アイコン 米商務省 半導体不足顕著と 国内在庫が1/8に減少

Posted:[ 2022年1月28日 ]

米商務省は25日、昨秋、世界の半導体メーカー約150社に対して半導体の生産量、販売量、在庫数などを調査した結果が発表された。

1、各メーカーによる半導体需要の中央値は、2019年~2021年にかけ17%増加した一方で、サプライヤー(生産者)は需要増加に応じて供給量を増加できていない。
2、各メーカーが持っている半導体在庫の中央値は、2019年には約40日分だったものが、2021年には5日未満に落ち込んでいる。この間、1/8の在庫量となっている。
3、半導体不足を引き起こす主要なボトルネックとなっているのは、工場の半導体生産能力。
4、回答した企業は、今後6ヶ月間で半導体不足が解消されるとは予想していない。
としている。

半導体を組み込む電子製品や家電製品、自動車などからのニーズが増加する一方、供給側も生産を増加させているものの、半導体工場の火災、商社やメーカーの買占め、ロックダウン等新コロナによる生産調整など供給に大きな影響が出て、生産量は実質増えていない。
また、システム半導体の場合、1つでも供給減に陥れば、パッケージ化できず、最終製品が生産できなくなるという大きなジレンマを抱えている。そうしたことから、製品メーカーの工場が一時生産停止に追い込まれるケースもいまだ続いている。
また、半導体があってもセットメーカーが新コロナの影響によりパッケージ化できず、大混乱を帰してもいた。



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新コロナパンデミックは、新たなるニーズを生み出した。
リモートワーク、遠隔学習によるPC、タブレット、巣篭もり用ゲーム機需要拡大などによる半導体ニーズが広がり、新たな需要を生み出したり、増加させた。ほかにも自動車、医療機器など多種多様な分野にニーズが拡大し、半導体不足に拍車をかけている。
依然として需要が供給を上回る状態が続いており、その影響はあらゆる分野に及んでいる。

商務省が不足していると指摘したのは、主に医療機器や自動車用チップなどが対象と見られるが、レモンド商務省長官は「半導体供給網は非常に脆弱で、われわれが生産を増やすまで続くだろう」と述べている。
米政権は、半導体メーカーに国内に工場増設を要求、また世界の半導体メーカーに対しては、税制優遇措置など整備して生産工場を半強制的に誘致、国内で生産させることで米国では安定供給が可能になるとしている(米ばかり作ってもセットメーカーがなければ料理にはならないのだが・・・)。

台湾の調査会社トレンドフォースによると、半導体不足は今年の第一四半期ベースで、今後10~12ヶ月続くと見ている。

新コロナ事態では、中国が、外資企業が輸出のために生産した製品まで輸出禁止措置をとり、強制的に国内に振り向けさせた。今後、経済安保面から、こうしたことが各国で多発することも予想される。

米国は、半導体では台湾のTSMCに対して誘致を行い、巨額進出を決定し建設に当たっている。サムスン・SKに対しても同調させ、サムスンは米国で新工場の建設を決定している。
また、半導体だけではなく、バイデン政権が大好きなEVへの車両転換策、そのためのバッテリー工場を米国内に建設するよう韓国3銃士に対し求めている。
LGはGMとの合弁で3ヶ所にバッテリー工場建設、SKは単独で工場をすでに建設中のほか、フォードとも合弁で工場を建設することで合意している。サムスンもシボレーのステランティスとの合弁で工場建設を検討している。

半導体生産でもバッテリーでも部品や材料などサプライチェーン問題が別途ある。垂直に何でもかんでも米国内で作らせようとしているのだろうか。

レアメタルにしても、米国や豪州からレアメタルを含む鉱石が中国へ送られ、中国の安い電力やコークスにより、レアメタルが抽出され、ニーズ先の先進国の工場へ送られている。ところが、レアメタルの価格を高くなるよう調整しているのは最大の生産国の中国でもある。

中国の電力は昨秋の電力不足の大混乱から、企業に対する電力価格が大幅に引き上げられ、連れて半導体やEV用バッテリー価格が大幅に上昇している。
サプライチェーンがより安い価格で生産できる世界中の国を求めて拡散され、今回の新コロナでそうした新自由主義経済の根本問題が浮上してきている。さらに、自国主義はレアメタルや資源などを経済安保に使用する動きも顕著になってきている。天然ガスや原油価格の高騰もそうした一面がある。

 


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