今年2月の韓国のエコカー輸出台数は前年より▲13.8%減少した。3年2ヶ月ぶりのマイナス成長となった。世界的な電気自動車(EV)需要の低迷が影響を及ぼしたと分析される。
(2月の輸出は3月の販売に反映してくることから3月も芳しくないのかもしれない)
3月20日に発表された韓国自動車モビリティー産業協会(KAMA)の「2024年2月の自動車産業の動向」(暫定)によると、
今年2月のエコカー輸出台数は5万3369台で、前年同月の6万1910台に比べ▲13.8%減少した。
前年同月比で輸出台数が減ったのは2020年12月以降で初。
エコカーにはハイブリッド車、EV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車などが含まれる。
目立ったのはEVの輸出減少。先月の輸出台数は2万4318台で、前年より▲20.7%減。2021年7月以降初の減少となった。
HV=ハイブリッド車の輸出台数も2万4722台で前年より減少したが、減少幅▲2.2%はEVより小さかった。
急速に成長していたEV市場は、今年に入って低迷している。新たな技術に関心を傾けていた消費者のEV購入心理が充電インフラの不足、政府による補助金の削減などで以前より冷めつつある。いわゆる「キャズム」(大衆化前の一時的な需要の停滞)。
世界的に2021年から増加しだしたEV需要の現在の低迷は、韓国のエコカー輸出にかげりを見せている。
SNEリサーチは、今年2024年のEVの世界販売台数は1,675万台と見ている。増加率は昨年より低い19.1%増。昨年のEVの登録台数は対前年比で33.5%増の1,407万台だった。
以上、
韓国勢は現在、不敏なEVより脚光を浴びているHVやPHVを有しながら、HVさえ伸びていないのは、昨年の増加がEV効果で増加していたことからその反動とも見られる。
EVは高いというイメージを作り上げ、高く販売してきたEVメーカー、しかし、米国では半年間で環境派と初物喰いに一巡し、IRA補助金を付けても売れず、大幅値引きである程度販売台数をキープしている。しかし、それは営業利益率を落とす原因となっており、これまで高い利益率でEV業界を牽引してきたテスラさえ、今では並みの自動車メーカーIRAの営業利益率まで落としている。
こうした販売不振での副作用はメーカーやディーラーの在庫増、中古車価格の暴落というマイナスを生じ、生産計画の見直しや販売計画
EV販売台数を世界で見る場合、中国は除外する必要がある。
すでに中国ではガソリン車と同等もしくは安価にEVが販売されている。
欧米の100%もしくは主流は高価なコバルトやニッケルを使用する韓国勢の3元系バッテリー、一方、中国勢のLFP電池はその2つのレアメタルを使用せず3割前後バッテリー価格が安価なことから、中国勢は安価なEV価格を提供できることになる。(中国は世界最大のレアメタルの生産もしくは抽出国)
(中国勢は3元系も製造できるが、より安全で安価なLFPを進化させ、走行距離を大きく伸ばしたタイプを2021年から市場投入している。韓国勢はそうした新タイプのLFPは造れない)
中国に対して、欧州は米国に比べ圧倒的に垣根が低く、中国勢は確実にEVの輸出台数を増加させている。
バッテリー世界最大手の中国CATLは2022年末からドイツの工場で生産開始、すでに一部のベンツ等にLFP電池が搭載されている。
また、中国EV最大手のBYD、2023年12月に欧州初となる生産工場をハンガリーに建設すると発表している。BYDは廉価版EVを前面に打ち出し23年の販売実績は306万台(EV世界一)、24年は420万台と23年に比し40%近い増加を計画している。BYDはバッテリーでもCATLに次ぐ存在でもある。
米次期政権もわからない。
3元系で進めれば高いEVしか造れず、EVは国民に大衆化されない。
政府補助金も見直される可能性もある。
安価なEVを実現するためにはLFPを導入するしかなく中国との壁がある。
フォードは米国でCATL-LFPをライセンス生産するとしたが、昨年9月工場建設を中止している。テスラもそうした話があったが立ち消えしている。
韓国勢の2023年の米国販売はEVブームに乗り、大幅な販売台数の増加を見た。今年はその反動もあり、伸び率は1月▲4.6%マイナス、2月も1.6%増と低迷している。23年後半からEVの販売は値引き合戦に参戦しなければ売れない状況に陥っている。
現在の売れ筋のHVもPHVも強力にラインアップしていた現代G は、EVシフトが強すぎたのか、HVは生産が間に合わず2月のHV輸出は前年同月比マイナスになっている。
ただ、EV生産は大幅増産体制をとっていたため在庫増となっており、その処理に安売りすれば営業利益の大幅減となる。
2023年期の現代自の売上高は前年期比14.4%増の162兆6636億ウォン、営業利益は前年期比54.0%増の15兆1269億ウォン(約1兆6700億円)、営業利益率は9.3%と22年期の6.9%から2.4ポイントも急増させていた。
メーカーは、EVは高い高いと言いながら、超円安政策の日本以外、資源株は落ち着いてきており、下げられる要素を持ちながら補助金があることから下げず、それでも売れなくなり、大幅な値引きをせざるを得なくなっている。テスラも前第3四半期は前年同期比、17%から8%台まで営業利益率を落としている。株価も12月末255ドル、3月21日は172ドルまで下げている。
(EV価格100、うちバッテリー価格は25~40、バッテリー価格を100%として、うちレアメタル等材料代は80%/結果、EV車両価格に占めるバッテリー材料代は20~32%/材料費が下がれば販売価格も下がるはずだが・・・売れれば下げたりしない)
スクロール→
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2023年 韓国勢の自動車販売台数推移
|
|
現代
|
起亜
|
現代G:計
|
前年比
|
1月
|
55,906
|
51,983
|
107,889
|
14.8%
|
2月
|
61,252
|
60,859
|
122,111
|
16.2%
|
3月
|
81,060
|
71,294
|
152,354
|
23.4%
|
4月
|
76,669
|
68,205
|
144,874
|
15.2%
|
5月
|
75,606
|
71,497
|
147,103
|
20.8%
|
6月
|
75,354
|
70,495
|
145,849
|
9.9%
|
7月
|
72,857
|
70,930
|
143,787
|
12.1%
|
8月
|
71,499
|
72,147
|
143,646
|
6.0%
|
9月
|
75,605
|
67,264
|
142,869
|
18.4%
|
10月
|
66,529
|
59,164
|
125,693
|
2.0%
|
11月
|
76,066
|
58,338
|
134,404
|
7.5%
|
12月
|
81,967
|
60,275
|
142,242
|
2.6%
|
23計
|
870,370
|
782,451
|
1,652,821
|
12.1%
|
|
2024年
|
|
|
現代
|
起亜
|
現代G:計
|
前年比
|
1月
|
51,812
|
51,090
|
102,902
|
-4.6%
|
2月
|
64,946
|
59,059
|
124,005
|
1.6%
|
EV・レアメタル等 国際相場 ドル・元など 各年末相場
|
|
19/12.
|
20/12.
|
21/12.
|
22/12.
|
23/12.
|
24/3/21.
|
WTI原油
|
63.5
|
48.5
|
74.8
|
80.4
|
71.6
|
80.0
|
スチール
|
3,774
|
4,220
|
4,568
|
4,019
|
3,928
|
3,607
|
アルミ
|
1,807
|
2,003
|
2,818
|
2,378
|
2,384
|
2,290
|
銅
|
2.796
|
3.549
|
4.393
|
3.805
|
3.880
|
4.009
|
ニッケル
|
13,950
|
16,553
|
20,880
|
29,866
|
16,375
|
17,337
|
コバルト
|
32,750
|
32,190
|
70,500
|
51,955
|
29,135
|
28,550
|
リチウム(千)
|
49.0
|
46.0
|
268.0
|
519.0
|
96.5
|
115.5
|
ネオジム(千)
|
362
|
622
|
1,110
|
955
|
555
|
437
|