中国では長江流域でも黄河流域でもダムのある山間部に雨が降らず、特に今年初夏から長江や黄河の中流域に集中豪雨が断続的に発生している。
そのため、水力発電量が減り、豪州炭の輸入禁止措置や環境問題から政府が石炭の流通を絞り込んだこともあり、中国の全電力の60%を賄う石炭火力発電所が石炭不足に陥り電力不足は過半の省に及んでいる。
しかも石炭が高騰し電力会社は電力価格を大幅に引き上げなければ逆ザヤになり、内部留保も少なく、緊急調達も地方政府が行わなければ調達できない状態だという。電力不足の緊急事態に中央政府は、石炭火力発電所に対して2週間分の石炭在庫を抱えるように命令している。本来、20日間分の在庫を抱えるようになっているが、上記の問題から在庫は3日~1週間程度に落ち込んでいるという。調達に動いても時間がかかる。冬は需要期でさらに石炭が必要となる。
中国では10月に入って、内陸部の広い範囲で大雨となり、このうち山西省(北京市の内陸部で華北地方に入り、さらに内陸部は狭西省・甘粛省に続く、北側では内モンゴル省と隣接している)では、洪水や土砂崩れなどの影響で、これまでに約12万人が避難し、1万7000余りの家屋が倒壊して、死者やけが人も出ている。