所のニーズに対応したものとみられる(この間、中国は原油備蓄を放出している)。しかし、石炭火力発電所の供給をまったくカバーできず、今日の電力不足に陥っている。

中国が大量調達すると見られるLNG、中国でも多くなってきているLNG発電所用の天然ガス価格(NYM)も、8月20日の3,851ドルから5,841ドルまで5割高の急騰を見せている。

電力不足は中国全土に広がっており、通常、秋は冷暖房が減少し、電力需給は改善される時期、今年はこのままだと秋から冬にかけ大変な年になりそうだ。
中国政府主導で調達に入ったとしても改善するには長期のタイムラグも発生する。

米国ではクリスマス商戦が10月末から始まる。しかし、最後の生産・搬送時期である現在、そうした商品の生産基地での操業停止や生産調整が広がっている。

こうした影響は世界の資源価格にも影響しており、巨大サプライチェーン国でもある中国の生産調整は、全世界の製造業にも影響してくる。
新コロナ急増によるサプライチェーン問題が発生しているベトナム・タイ・マレーシアの比ではない。

当然、中国製品価格も上昇し、世界が中国発のインフレ不況=スタフグレーションに直面する可能性もある。

太子党(お坊ちゃま党)の習近平主席は絶対権力に酔いしれ、団派(共産党青年団)出身で経済に精通した李克強首相と仲が悪く重用しないことから、こうした問題が多方面で噴出してきているものと見られる。
来年秋は国家主席の交代時期、慣例を破り3期を目指すのか、団派が政権を取り戻すのか・・・。権力争いは水面下ですでに激しくなっている。
足元の経済はどうなることやら・・・・。

 

 


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