コンビニ業界の「第四極」、ミニストップが混迷を極めている。8日に発表された通期連結決算は、当初の黒字予想を大幅に下回る56億円の最終赤字。3期連続の赤字は、食品を扱う企業にとって、消費期限の偽装がいかに「取り返しのつかない猛毒」であるかを改めて浮き彫りにした。
■現場の疲弊が生んだ「禁じ手」
事の発端は昨年8月に発覚した、店内調理のおにぎりや惣菜などの期限ラベル貼り替えだ。全国25店舗という広範囲で行われていたこの不正は、単なる個別の不祥事を超え、同社のアイデンティティを根底から覆した。
他社との差別化の源泉であった「店内のぬくもり」を支えていたのは、煩雑な調理工程をこなす現場の労働力だった。人手不足と原材料高、そして売上目標の重圧。それらが積み重なった結果、現場が「廃棄を免れるための不正」に手を染めた構図が透けて見える。
■届かぬ再興、遠い「4割」の壁
「安全が確認されるまで再開しない」。そう決断したものの、2月末時点での店内調理の再開率はわずか4割にとどまる。再開には厳格な監査とオペレーションの再構築が求められ、それが店舗経営者の負担となって再開を遅らせるという皮肉な状況を生んでいる。
店内に漂っていた揚げ物の香りが消え、客足も遠のいた。一度損なわれた信頼は、販促キャンペーンや価格対応といった付け焼刃の対策では埋められない。56億円という数字は、単なる減収の結果ではなく、ブランドに対する「信認」を失ったことの社会的評価ともいえる。
■巨大資本の傘下、問われる自立
同日には、イオングループのジーフットが債務超過に陥り、完全子会社化されることも発表された。親会社であるイオンの「救済」によって倒産のリスクは免れても、ビジネスモデルそのものが市場から否定されれば先はない。
コンビニ3強による寡占化が進む中、独自路線を掲げてきたミニストップは今、崖っぷちに立っている。店舗網を維持できるのか、それとも大規模な構造改革を迫られるのか。一度失った「食の安全」という看板を再び掲げるための道のりは、あまりに険しい。