アイコン 豪原潜新造契約を破棄されたフランス激怒、ドイツも仏に同調 破棄事情


バイデン政権はトランプ政権とは党派は異なるもののまったく同じと書いたことがあるが、交渉術はトランプ政権に大きく落ちる。

オーストラリアの潜水艦の新造計画、2014年当時、日本は新開発した「そうりゅう型」潜水艦を持ち、日本が十中八九受注するものと見られていた。
当時の安倍首相は武器輸出3原則を取っ払い、潜水艦の輸出を可能にした。豪に輸出するため取っ払ったと言っても過言ではなかった。
しかし、仲が良かったアポット豪首相が豪与党内の政争で失脚、安倍首相は新首相のターブル氏とは脈がなく、新首相に近づこうともせず、豪新政府は2016年に潜水艦建造を新たに入札にかけ、それまでの経緯からドイツが落札すると見られていたが、フランスが390億ドルで落札していた。
受注額は4兆円、追加等により総額7兆円規模とされている。

フランスは当事業をすでに進めている中、今年9月、いきなりオーストラリア政府はフランスとの契約を破棄した。これには、豪中貿易戦争が絡んでいる。

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SARS CoV2ウイルスの起源は中国だと暗に中国批判を展開したモリソン豪首相、これに怒った中国習政権が豪州産のワインや石炭の輸入を制限、さらに農産物輸入の制限を拡大した。中国では昨年末には石炭不足から電力供給が一時途絶える地域があったほどだった。
こうした仕打ちに怒ったオーストラリアは、クァッドなど加盟して中国への対抗姿勢を強化している。
豪は労働党政権時代、中国からの投資を期待して中国に対して大幅な規制緩和措置をとり、多くの豪議員たちは中国から買収され言いなりになり、不動産も買い占められた経緯がある。自由党政権になり、中国政策が大きく見直され、こん日に至っている。

中国は、豪労働政権時代に北西の都市ダーウィンの港湾に99年間の租借権を有している。その隣には米軍基地がある。その租借権もモリソン首相は見直す動きをしている。
中国習政権がオーストラリアに対して強硬姿勢をとるのはこうしたことも背景にある。
豪中関係は、契約した2016年当時と大きく変わっている。

しかし、フランスは、一方的な契約破棄に激怒。これにはEUを形成しているドイツも同調している。トランプ政権発足当時のNATO会議ではトランプ大統領から拠出金が少ないと、独メルケル首相が名指されコケにされた。独仏はNATO軍から撤退し、欧州軍創設まで議論した。

時はバイデン大統領となり、米欧関係の修復が期待されたが、今回の潜水艦問題は完全に水をさすものとなっている。

結局、日本製兵器は高品質だけど親方日の丸により超高価、世界での競争力をまったく持たず、導入する国もなく、供与方式などでわずかに提供しているに過ぎない。

<オーストラリアの潜水艦建造計画>
オーストラリアは、ドイツから技術を導入したコリンズ級潜水艦(水中排水量約3,300トン)は、1998年より就役開始、2003年までに全6隻が就役。しかし、コリンズ級は、騒音劣悪、信頼性低く、故障頻発するシロモノであった。
オーストラリアは、2009年のオーストラリア国防白書においては、後継艦として「SEA1000」を策定、2030年代に12隻を就航させ、中国の台頭を念頭に必要に応じ遠海域での作戦行動、対潜・対水上艦船攻撃能力、戦略打撃能力、機雷敷設及び探知能力、情報収集、特殊部隊の潜入・脱出支援、戦場情報収集支援等も行える通常動力型潜水艦の取得を目指し、フランスと契約した。

<最近の軍事同盟>
「5アイズ」(UKUSA協定)は、英語圏=アングロサクソン系の米英加豪NZの5:ヶ国による秘密協定。2020年には日独仏韓も+アルファされた。

「クァッド」(四ヶ国戦略対話)は、米英豪日印が加盟している。ただし、インドは対中国以外軍事的には中立を維持している。

「AUKUS」(オーカス)は、stralia+United Kingdom+United States」の頭文字)、2021年9月15日に新たに発表された3ヶ国軍事同盟。
中国の軍事力強化に対抗するため米・英・豪による原子力潜水艦の開発および配備を支援し、太平洋地域における西側諸国の軍事的プレゼンス(影響力)を強化することを目指している。

<米国の思惑>
米国は中国と対抗するためには自国だけでは限界と見ている。そのため、同盟国に軍事力強化させ、総合的に対抗する政策に転換してきている。
これまで輸出厳禁としてきた源潜の輸出ならびに製造技術、それをオーストラリアに開放することで、軍事力強化を図り続ける中国に対抗させようとしている。
香港問題が中国の力でねじ伏せられ、次は台湾問題が急浮上している。もしもの場合、軍事力を増した地域同盟国が主体で動けば、米軍も助かる。

<小型原子炉の販売加速>
米国は東日本大震災によるフクシマ原発大爆発や過去の原発問題もあり、住民の抵抗や開発規制も強化されている。
そうした中、マイクロ原発計画が急浮上している。しかし、既存原発より安全性が高いとされるものの、住民の抵抗や地域規制もあり、なかなか進んでいない。
そうした中、豪州の潜水艦向けにマイクロ原発を納入されれば、米軍事企業も助かる。

(韓国文政権は米国から原潜の売却や製造技術供与を求めたが、2020年までに米国は断っている。しかし、韓国の軍需企業斗山は、マイクロ原発を開発している米ベンチャー企業に2度にわたり資本参加、マイクロ原発の製造を受注し、その技術を取得しようとしている。当然、文政権下策定された原潜の自国開発計画を念頭に置いたものでもある。すでに米企業は米国内でマイクロ原発を電力会社から受注しているという。残るは米国からの原潜用の高濃縮ウラン棒の調達となる。原潜も動力源の原潜と核ミサイルを搭載する原潜とを区別している。当然、機密情報が兵隊さんや関係者の皆さんから中国などへ売却されたり、ハッキングにより北朝鮮に盗まれたりするリスクがある)

また、米国はマイクロ原発を民用として海外へ輸出する計画も有している。日本は小泉時代、聖域なき削減により、小型原発の研究施設を廃棄している。
マイクロ原発は、安全性は大型炉より格段に安全とされるが、構造は基本同じ、危険性はまったく同じものとの見解もある。
使用済み核燃料のウラン棒の処理方法はいまだ見つからず、世界中の原発で貯まる一方になっている。日本も同じ。巨額を投じ、核リサイクル施設は造ったものの技術が伴わず、巨額飯食い施設として国民の電気料金に発電原価として上乗せられている。
ゆくゆくは巨大ロケットに使用済み核燃料を積み込み、銀河系以外の宇宙へ廃棄することも考慮されている。


 

[ 2021年9月22日 ]

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