アイコン ホンダ28日からメキシコ工場生産停止 半導体不足 中蘭半導体戦争 ネクスペリア製


ホンダは10月28日からメキシコで自動車生産を停止した。
米国とカナダの工場でも27日から生産調整を始めた。

これは、オランダ政府が10月1日、中国資本が買収したオランダに本社を置く半導体メーカー、ネクスペリア(元フィリップス電機の半導体部門)が、「国家安全上の懸念」があるとしてネクスペリアの経営権を接収した。

これに対して、中国政府がネクスペリアの中国法人に対して、ネクスペリア製半導体を中国でパッケージングして、中国から世界の自動車メーカーに輸出されていた半導体のパッケージング製品を、輸出規制(停止)した影響で、部品が不足、再開のめどは立っていない。

ホンダが停止したのはスポーツ多目的車(SUV)「HR-V」など主力車種も生産しているメキシコ中部グアナファト州にあるセラヤ工場。
米国向け輸出も手がける同工場の生産能力は年20万台。減産規模や期間などは明らかにしていない。

 

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主力市場の北米での減産が長引けば、2026年3月期の業績に影響が及ぶ可能性がある。

中国の電子機器の聞泰科技(Wingtech Technology)傘下のネクスペリア(中国名:安世半導体)っては、オランダ政府が安全保障上の問題を理由に経営権を掌握すると決定。
こうした動きに対して中国政府が対抗措置を講じ、中国の工場で生産するネクスペリア製品に輸出規制をかけた。

なお、ネクスペリアから中国法人へ資金が送られず、中国の従業員たちに対して、中国法人からは給与が支払われていないという。(中国政府が輸出を禁止しており、相手先からの売上代金の回収もできない状態となっている)

ネクスペリア問題を巡っては、日本自動車工業会を含む主要市場の業界団体が自動車生産に影響が出る可能性があるとして警告を表明する事態になっている。
同問題について日産自動車は29日、少なくとも11月の第1週目までは世界生産に影響は出ないと説明している。
 米国の自動車業界団体のAAIも加盟メーカーの工場の一部では11月からでも工場がストップする可能性があるとしていたが、ホンダ・メキシコ工場では10月から工場生産ができなくなる。
以上、

ネクスペリアで生産されている半導体は車両に搭載されている普通のパワー半導体・システム半導体、価格も高価なものではない。
 ネクスペリアは、この半導体を中国へ送り、中国工場で客の求めに応じたチップセットにし、顧客の求めに応じてパッケージング化、中国から世界各国の自動車メーカーの工場へ輸出されている。

中蘭貿易戦争・知的財産権の帰属は会社か国か、大問題・・・
<Nexperia Semiconductor社とは>
●2006年8月、フィリップス社が半導体部門のフィリップス・セミコンダクターを投資家グループに売却、KASLION Acquisition B.V.の名称で法人化。
●2010年5月、 社名を現在のNXPセミコンダクターズN.V.に変更
●2016年10月、米クアルコムがNXP社を5兆円規模で買収合意、
 車両の制御から通信までの総合車両用半導体の最大手総合メーカーになる計画だった。
★2018年7月、当買収を中国政府が独禁法で認めず、クアルコムの買収は失敗。

◎2016年、NXP社は、半導体製造部門傘下のNexperia Semiconductor社を中国の投資家グループに売却。
◎2018年10月、Nexperia Semiconductorを聞泰科技(拠点:西安市)が252億元(約5千億円)で買収。(聞泰科技は無名の会社、5千億円の出資元に疑念)

★2025年10月1日、オランダ政府は安保上問題があるとしてNexperia Semiconductorを接収(政府管掌下・経営権一時的に剥奪)。(安保上の問題として内容を明らかにしていない)
★これを受け、中国商務部はNexperia Semiconductor製半導体を中国でパッケージング化した製品の輸出を全面禁止した。

2018年当時迄、EU含む欧州各国は、欧州の最先端企業を中国企業が買収することにつき、欧州の各国政府は、安保上の懸念を全く持っていなかった。米企業の中国買収に対する拒否権発動はオバマ政権後期から発生、欧州EUは、トランプ1政権から圧力を受け、中国買収に対して拒否権発動をし始めた。ドイツは最後まで拒否すべきではないという政治家や大手企業が多い国でもある。そうしたこともあり、オランダ政府は2016年当時、中国投資家たちによる買収に何ら対応をせず、2018年10月の聞泰科技による買収にも何も対応しなかった。

オランダのNexperia Semiconductor社は現在、中国の聞泰科技社の子会社であるが、Nexperia Semiconductor社の知的財産権はオランダ国にあると主張しているだろう。
一方、聞泰科技の中国は、会社の知的財産権まで含めて買収したものであり、オランダ政府が経営権を接収することについては絶対反対の立場。

中国もこれを認めてしまえば、中国はこれまで欧米の多くの最先端企業を買収しており、そうした企業は欧州でそのまま活動しており、大変な問題となる。
こうした買収した企業に対して中国は現在、経営陣や研究開発者たちを送り込み、欧米の最先端の知的財産を随時中国へ運び入れ、現在のIT大国・中国を造り上げてきた。今後、そうした欧米の最先端頭脳を中国へ接収できなくなる恐れがあり、中国政府は猛反対し、輸出を停止したもの。

ネクスペリア製半導体は安価なこともあり、競争相手がおらず、中国で顧客ニーズに基づきパッケージ化され、全世界の自動車メーカーへ中国から輸出されている。
11月1日からの輸出規制予定のレアアース問題が1年間先送りされ一時的に解決しても、今度は半導体により、世界の自動車生産は順次停止することになる。
オランダ政府が折れるか、トランプが再び登場するしかなくなる。
ただ、ネクスペリア製半導体の生産は続けられておりオランダ政府が直接管理。自動車メーカーがパッケージング設計図面を、新たなパッケージング会社に渡し、オランダ政府から半導体も付けて製造依頼すれば、数ヶ月以内に解決するかもしれないが・・・、中国との関係が・・・。
そうした場合、中国は何をしでかしてくるかわからない・・・。
知的財産権の問題は次の段階に来たようだ。

中国も一帯一路軍事覇権戦略を、習氏が調子に乗り爪を隠さなくなり、その力を全世界で行使してきたこと。しかし、米のトランプ1政権・バイデン政権がお灸をすえてもまったく効かず、現在、トランプ関税爆弾も含め、米国が中国に仕掛けた米中貿易戦争に発展している。
トランプ政権は中国に対して、中国寄りのパキスタン、アフガン、パナマ、アルゼンチン、アフリカなどで、力により逆攻勢に出ている。

米国の庭である中南米にも、これまで中国がフェンタニルやインフラ投資の借金漬物国化を進め、深く浸透していることにトランプは怒り狂っている。

中蘭問題は、自動車大国ドイツにもすでに波及しており、これまで長い間中国寄りだったドイツ政府が、レアメタル問題も含め右派から突き上げられる材料となっている。
中国はドイツからその知を大量に吸い取り続け、中国にとってもはやドイツ市場以外、利用価値もなくなってきている。

ネクスペリア製半導体は自動車以外にも、重機、スマホ、家電等多くの製品や産業機械に使用されている。

 

 

[ 2025年10月30日 ]

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