アイコン 中国人の底力 何でもありの証明書の闇ビジネス


死亡証明書が280元(約5026円)、
火葬証明書が120元(約2154円)、
大学の卒業証書は800元(約1万4360円)、
運転免許証、出生証明書・・・中国のインターネットでニセ証明書を発行する闇業者が暗躍し、それを利用した詐欺が問題になっているという。

中国・重慶市に住むある女はネット上で「2人の子どもに先立たれ、私は進行性の白血病にかかっている。皆さん、身寄りのない私を助けてほしい」と嘘を言い、子どもの死亡証明書と自分の診断書を提示。寄付を募って1年間で9万元(約162万円)を集めた後、証明書と診断書は偽造と発覚した。

他にも、両親のニセ死亡証明書を手に入れて500万元(約8975万円)相当の不動産の名義を勝手に書き換える、夫のニセ死亡証明書で保険金をだまし取り、詐欺罪で起訴された男が保釈中に自分が死んだことにして罪を免れようとした事件、こうした犯罪が後を絶たず、逮捕され刑事罰となる報いを受けているが、発覚していない事例も少なくないとみられるという。

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証明書を偽造する闇業者を探すには、ネット上で「死亡証明書」などと検索してもヒットしないが、「証明」「病気」など複数のキーワードに置き換えると、複数のサイトが登場する。
中国メディアが覆面取材で連絡を取ると、業者は微信(ウィーチャット)でのチャットを要求。ビジネスでなく個人的なやりとりの形を装う。死亡証明書のほか、出生証明、運転免許証、入院証明、検査報告書、大学の卒業証書など多くの偽造が可能で、業者は「書類のサンプルがあるのがベストだが、なくても問題なく作れる。役所の公印や企業・病院の登録印付きは100元(約1795円)の割り増しになる。
今日は午前中だけで40件の注文があった」と説明。名前や性別、住所、生年月日、民族などが分かれば、その日のうちに偽造して郵送するという。

中国では、大半の市民が日常的に電子マネーを利用しており、支払いは電子マネーで決済する。
記者が「証明書は見破られないのか?」と尋ねると、「われわれは4年前からこの仕事でメシを食っている。病院や役所などで発覚したことは一度もない。ただ、警察や裁判所が鑑定するような証明書はリスキーだからやめた方がいい」と話した。

こうした証明書は一見してすぐ偽物と分かるものから精巧なものまである。
中国メディアの記者が実際に闇業者からニセ書類を購入し、知人の公務員や医師に見せると「よくできている。当事者の役所や病院に見せない限り、偽物と分からないだろう」と答えたという。

 最近はニセ証明書ビジネスを問題とした報道が増え、闇業者も慎重になり、「証明書が必要な理由は?」と尋ねるようになったという。
依頼者が、「私にけがを負わせた相手を訴えて賠償金を取りたいので、障害が残ったという診断書が欲しい」と話すと、「違法性が高い」と断る一方、「高利ローンを借りてしまい、いくら払っても返済ができないので死亡証明書が欲しい」、「原因不明の体調不良に悩まされている。会社を休むため病名を付けた診断書が欲しい」という理由なら応じるという。
警察に摘発された場合、「人助けのためにやった」と言い逃れをして罪を軽くする狙いとみられる。

中国では、ニセ証明書の発行は以前から横行していたが、これまでは闇業者が都会の高架道路の下にたたずみ、人づてに聞いた客からこっそり仕事を請け負うというような「ほそぼそとした」やり方だった。
今ではインターネットの普及により、場所や口コミに限らず闇ビジネスが全国に広まるようになった。
中国政法大学法学方法論研究センター研究員の呉国邦氏は、「ニセ証明書の売り手と買い手を罰するのは当然だが、違法ビジネスを野放しにしているプラットフォームも問題だ。闇サイトを排除する技術的システムを開発するなどの義務があり、対策が不十分なら責任を問うべきだ」と指摘している。
以上、AFP参照

 

[ 2022年1月29日 ]

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