ガンホー・オンライン・エンターテイメント、営業利益7割減 Q4赤字で鮮明になった"構造転換"
スマートフォンゲーム大手のガンホー・オンライン・エンターテイメントが発表した2025年12月期決算は、市場に強い衝撃を与えた。通期の営業利益は前期比で約7割減。さらに直近10~12月期(Q4)では約37億円の営業赤字に転落した。
単なる業績悪化ではない。これは同社が長年依存してきた収益構造の限界が、数字として顕在化した局面といえる。
■ Q4赤字の本質 「パズドラ一本足」の揺らぎ
主力タイトルのパズル&ドラゴンズはサービス開始から10年以上が経過し、依然として一定のユーザー基盤を維持している。しかし課金単価の減衰は止められず、かつての爆発的な収益力は失われつつある。
その一方で、新規タイトル開発に伴う外注費や広告宣伝費などの先行投資が膨らみ、固定費負担が収益を圧迫。ヒットが出なければ赤字に転落する、損益分岐点ぎりぎりの体質に近づいている。
「作れば売れる」時代は終わった。今は「当てなければ沈む」時代だ。
■ 実態は“ラグナロク依存”企業へ
現在のガンホーの実態は、もはや“パズドラの会社”ではない。韓国子会社グラビティが展開するラグナロクオンラインシリーズが利益の中核を担っている。
海外売上比率は66%に達し、連結業績の屋台骨はグラビティに移っている。しかしそのラグナロクもQ4は減収。国内のパズドラと海外のラグナロクが同時に踊り場に差し掛かったことが、今回の赤字転落の直接要因だ。
グローバル配信前提の開発体制へ舵を切るものの、世界市場では中国・韓国勢との競争が激化。開発費回収の難易度は上がっている。
■ 森下氏退任 物言う株主が動かした経営刷新
もう一つの大きな転換点が、森下一喜氏の代表退任だ。創業期から同社を牽引し、パズドラを生み出したカリスマ開発者は会長兼CDO(最高開発責任者)へ。代表権は坂井新社長へ移った。
背景にはアクティビスト(物言う株主)の圧力がある。「パズドラ以降のヒットがない」という厳しい指摘に対し、最終的に財務畑出身のトップを据える決断を下した。
これはクリエイティブ主導型経営から、資本効率と株主還元を重視する規律型経営への移行を意味する。
森下氏は開発専念を選び、報酬も業績連動型へ。ヒットが出なければ自らの報酬も減る。事実上の“背水の陣”だ。
■ 2026年の焦点 資金の使い道
ガンホーは巨額の現預金を抱える。焦点はその使い道だ。
自社株買いによる株主還元を強化するのか。あるいはM&Aで新たなIPを獲得するのか。坂井新社長の財務戦略が株価の方向性を決める。
2026年は、「脱・パズドラ」を証明できるかどうかの一年になる。
コスト管理とヒット創出。この二律背反を乗り越えられるかが、再浮上の条件だ。





