日本の貿易赤字は単にエネルギーだけの問題ではない。今や多くの日本企業が中国初め東南アジア各国へ進出している。
赤字相手国としては、中国はほとんどの年が大赤字、EUもFTAを締結したものの万年赤字が続いている。
日本の黒字相手国は、東南アジアと米国がほとんどを占めている。その米国は安全保障上の観点から半導体関連についてCHIPS法を制定して中国排除に動いている。
しかし、米国が最大の黒字国であり、その米国がCHIPS法により半導体工場を空前の規模で誘致し、ほとんど0だった半導体製造装置関連の輸出が急拡大すれば、米中貿易戦争のように、今度は再び貿易赤字解消を日本に求め、日本に対して貿易制裁に動く可能性もある。
それが生じた前回は、バブル崩壊により20年・30年間も沈滞した日本経済の主要因でもあった。米国は自動車工場を米国に造らせ、半導体を潰し、芽が出ていたITソフトもその対象にした。
日本から中国や東南アジアの現地工場へ輸出している材は少なくない。日本企業は貿易赤字の観点から日本潰しに動いてきたアメリカ合衆国が再度、日本潰しに動く可能性もあり、経済分野まで過度に圧迫すれば中国が日本貿易制裁に動く可能性もある。
最先端技術分野の研究論文数の研究者たちの引用数は、今では中国がナノ粒子、有機半導体、光触媒などの分野で既に米国を抜いており、二次元物質、ナノ電子機械システム、ペロブスカイト太陽電池など有機半導体素材・応用分野でも成果を上げている。
それほど中国政府は、電子分野の研究および開発部門に対して国を挙げて対応している。
一方、日本は、産業の米と称して半導体生産世界一だったが、何回にも及ぶ米国の通商交渉圧力により、政府は「はいはい」と言われたとおりにして没落させられ、最後は研究予算を最大限絞った米国カブレの小泉により自ら息耐えさせた。
ただ、現在の中国は、独裁政権にしてしまう3期目に突入した習近平体制は安全保障上危険度が極めて増しているのも事実。
米国に追随することはある意味必要だが、追随するだけではなく日本独自の戦略もあるはずだ。
これまでの米国を見る限り、中国に対する日本の輸出規制品目は、独自戦略で極小化する必要があるのではないだろうか。
昨年10月の米国の対中輸出規制(EAR)での具体例は、
1、メモリ半導体
DRAMは、回線幅16nm又は14nm以下のロジック半導体およびハーフピッチが18nm以下
NANDは、積層数が128層以上。
2、開発・製造用途の上記EAR(輸出規制)対象品目すべて
先端半導体のキー部材だけの製造も「半導体製造」に該当、よって先端半導体製造施設で使われるものは、非先端IC用でもオフィス家具でも該当する。
2の部分はとんでもない部分だ。
日本の半導体製造装置は、蘭ASML(12nm以下を可能にした極端紫外線露光装置の独占企業)のような直接的に抵触するものは限られているが、広範囲に捉えれば、日本企業製半導体製造関連装置の規制対象は限りなく増加し、極端なことを言えば、材も含め全部該当することになる。
一方、米国は、中国へパソコン、サーバー、iPhone、タブレッド、ウェアラブルなど米企業の中国進出工場や委託生産工場に向け、最先端の半導体が世界中から大量に輸出され続けていることを容認している。
日本は田中角栄を除き歴代、米国に対して「はいはいおじさん」ばかりしかトップには付かず、さらに失われた30年を繰り返す可能性すらある。残るは増え続ける紙切れ(国債残)だけになるかもしれない、
経産省が権力を振りまいても、官僚トップバッターが同性婚者は見たくもないという世界レベル、原発管掌のフクシマ原発の大爆発でも誰一人刑事訴追されない統治機構とド官僚体質のままでもある。
岸田政権が熟慮せず、米国から言われるがままに経産省に委ねることは危険極まりない。
今回の半導体製造装置関連の輸出規制においてはオランダと日本だけ、ドイツや韓国を入れていないことも腑に落ちない。
スクロール→
日本の全輸出額推移 中国+香港/財務省
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/億円
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総輸出
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中国
|
香港
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計
|
中香構成
|
2017年
|
782,864
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148,897
|
39,740
|
188,637
|
24.1%
|
2018年
|
814,787
|
158,977
|
38,323
|
197,300
|
24.2%
|
2019年
|
769,316
|
146,819
|
36,653
|
183,472
|
23.8%
|
2020年
|
683,991
|
150,820
|
34,145
|
184,965
|
27.0%
|
2021年
|
830,914
|
179,843
|
38,904
|
218,747
|
26.3%
|
2022年
|
981,859
|
190,066
|
43,574
|
233,640
|
23.8%
|
|
半導体製造装置の販売高と中国
|
|
/億円
|
総販売高
|
前年比
|
うち中国
|
構成
|
2017年
|
1,864,592
|
|
|
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2018年
|
2,230,018
|
24.4%
|
|
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2019年
|
2,032,948
|
-12.4%
|
|
|
2020年
|
2,243,875
|
10.3%
|
|
|
2021年
|
3,076,756
|
37.1%
|
630,600
|
20.5%
|
2022年
|
3,851,699
|
25.1%
|
992,400
|
25.7%
|