隣国の造船会社が第1四半期に世界で発注された船舶の半分ほどをかき集めて受注実績で世界トップに躍り出たといつもの調子で現地で報じられている。
造船・海運市況の分析機関である英クラークソンリサーチ社によると、隣国は今年1~3月、全世界の船舶発注量920万CGT(259隻)の49.7%にあたる457万CGT(97隻)を受注し第1位に、中国は386万CGT(130隻で42%)を受注し2位だった。
隣国は今年第1四半期に発注された14万㎥以上の大型LNG(液化天然ガス)運搬船37隻のうち26隻(70%)を受注。1万2000TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)級以上の大型コンテナ船は38隻のうち21隻(55%)を受注している。
第1四半期の大型LNG運搬船の発注量は計296万CGT(34隻)で、昨年の17万CGT(2隻)比17倍以上に増えた。
<受注残>
全世界の受注残量は3月末基準で9,471万CGT。
国別受注残高は、
中国が3,948万CGT、
韓国が3,238万CGT、
日本が912万CGT。
隣国造船海洋(現代重工業)、サムスン重工業、大宇造船海洋の隣国造船3社は、今年第1四半期に約132億ドル規模の船舶を受注し年間目標額の37.5%を達成した。
以上、
1、隣国の3大造船会社の2021年12月期の決算
(1) 大宇造船海洋は、2021年の売上高は前期比▲36.2%減の4兆4,866億ウォン(約4,200億円)、営業損失▲1兆7,547億ウォン(約1,640億円)、当期純損失▲1兆6,998億ウォン(約1,600億円)と赤字だった。
(2) 現代重工業グループの造船部門中間持株会社である韓国造船海洋の2021年の業績は、売上高は前期比4%増の15兆4,934億ウォン、営業赤字▲1兆3,848億ウォン隣、前期に続き営業赤字だった。傘下の現代重工業の営業利益は▲8,006億ウォンの赤字、現代三湖(サムホ)重工業も▲3,072億ウォンの赤字、現代尾浦(ミポ)造船も▲2,266億ウォンの営業赤字だった。
(3) サムスン重工業の2021年期の決算は、売上高は前期比▲3.5%減の6兆6220億ウォン、営業利益は▲1兆3,120億ウォンだった。
スクロール→
韓国造船大手3社の2021年期の決算/現地報道参照
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売上高
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営業利益
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単位:億ウォン
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売上高
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前期比
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営業利益
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前期比
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韓国造船海洋
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154,934
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4.0%
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-13,848
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うち現代重工
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-8,006
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うち現代三湖
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-3,072
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うち現代尾浦
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-2,266
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サムスン重工
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66,220
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-3.5%
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-13,120
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大宇造船海洋
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44,868
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-36.2%
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-17547
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・現代造船3社の中間持株会社は「韓国造船海洋」
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3社の営業赤字で共通するのは鋼板価格の上昇。船舶は受注してから完成までには2~3年かかり、その間に鋼板価格の大きな変動があれば、損益に大きな影響が出る。
特に隣国勢は世界中で安価に受注しまくっており、前回の2015年当時の造船危機では3社とも銀行管理下に一時置かれ、選別受注を強化したことから、受注が大きく減少していた。2017年5月文政権になり、造船業界の不況をクリアすべく銀行管理下を解除させ、造船業界は再び安値で取り捲り、そうした受注分が前々期は一部赤字となり、前期は3社とも営業赤字になっている。
2、新コロナからの経済回復 船舶逼迫は解消へ
経済回復で世界の物流量は増加する。しかし、新コロナ事態下では膨大な船舶が、港湾荷役が滞り、港外に長期にわたり待たされ船舶滞留現象が発生、運搬船不足に陥り、船賃が高騰してきた。
しかし、新コロナが収束すれば、そうした滞留船舶はなくなり、船賃は下落することになる。新コロナ以前から欧州の大手海運会社は物流コストを引き下げるため、超大型船に切り替え、新コロナ事態でも新規投入し続けており、旧型船や中型船などは売却している。
そのため世界の総船舶数は増加し続けており、世界の物流量とのバランスが悪化する可能性もある。
不透明なのは、欧米のロシア制裁、ロシアの海運物流量への影響、穀物、資源、原油、LNGなどの輸出が制裁で減少しようが、まだどれほど影響を受けるのか見えてこない。すでにロシアへの輸出は、輸出禁止に触れ輸出しなくなった製品や、契約が終了した段階で契約更新しない企業がほとんどで、大幅に輸出入に使用される船舶は減少するものと見られる。
スクロール→
バルチック海運指数
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2018年1月
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1,250
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2019年1月
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1,200
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2020年1月
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770
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2021年1月
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1,750
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2021/10/8
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5,526
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2022/1/1
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2,289
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2022/2/4
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1,423
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2022/4/7
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2,061
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