任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」は20日、東洋建設に対するTOB(株式公開買付)提案を取り下げると発表した。
2022年5月に買収する方針を明らかにしてから交渉を続けていたが、TOBの前提としていた会社側の同意を得られなかった。1年半の対立に幕を下ろすことになる。
東洋建設は今年12月14日にYFOのTOB提案に反対すると発表していた。
山内氏は大見得を切ったからには敵対的買収をしてでも取得すべきだろう。
12月下旬までにTOBで買い付けを始めることを目指していたが、東洋建設取締役会の賛同を最後まで得られなかった。
YFOは、現時点で株価の1株1200円の株価を超える価格提案は難しく、東洋建設取締役会の賛同を取り付けるなどTOBの前提条件を満たすのは困難と判断したとしている。
東洋建設の取締役会は、YFOが提案したTOB後の取締役がYFO側が過半を占める役員構成に、今月14日に全員一致で反対意見を決議していた。
以上、
東洋建設は、小泉政権が公共投資を極端に削減させ、入札方式も無制限競争方式に切り替えたため国の工事でも0円入札が横行した。
日本衰退の根源である小泉純一郎の政策で、公共事業に依存するマリコンや土木工事業者の多くが経営危機に陥った。南満州鉄道の血をひくマリコンの東洋建設も危機に陥り、助け舟を出したのが前田建設工業だった。そうしたことから前田建設は東洋建設の20.19%の株を有している。前田の持分法適用会社ながら、前田建設は取締役を東洋建設に派遣しておらず、役員構成は東洋建設独自で構成させている。
そうした中、前田建設工業は1兆円企業を目指し、前田道路など子会社を買収して持株会社方式に改めインフロニアHになった。
インフロニアは1兆円計画の下、昨年3月、東洋建設も子会社化を推進し、1株750円でTOBを執行した。
しかし、最中に、大金持ちの任天堂創業家の山内氏がチャチャを入れ、価格も1000円としたことからごちゃごちゃになり、インフロニアのTOBは不成立に終わった。
インフロニアは東洋建設買収のため用意していた資金かどうかは不明だが、先般、日本風力開発を2000億円で買収している。
TOB物語
1、昨年3月、インフロニアは東洋建設に対し、非公開化を前提にしたTOB(価格1株770円)を提案。東洋建設もTOBに賛同し、インフロニアの傘下入りを決定した。
2、そこに割って入ったのが、任天堂創業家の資産運用会社、ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)だった。インフロニアのTOBは失敗した。
市場で株式を買い進めたYFOの持株比率はインフロニアより多い27%の筆頭株主に躍り出ていた。
3、東洋建設はYFOが主張する非公開化、YFOの完全子会社化に取締役全員が反対した。先に計画が見えないことも一因となった。
しかし、YFOの中途半端さは敵対的買収に進めず、円満に買収する動きに徹した。YFOの運用資金は1000億円あまりとされ、すでに多くが出資もされている。
4、昨年7月、YFOは東洋建設と協議し、一旦、東洋建設はインフロニアが持つ20%の株を買い戻すとまで発表した。(YFOに乗る動きだったと見られる)
5、数日後に東洋建設はインフロニアの持株買戻しを撤回した。
この撤回にはインフロニアとの密約があったとされ、東洋建設役員はインフロニアの役員になる保証がなされたか、保証がすでにあったとされる。
6、YFOは今年9月26日、東洋建設の株価上昇で1255円でTOBを実行すると発表した。しかし、それでも東洋建設の役員は一致してYFOの買収に反対した。
7、すったもんだしてもYFOの思いのままに動かない東洋建設の役員たちに痺れを切らし、YFOは12月20日東洋建設のTOBから撤退すると表明した。
8、インフロニアは東洋建設に対してどう動くか、
YFOがTOBで提示した1株1,000円、インフロニアはどこまで増額したら再TOBに応募するのだろうか。現行株価でも1200円台。最悪、YFOは村上ファンドに所有株を譲渡する可能性もある。ただ、YFOの調達コストは株価から550円前後と見られる。
株価は下げても1000円は下らず、YFOはこの間所有し続けたことから、2年間せずして2倍になり大儲かりとなる。
逆にインフロニアは、買収予定額が当初の倍以上が必要となる。任天堂のチャチャは花札の損よりきつい。
国内の海洋・陸上土木に強い東洋建設には、国が執行している国土強靭化政策がシリーズ化され、2014年から続いており、2020年からは国土強靭化迅速化政策になり、2025年からは国土強靭化超特急政策が予定され、その次は国土強靭化リニア速政策により、永遠と毎年、全国津々浦々に国土強靭化資金がバラ撒かれ土木会社の安泰は続く。
スクロール→
東洋建設 決算推移
|
連結
|
売上高
|
営業利益
|
同利率
|
経常利益
|
株主利益
|
17/3期
|
152,587
|
7,123
|
4.6%
|
6,326
|
4,303
|
18/3期
|
172,635
|
10,828
|
6.2%
|
10,534
|
7,050
|
19/3期
|
163,860
|
7,815
|
4.8%
|
8,069
|
5,445
|
20/3期
|
174,805
|
9,268
|
5.3%
|
9,168
|
5,766
|
21/3期
|
172,976
|
14,259
|
8.2%
|
14,103
|
9,176
|
22/3期
|
152,524
|
9,616
|
6.3%
|
9,139
|
5,863
|
23/3期
|
168,351
|
8,995
|
5.3%
|
8,551
|
5,656
|
前期比
|
10.4%
|
-6.5%
|
|
-6.4%
|
-3.5%
|
|
23/3Q2
|
73,481
|
2,399
|
5.2%
|
2,381
|
1,779
|
24/3Q2
|
88,764
|
4,190
|
4.7%
|
3,668
|
2,179
|
中間比
|
14.3%
|
12.3%
|
|
12.3%
|
6.1%
|
|
24/3予
|
192,500
|
10,100
|
5.2%
|
9,600
|
6,000
|
24予/23実
|
14.3%
|
12.3%
|
|
12.3%
|
6.1%
|
↓東洋建設株価・時価総額
月初
|
株価推移
|
22/2.
|
598
|
22/3.
|
775
|
22/6.
|
889
|
22/9.
|
851
|
22/12.
|
859
|
23/3.
|
916
|
23/6.
|
1,087
|
23/9.
|
1,218
|
23/11.
|
1,330
|
23/12.
|
1,207
|
12/20日
|
1,207
|
時価総額
|
1,139億円
|
株発行数
|
61,371千株
|
インフロニアHD(前田建設工業)1824⇒5076
|
22年3月期決算
|
連結/百万円
|
売上高
|
営業利益
|
←率
|
:経常利益
|
株主利益
|
17/3期(前田)
|
422,587
|
23,103
|
5.4%
|
27,363
|
23,941
|
18/3期(前田)
|
467,724
|
35,386
|
7.5%
|
37,018
|
23,057
|
19/3期(前田)
|
492,087
|
35,944
|
7.3%
|
38,363
|
23,952
|
20/3期(前田)
|
487,856
|
34,045
|
7.0%
|
36,597
|
14,342
|
21/3期(前田)
|
678,059
|
46,343
|
6.8%
|
45,665
|
23,275
|
22/3期
|
682,912
|
37,489
|
5.5%
|
38,036
|
26,689
|
23/3期
|
709,641
|
40,495
|
5.8%
|
41,768
|
35,870
|
23/22期比
|
3.9%
|
8.0%
|
|
9.8%
|
34.4%
|
|
23/3Q2
|
313,490
|
14,693
|
4.6%
|
16,047
|
13,292
|
24/3Q2
|
353,124
|
19,917
|
5.6%
|
20,888
|
13,541
|
前中間比
|
12.6%
|
35.6%
|
|
30.2%
|
1.9%
|
|
24/3期予
|
762,900
|
41,300
|
5.4%
|
42,500
|
27,500
|
前期比
|
7.5%
|
2.0%
|
|
1.8%
|
-23.3%
|