アイコン 中国 官製による不動産バブル崩壊 深センの状況

Posted:[ 2022年3月14日 ]

中国南部の深セン市、若い優秀な研究者が集まり、多くの世界的IT企業が本社を置いていることから、「中国のシリコンバレー」と呼ばれる。
北京市、上海市、広州市と並び中国で最も活気がある都市だが、深セン市不動産仲介協会によると、1月31日から2月6日までの春節(旧正月)の連休中、市内の不動産取引は新規物件がゼロ、中古物件が1件のみとなり、不動産業界に衝撃を与えている。

ある中古不動産業者は「春節連休中の1週間、客と話したのは5分だけ。今年は新型コロナ対策で、帰省を控える『現地で年越し』が奨励されていたので、深セン市に残った人が少しは来るかと期待したんだが…」とため息をつく。

深セン市の不動産市場は、昨年から急激に勢いを失っていた。特に中古物件の低迷が顕著。
2021年に販売された中古住宅は前年比▲57.3%減の4万699戸。過去15年間で最低記録となった。また、今年1月に販売された中古住宅は1557戸で、前年比▲75%減、過去10年間で最低戸数だった。
中古物件は、セカンドハンドという意味で「二手」と呼ばれ、貯金より投資を好む中国では投機対象に選ばれる。景気のバロメーター的役割も果たしているだけに、この状況は深刻。
 背景としては、深セン市に拠点を置く不動産開発最大手「恒大集団」の債務危機の影響のほか、深セン市の不動産価格抑制策が挙げられる。

 



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深セン市は昨年2月、全国に先駆けて中古マンションの「指導価格」を設定。販売価格が指導価格より高い物件に対する銀行の融資を制限した。住宅販売価格の管理を図ったものが、市場の低迷にもつながった。

 前述の不動産業者は「市内の不動産業者は次々と閉店し、レストランを起業したり、中古車販売に転職したりしている。失業した従業員はフードデリバリーをしている」と明かす。
ある不動産店の従業員は「仕事を終えた後、個人タクシーをして午前1時まで働き、朝8時に出勤している。景気が良い時は年収30万元(約548万円)以上あったが、今はアルバイトを足しても月収は4000~5000元(約7万29022~約9万1127円)程度」と嘆く。
 不動産業界からは悲鳴が聞こえるが、それでも「不動産バブル」の行き過ぎを抑えるため、やむを得ない面がある。
深セン市内では、80平方メートルのマンション価格が1000万元(約1億8226万円)を超えるなど、一般市民では購入できないレベルに高騰していた。
新コロナ禍で多くの業界が低迷した時期、不動産に投資を集中したため全国で価格が上昇し、各都市とも価格抑制策に取り組んでいる。
とりわけ価格が跳ね上がった深セン市は荒療治も必要で、深セン市の不動産事情は中国の現状を象徴していると言える。
以上、東方新報参照

中国政府は一昨年8月、「共同富裕論」から、不動産バブルを戒めるため、三条紅線(不動産企業に対して、「①資産負債比率70%超、②純負債資本倍率100%超、③短期債務倍率が100%を割り込む」を基準として、不動産会社を4段階に分類、金融機関の借り換え含む融資を制限させた。
その効果が昨年年初から発生し、中国民間不動産会社で最大の恒大が実質破綻に追い込まれたほか、大中小の多くの不動産会社がすでに破綻している。

ご法度破りの3期目を目指す習近平国家主席は、内政では「共同富裕論」を打ち出し、IT企業で莫大な利益を出したり、巨額の個人資産を得た者たちを吊るし上げ、上場予定企業でさえ、上場させなかったりして圧力を強めている。
一方で、塾等教育会社は規制され、ゲーム会社に対しては、これまでのゲーム内容だけの規制から、学生のSNSゲームの利用時間まで管理規制している。
監視カメラもすでに全国に4億台以上配置しており、5G-AIによる顔・挙動認証により、今やターゲットを瞬時に監視している。

1期5年の中国の国家主席の座、現国家主席は2期までとの慣行を破り3期目を目指すが、そのためには体制を締め付けることになる。締め付けてきた結果できるのかもしれない。
1期目は「不正腐敗撲滅」を大義に政敵を殲滅、2期目は米国との貿易戦争と新コロナ戦争に明け暮れたが、3期目ともなると、内政も外交もプーチンみたいに忖度側近たちばかりになり、大局が見えなくなり判断が狂う可能性が大きくなる。今でも崩れているバランスがさらに崩れ、その鉾先がどっかに侵攻、国内世論を自らに集中させる策動に駆られるのが、これまでの権力者たちの性でもある。いくら長期政権を樹立したとしても毛沢東・鄧小平のように歴史に名を残せるのだろうか。和をもって尊しとなすが・・・。
2期目までにできなかったこととは習氏にとって何なのだろうか。その実現は・・・。
よほどの人物でない限り、長期政権はますます権力を自らに集中させることからろくなことはない。それは右も左も保守も革新もなく言えることではないだろうか。

 


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