ヴィレヴァン、全店舗の3割閉店へ "遊べる本屋"に何が起きたのか?
雑貨店「ヴィレッジヴァンガード(通称ヴィレヴァン)」を展開するヴィレッジヴァンガードコーポレーションが、全国の店舗の約3割にあたる81店舗の閉店を検討していることが分かった。2026年5月期までに段階的に閉店を進め、事業の立て直しを図る。店舗販売の不振が続くなか、不採算店舗の整理によって収益性を高めたい考えだ。
2期連続の赤字、特損32億円を計上
7月11日に発表された2025年5月期の連結決算によると、最終損益は42億円の赤字。前期の11億円の赤字から大幅に悪化し、赤字は2期連続となった。特に注目すべきは、閉店に伴う棚卸し資産評価損などの特別損失が32億円にのぼった点だ。売上高は1%増の249億円と微増にとどまっており、収益構造の根本的な見直しが迫られている。
現在同社は全国で293店舗を展開しているが、今期中にすでに39店舗の閉店を計画しており、今後さらにリストラが進む見通しだ。対象は路面店、テナント店を問わず、全国規模の再編となる。
スマホ時代に苦戦、棚の“ワクワク”が響かなくなった?
ヴィレヴァンは1990年代から2000年代にかけて、サブカル系雑貨や本、CD、Tシャツなどを独自の視点で陳列する“遊べる本屋”として一世を風靡した。若者にとっては「何か面白いものが見つかる」場所だった。
しかし、現在の若年層の消費行動は大きく変化している。偶然の出会いや掘り出し物は、実店舗ではなくSNSやECサイト、YouTubeなどのアルゴリズムによって導かれる時代になった。ヴィレヴァンが得意とする“雑多な楽しさ”が、リアルの空間ではかつてのように魅力を持ちづらくなっている。
オンラインで巻き返しなるか
同社は2026年5月期には、売上高259億円(前期比4%増)、最終損益8億4700万円の黒字転換を予想している。カギとなるのはオンライン事業だ。近年、公式ECサイトやSNSを活用した販促を強化しており、熱心なファン層との直接的な接点を模索している。
ただし、単なる物販の延長では限界がある。今後は「モノ」より「体験」を重視するZ世代に合わせた、キュレーション型コンテンツやライブ配信販売など、体験価値を組み込んだ販売スタイルの構築が求められそうだ。
ヴィレヴァンの大量閉店は、単なる経営不振というより、実店舗の存在意義そのものが問われていることを意味する。「行けば何かが見つかる」空間が、「検索すればすぐ出てくる」時代にどう対抗するのか。かつてカルチャー発信基地として輝いたこのブランドが、再び支持を集めるには、世界観とUX(顧客体験)の再設計が不可欠だ。





