麻薬性鎮痛剤オピオイドことフェンタニルの原薬が中国からメキシコへ輸出され、中国は有効的な取締りを実施せず放置しているとして、トランプ次期米大統領が、追加関税10%を課すと発表した。(米国は中国に対して、2000億ドル相当の輸入品に対して25%の関税を課している>中国製電気自動車については100%)。
トランプ氏による麻薬問題は、前回からすでに大統領としてのライフワークにしており、フェンタニル中毒患者(23年10万人超死亡)を徹底して潰す方針を打ち立てている。メキシコとの境界も不法移民問題と麻薬の密輸問題が絡み、国境を完全に封鎖する壁を建設するようだ。
トランプ氏は麻薬を密輸しているメキシコのカルテルをテロ組織認定するとしており、専従組織を作ると言明している。
ただ、カルテルはフェンタニルほか麻薬を国境線の秘密の地下道、ドローン、正規検問通過のトラック、はたまた船舶や自家製潜水艦で米国へ運び入れている。
オピオイドでの2016年の死亡数は4万人だったが、バイデン政権で死亡数が急増したようだ。
2023年11月、バイデン大統領は習近平国家主席と電話会談し、フェンタニルの原料を製造する中国企業の取り締まりで合意した。中国企業が原料を生産してメキシコに輸出し、メキシコの密売組織・麻薬カルテルが加工して米国に密輸している。
しかし、・・・
<中国は麻薬原薬輸出に奨励金付与>
2024年4月、米下院の中国共産党に関する特別委員会は16日、中国が麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種であるフェンタニルの生成につながる化学物質の製造に直接補助金を出し、米国のオピオイド中毒危機をあおっているとする報告書を提出。
それによると、中国はフェンタニルの類似体、前駆体、その他の合成麻薬を製造する企業に対し、国外に販売する場合に限って、付加価値税を最大13%の還付式で輸出を奨励し続けているとしている。
12月25日、トランプ米次期大統領は、SNSで、フェンタニルを含む麻薬問題についての中国との協議に進展がなく、大量の麻薬が米国に流入したため、中国の製品に現在の関税に加えて10%の追加関税を課すとの方針を明らかにした。
これに対して中国の外交部報道官は26日、この動きについて、「中国は世界でも麻薬取り締まり政策が最も厳しく、最も徹底して執行している国の一つである。フェンタニルは米国自身の問題だ。中国は人道主義精神に基づいて、米国がフェンタニル関連問題に対応する上で支援を提供してきた。中国が米国と幅広く、踏み込んだ麻薬取り締まり協力を行い、顕著な成果を収めたことは誰の目にも明らかである。中国は平等互恵、相互尊重に基づいて、引き続き米国と麻薬取り締まり協力を行っていきたいと考えている。米国は中国の善意をおろそかにせず、中米麻薬取り締まり協力で勝ち取った良好な局面を維持するべきだ」と応じた。
<中国のメキシコへの麻薬原薬の輸出に対する米中政府の大きな隔たり>
こうした中国は、輸出量に関係なく、正規にメキシコの企業へ輸出しており、中国政府は「正規にメキシコ企業へ輸出しているもので何も問題ない」というスタンスを取り続けている。
中国の認識は、違法な密輸、違法な製造、密売を取り締まるというもので、正規に輸出しているものについては輸出奨励措置までとっている。
米中のフェンタルの取り締まり強化の認識はまったく噛み合っていない。
メキシコは毎年多くの市長や議員・警察官たちがカルテルにより殺害される国、原薬を輸入したメキシコ企業から大量にカルテルへ原薬が渡り、カルテルで加工され、米国へ密輸されている構図のようだ。
トランプ批判は簡単だが、ウクライナ戦争は早期に止めさせるとしており、麻薬問題もケリをつけるというスタンス、成功すればそれだけでも歴史に名を残こすことだろう。
米国で麻薬問題にここまで積極的に対応する大統領はこれまでいなかった
トランプ氏は元々共和党保守派のティーパーティ派(スポンサーはコーク財団)とは異なり、ユダヤ教と関係がある福音派(米信者:公称8千万人)とも距離がある。イスラエルとの関係は娘婿がユダヤ教信者であることによるもののようだ。縛られたくないトランプ氏の考えなのだろう。
<度肝を抜いたトランプ1政権>
2017年4月、1月に大統領に就任したばかりのトランプ氏は、習近平国家主席を国賓で迎え、マイアミの別荘で夜の晩餐会を開催した。そのメイン料理は、米軍がシリアへ撃ちこんだ50発のトマホークだった。トランプ氏から直接伝えられたニュースであったが、習氏は何も言えなかったとされる。これにより世界各国の首脳がトランプ氏に対して、一筋縄ではいかない人物だと評価した。
今回は何をしでかすのだろう。
すでにバイデン政権が進めた法含む政策を大きく変更すると発表している。