露制裁により、ロシアが欧州にパイプラインで供給している天然ガス価格は、ロシアが供給をもてあそび急騰、天然ガスの世界最大の生産国で消費国である米国では、自国で消費に回すより液化しても欧州で売った方が儲かると輸出され、米国の天然ガス価格も急騰している。
米国では6月にはLNG化施設の火災などで一時5ドル台まで下がった天然ガス価格は、施設の修復とともに戻るどころかさらに高騰している。
これは、ロシアがドイツ等に対して天然ガスの供給をさらに絞ったことによるもの。
欧州では、露制裁により原油は今年中に9割減少させるとしているが、天然ガスは簡単にはほかの生産国から運搬もできず、零下163度に液化して運ぶ必要があり、パイプラインで直結された露産天然ガスに依存したままになっている。
原油は大きな化学産業を抱え、景気に敏感に反応するが、天然ガスは主に熱源に利用されており、冷暖房の電力・暖房、都市ガス・産業用火力として利用され、生活密着型で気象に左右される。
現在の地球温暖化による異常気象下では、夏場の異常な高温や冬場の低温の発生確率が高くなっており、夏場の冷房、冬場の暖房が欠かせないものとなっている。
欧州でもほとんどの国で、日本のように価格統制がしかれているが、それでも大幅に上昇している。
米国ではインフレ退治の金利高により景気悪化指標も出て、原油価格も一時より大幅に下がっている。しかし、まだ雇用など好況を反映した数値もあり、9月さらに米国では金利を0.75%引き上げ、3.25%(今年2月0.25%、7月2.5%)にするという。日本円の金利は動かざること山の如しで▲0.1%のマイナス金利を堅持したままとなっている。
その米日の金利差に対ドル円は暴落してきた。8月23日現在137円となっている。
日本の個人資産の中でも流動性資産=預金が、大挙して金利が高い米国へ100兆円単位で流出した場合、日本は即刻、破産する状況となっている。
なお、石炭価格は昨年9月の中国の石炭ショックから高騰を続け、さらに露制裁により高次元の高止まりが続いている。
それは、高価な天然ガスや石油より安価な石炭に発電を切り替えている発電所が多く、需要旺盛であることによるもの。「生活あっての環境」を最も表している。
環境を云々する欧米ですら、昨年から発電を天然ガスから石炭に切り替え、外貨準備高も限られる資源のない新興国の発電ではその主力となっている。
元々、資源・商品価格の高騰は、昨年の米バイデンの1.9兆ドルの新コロナ経済対策が引き金となっており、さらに今年3月7日の露制裁により、暴騰しているもの。
環境派のバイデンの近視眼的1.9兆ドル投資政策が環境を破壊している。単なる人気取りのため、環境を犠牲にさせた。
政治家がいくら環境で高尚なことを言っても国民が賛成しない限り、自らの立場も危うくなる。民主主義国家では、選挙民対策がすべてに優先され、こうした事態を招く。民主主義国家には国民が困らないだけの所得が前提になるようだ。
スクロール→
先物相場の推移
天然ガス
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原油
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石炭
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米国
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欧州LNG
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米WTI
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ドル/トン
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NYM/ドル
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TTF/ユーロ
|
ドル
|
19/12月末
|
2.292
|
14.00
|
59.80
|
74.00
|
21/8月末
|
3.860
|
51.00
|
67.74
|
170.95
|
22/1年初
|
3.880
|
80.43
|
78.04
|
174.00
|
3/7日
|
4.650
|
227.20
|
112.13
|
422.65
|
5/2日
|
8.126
|
97.05
|
107.2
|
299.80
|
6/30日
|
5.424
|
144.51
|
105.76
|
385.95
|
8/23日
|
9.957
|
276.75
|
91.25
|
418.35
|
昨年
8月比
|
158.0%
|
442.6%
|
34.7%
|
144.7%
|
2.5倍
|
5.4倍
|
1.3倍
|
2.4倍
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