加シリコンバレー銀行、NYシグネチャー銀行、加ファーストリパブック銀行・・・3月から3行破綻
米国の銀行はそれまでの低金利策より不動産業界への貸付が大幅に上昇している。一方、22年12月のNYマンハッタンでさえ空室率は22.2%、低金利で再開発を開始した不動産が完成してきており、空室率を押し上げるとともに募集賃料も上昇している。
原因は、オフィス需要にあるが、NY市のオフィスワーカー数は150万人(22/12月)を超え、これまでの最高になっているものの、ホームワークの増加でオフィス需要は乏しくなっている。
全米の主要都市の都心部のオフィス空室率は22年11月現在20%を超えるとされ、その後、さらに拡大している可能性が高い。
リスト(配車サービス・自動運転技術/トヨタ傘下)は4月30日、あまりにも社員たちが会社に出勤しないことから、週3日出勤することを義務付けたと報じられほど米国ではリモートワーク・ホームワークが進んでいる。
カルフォルニア州では3月10日、シリコンバレー銀行が破綻、特にスタートアップ企業に対する出資や融資が多く、そうした企業が事務所整理に入り、続いて、同州のファースト・リパブリック銀行まで破綻(競売にかけられる)。それ以前からツイッター社を買収したイーロン・マスクによる大量解雇に伴うオフィスビル撤退などもあり、サンフランシスコのオフィス空室率は50%前後まで上昇しているとされる(22/9月現在24.1%だった)。
こうしたオフィス不動産会社に対して銀行は多くの融資を行っており、今後、不動産を起因とした銀行問題が襲い続けると指摘されている。オフィスビルの流通価格も大幅に下がってきているという。
意外と早く更に火を噴く銀行が早期に出てくる可能性が高い。
噂や情報はネットであっと言うまに広がり、槍玉に挙げられるとネット回線で瞬く間に預金が引き出され、銀行は商売できなくなる。
投資会社のバークシャー・ハサウェイのマンガー副会長は4月下旬、「銀行は半年前より不動産融資について、かなり厳しくなっている」と述べている。不動産会社の資金が回らなくなれば破綻するしかなく、多くの債権を抱える銀行が焦げ付くことになる。その間、資金調達するため、不動産売却など進めれば、不動産市場が暴落する可能性も秘めている。
ただし、失業率(3.5%/23年3月)も空前の低さ、賃貸住宅物件は全米での就業者数の増加とともに空き室率はきわめて低く、賃料も上昇が続いている。
なお、東京都区部のオフィス街5区の空室率はリーマンショック後の2010年8月の9.17%が最高、20年2月の1.49%が最低で、23年3月は6.41%まで悪化している(三鬼商事版/大規模再開発ビルが東京五輪向けに大量に完成し、再開発で転居していたオフィスが新しいオフィスに引越し、空いたオフィスがそのまま新テナントが決まらず、空室となり、率が上昇しているもの。