大手商業施設運営会社 PARCO は11月28日、静岡市中心部にある「静岡PARCO」を、建物賃貸借契約の満了に伴い 2027年1月末で営業終了すると発表した。店舗面積は約31,000㎡、2007年3月の開業以来、18年余にわたって静岡の街なかににぎわいを提供してきた。
PARCO側は、近年は営業力の強化や運営手法の効率化に努めてきたが、「静岡市内外で競合店の開業・リニューアルが続くなど、商業環境が変化している」と説明。中長期的な視点から、今回の閉店決定に至ったとしている。
また、直近のテナント取扱高(2024年度)は約81億9,300万円。2000年代中盤のピーク時期と比べて顧客の流出や購買動向の変化が顕著だったことを示す数字だ。
地方都市の“街なか型モール”にもあらためて訪れた転換点
今回の決定は、単なる一施設の撤退を超え、地方都市における商業モデルの変質を浮き彫りにする。駅近の一等地で、長年にわたりファッション、雑貨、飲食など多様なテナントを抱え地域に根づいてきた施設でさえ、競合の増加、購買チャネルの多様化、消費者の嗜好変化といった構造変化の波には抗えなかった。
とりわけ、若年層の消費やライフスタイルの変化、ECや郊外型大型モールへの流れ――こうしたトレンドが、中心市街地型の商業施設の相対的な魅力を削いでいる。静岡PARCOの閉店は、その潮流を改めて示す象徴となる。
街の賑わい、地元経済、都市空間――閉店がもたらす空白と可能性
静岡PARCO のような施設がなくなることで、人の流れ、商店街のにぎわい、周辺地価など、商業地の“賑わいのハブ”が失われる懸念がある。地元住民や商店街、地域経済にとっての痛手は少なくない。実際、地元メディアや市民の間から「街の“明かり”が減る」との落胆の声も報じられている。 ([TBSニュースディグ][2])
しかし一方で、“空き地”や“空きビル”として残ることで、新たな都市計画や再開発の起点となる可能性もある。企業や行政、地元事業者がどのようにその“空白”を捉え、活かすかが重要だ。中心市街地の再編、まちづくり、地域消費のあり方を見直す契機とするならば、静岡にとって次の一手となり得る。
商業施設の再設計と地域の未来――静岡PARCO閉店の先に
静岡PARCO の閉店は、他都市の類似施設にも波及する警鐘と受け止められる。全国の地方都市では人口減、高齢化、消費の分散、EC化といった共通課題がある。これまでの「リアル店舗+テナント型モール」による商業モデルだけでは、“守り”も“攻め”も成立しづらいという現実が浮き彫りになった。
これからは、地域の実情に合わせた「複合型用途」「地域密着」「経験・体験型サービス」「住む・働く・買うの複合拠点」といった、新たな“まちづくり視点”が求められる。静岡PARCO の閉店は、そうした変革への転換点となる可能性がある――静かだが重みある決断と言える。