石川県は2026年10月14日、能登半島地震などで被災した事業者の施設・設備復旧を支援する「なりわい再建支援補助金」について、第25回の交付決定を行ったと発表した。今回の決定は65件、12億3,788万7,000円で、2024年3月の第1回からの累計は1,679件、380億5,369万8,000円に達した。
同補助金は、2024年の能登半島地震や奥能登豪雨などで被害を受けた中小企業等の工場、店舗、事業用設備などの復旧を支援する制度。震災発生から2年9カ月以上が経過した現在も新たな交付決定が続いており、被災企業の施設・設備の再建を支えている。
石川県では2026年8月27日からの大雨でも事業者の施設・設備に被害が発生している。県は新たな被災事業者向け補助金の募集を開始するとともに、過去の災害でも被害を受けた施設については、従来のなりわい再建支援補助金を活用できる場合があると案内している。
第25回は65件・12.38億円、累計1,679件に
県によると、第25回の交付決定額は12億3,788万7,000円。9月15日に行われた第24回の交付決定件数は56件で、今回の65件は前回を9件上回った。
第24回までの累計は1,614件、368億1,581万1,000円。今回の決定により累計交付決定額は380億円を突破した。
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項目 |
第24回まで |
第25回 |
累計 |
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交付決定件数 |
1,614件 |
65件 |
1,679件 |
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交付決定額 |
約368.16億円 |
約12.38億円 |
約380.54億円 |
今回の交付決定額を65件で単純に割ると、1件当たり約1,905万円となる。ただし、実際の補助額は対象となる事業者や施設・設備の被害状況などによって異なる。
また、累計380億円は交付決定額であり、実際に支払われた補助金の総額や、復旧工事が完了した金額を示すものではない。交付決定件数をそのまま事業再開済み企業数とみなすこともできない。
2026年8月の大雨で再被災、別の復旧補助金も募集
石川県は10月8日、2026年8月27日からの大雨で被災した中小企業・小規模事業者などを対象とする「被災事業者再建支援補助金」の募集を開始した。
同制度は、大雨によって被害を受けた事業用施設や設備などの復旧費用を支援するもので、補助上限額は通常200万円。2024年の能登半島地震、奥能登豪雨、2025年8月の大雨で被災した事業者については、上限額を300万円とする。
補助率は小規模事業者が3分の2、中小企業が2分の1。申請期間は10月8日から11月20日までで、被災したことを証明する書類の提出や、補助事業完了日までの事業継続計画(BCP)の策定などが必要となる。
さらに県は、今回の大雨で被害を受けた施設・設備が、2024年の能登半島地震や奥能登豪雨でも既に被災していた場合、従来のなりわい再建支援補助金を利用できる場合があるとして、該当する事業者に県への相談を呼びかけている。
新たな大雨向け補助金と、従来のなりわい再建支援補助金は別の制度であり、対象経費や適用条件について個別の確認が必要となる。なお、第25回の交付決定65件のうち、再被災した事業者が何件含まれるかは公表資料から確認できない。
復旧工事費の上昇、申請額の見直しも可能に
被災企業の施設・設備復旧では、建設資材や工事価格の変動も重要な要素となっている。
石川県は、中東情勢の影響など、事業者が自ら制御できない要因によって資材価格や工事価格が上昇した場合、工事着工前や一部着工済みなど一定の条件を満たせば、価格を見直して補助金の申請をやり直せる場合があると案内している。
施設の修繕や建替え、設備の更新には工事業者や設備メーカーとの調整が必要となる。交付決定時の計画から工事費が変動した場合、補助対象経費の見直しが認められるかどうかは、事業者にとって重要な確認事項となる。
ただし、今回発表された累計交付決定額には、建設工事費だけでなく設備復旧などに係る補助金も含まれる。380億円の全額を建設工事の発注額とみなすことはできない。
能登3市3町では交付決定前の事前着手制度を継続
なりわい再建支援補助金では、復旧工事への事前着手についても地域によって取扱いが異なる。
珠洲市、輪島市、七尾市、志賀町、穴水町、能登町の能登3市3町では、2026年度も当面の間、交付決定前の復旧工事に関する事前着手制度の適用を継続している。
一方、能登3市3町以外の地域では、2026年3月31日をもって事前着手制度の適用を終了した。2026年4月1日以降に交付決定を受ける前に工事へ着手した場合は、原則として補助対象とならない。
この取扱いは、2026年8月の大雨を対象とする新たな被災事業者再建支援補助金の事前着手要件とは異なる。事業者は、対象となる災害と申請する補助制度を確認する必要がある。
実績報告は12月28日まで、未完了事業は繰越手続き
なりわい再建支援補助金の交付決定を受けた事業者について、石川県は2026年12月28日を実績報告書の提出期限としている。
期限までに補助事業が完了しない場合には、翌年度への繰越手続きが必要となる。県は11月ごろに事業の進捗状況を確認する予定で、2027年度への繰越に関する手続きや必要書類については、内容が確定次第案内するとしている。
2024年3月から積み重ねられてきた交付決定は25回、累計380億円を超えた。一方で、企業再建の進捗を把握するには、交付決定額だけでなく、施設・設備の復旧完了、実績報告、補助金の支払い状況を確認する必要がある。
2026年8月の大雨では再び施設・設備が被災した事業者への支援も始まっており、能登の企業復旧は継続的な支援が必要な段階にある。