介護問題

アイコン 数字でみる石川県の介護問題 高齢化率31.1%、珠洲市55.3% 能登の介護サービス再建続く


石川県の介護問題を数字で見ると、県全体の高齢化だけでは見えてこない大きな地域差が浮かび上がる。

石川県の2025年10月1日現在の65歳以上人口は33万2,196人。総人口に占める割合は31.1%となり、過去最高となった。

一方、県内を市町別に見ると、高齢化率が最も高い珠洲市は55.3%。県庁所在地の金沢市など都市部と、能登地域では人口構造そのものが大きく異なっている。

さらに石川県では、介護人材の確保という全国共通の課題に加え、能登半島地震で被災した介護施設・事業所をどう再建し、地域の介護サービスを維持するかという問題も抱えている。

65歳以上人口
33万2,196人
2025年10月1日
石川県の高齢化率
31.1%
2025年10月1日
要介護・要支援認定率
19.0%
県平均・2026年3月末
介護保険料
6,354円
第9期・県加重平均月額
介護職員
約2万人
2023年
2040年の必要介護職員
約2.6万人
県計画の必要数

※人口は石川県「石川県の年齢別推計人口」、認定率は地域包括ケア「見える化」システムを引用した自治体資料、介護保険料・介護サービスは「石川県長寿社会プラン2024」、介護人材は「石川県介護・福祉人材確保・養成基本計画2025」による。

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石川県の高齢化率31.1% 65歳以上は33万人超

石川県によると、2025年10月1日現在の推計人口は108万9,858人。このうち65歳以上は33万2,196人で、高齢化率は31.1%となった。

前年より65歳以上人口そのものは794人減っているが、総人口や生産年齢人口の減少がそれ以上に進んだため、高齢化率は0.2ポイント上昇した。

項目 人口 構成比
0~14歳 12万1,244人 11.3%
15~64歳 61万6,031人 57.6%
65歳以上 33万2,196人 31.1%

県内の介護を考える際には、高齢者の人数だけでなく、高齢者を支える現役世代が減少している点も重要になる。

珠洲市は55.3% 県内で大きい高齢化率の差

石川県平均だけを見ると高齢化率は31.1%だが、市町別では状況が大きく異なる。

2025年10月1日時点で、高齢化率が最も高かったのは珠洲市の55.3%。一方、最も低い野々市市は20.9%で、30ポイントを超える差がある。

前年の2024年10月時点でも、珠洲市54.1%、能登町53.9%、穴水町51.8%、輪島市51.2%と、奥能登の4市町はいずれも住民のおよそ半数以上が65歳以上だった。

市町 65歳以上割合 時点
珠洲市 55.3% 2025年10月
輪島市 51.2% 2024年10月
能登町 53.9% 2024年10月
穴水町 51.8% 2024年10月
金沢市 28.0% 2024年10月
野々市市 20.9% 2025年10月
数字を見る際の注意
市町別の最新公表値が同一年でそろわない項目があるため、2024年と2025年の数値を混在させて単純な順位比較は行っていない。

要介護・要支援認定率は19.0% 全国平均を下回る

地域包括ケア「見える化」システムを引用した野々市市の公表資料によると、2026年3月31日時点の石川県の要介護・要支援認定率は19.0%だった。

同じ基準日の全国平均は20.1%で、石川県は1.1ポイント下回っている。

地域 認定率
石川県平均 19.0%
全国平均 20.1%
野々市市 17.4%

※認定率は、第1号被保険者に占める要介護・要支援認定者の割合。65歳以上人口そのものを分母とする数字とは一致しない。

介護保険料は月6,354円 市町間で1,200円の差

65歳以上の第1号被保険者が負担する第9期介護保険料の基準月額は、石川県の加重平均で6,354円。全国平均6,225円を129円上回る。

ただし介護保険料は県が一律に決めるものではなく、各市町・保険者ごとに設定される。

県内では中能登町が6,800円で最も高く、能登町は5,600円。基準月額には1,200円の差がある。

市町・区分 第9期基準月額
中能登町 6,800円
能美市 6,600円
金沢市 6,590円
石川県・加重平均 6,354円
全国平均 6,225円
能登町 5,600円

同じ石川県内でも、高齢化率と介護保険料が単純に比例するわけではない。各保険者の給付見込みや基金、所得構成など複数の要素が関係するため、保険料差の原因は個別の介護保険事業計画を確認する必要がある。

介護給付費は1,028億円 在宅サービスの比率が上昇

石川県の介護給付費は、2023年度で1,028億円。介護保険制度が始まった2000年度の400億円から約2.6倍となった。

内訳は在宅サービス等が641億円で62.4%、施設サービスが387億円で37.6%。県計画では、在宅サービス等の割合が長期的に増えているとしている。

区分 2023年度 構成比
在宅サービス等 641億円 62.4%
施設サービス 387億円 37.6%
合計 1,028億円 100%

介護職員は約2万人 2040年には2万6,000人が必要

介護サービスを支える人材も大きな課題となる。

石川県の「介護・福祉人材確保・養成基本計画2025」によると、県内の介護職員は2023年時点で約2万人。

2014年の約1万7,500人から2019年ごろまでは増加が続いたものの、その後は伸びが鈍化している。

県の計画では、介護サービスを維持するために必要な介護職員数を2025年で約2万2,500人、2040年では約2万6,000人と見込んでいる。

区分 人数
介護職員実績・2023年 約2万人
必要数・2025年推計 約2万2,500人
必要数・2040年推計 約2万6,000人
「6,000人不足」とは単純には言えない
約2万人は2023年の実績、2万6,000人は2040年の必要数推計であり、基準年が異なる。この差を現在の人手不足数として扱うことはできない。

認知症高齢者は2025年推計4万4,000人

高齢化とともに、認知症への対応も重要性を増している。

石川県長寿社会プランによる推計では、県内の認知症高齢者は2022年の約4万1,000人から、2025年には約4万4,000人、2040年には約5万3,000人になると見込まれている。

年 認知症高齢者推計
2022年 約4万1,000人
2025年 約4万4,000人
2040年 約5万3,000人

※診断を受けた人数ではなく、国の有病率研究と石川県の65歳以上人口を用いて算出した推計値。

県全体では訪問介護需要増 奥能登では事情が異なる

石川県長寿社会プランでは、県全体の訪問介護利用量を2023年の年間364万8,653回から、2026年には388万5,041回、2040年には460万5,595回へ増えると見込んでいる。

2023年比では2026年が6.5%増、2040年が26.2%増となる。

しかし、県内を圏域別に見ると様相は異なる。計画策定時の推計では、奥能登の訪問介護利用量は2023年の17万2,705回から2026年には16万2,868回、2040年には14万1,689回へ減ると見込まれていた。

人口減少が進む地域では、「介護が必要な人が増える」という問題だけでなく、利用者数や担い手が減少する中で、広い地域にサービスをどう維持するかという別の問題がある。

重要な注意
このサービス利用見込みは2023年12月以前に各市町が推計したもので、2024年1月の能登半島地震の影響は織り込まれていない。現在の奥能登を評価する場合は、震災後の実際の事業所稼働状況を別に確認する必要がある。

奥能登の訪問介護 震災時16事業所のうち12事業所が稼働

能登半島地震は、高齢化が進む地域の介護提供体制にも大きな影響を与えた。

石川県が2025年10月1日時点で把握した、地震発生時に運営していた高齢者施設・事業所の状況を見ると、奥能登4市町の訪問介護は計16事業所のうち12事業所が稼働していた。

市町 訪問介護の稼働状況 非稼働の状況
輪島市 3/5 1休止・1廃止
珠洲市 1/2 1休止
穴水町 4/5 1廃止
能登町 4/4 -
4市町計 12/16 休止・廃止あり

※「16」は地震発生時に運営していた事業所。地震後に新設された施設等は含まない。廃止と休止は別の状態であり、倒産を意味しない。

入所系サービスでも、輪島市では介護老人保健施設1施設が廃止、珠洲市では介護老人保健施設1施設が休止するなど、震災前と同じ供給体制には戻っていないサービスが確認される。

県の長寿社会プランでは、能登6市町の高齢者入所施設92施設について、地震による被害を全壊1施設、半壊23施設、一部損壊55施設、被害軽微13施設としている。

石川県の介護問題は「高齢化率」だけでは見えない

石川県の介護問題を一つの数字だけで説明することは難しい。

県全体では65歳以上が人口の31.1%を占め、2040年に向けて介護人材の確保が課題になる。一方、金沢市や野々市市と、奥能登では人口構造もサービス提供環境も大きく異なる。

珠洲市では住民の半数以上が65歳以上となる一方、地震後には訪問介護や通所サービスなど一部事業所の休止・廃止が続いている。

つまり石川県の介護問題は、「高齢者が増える」という全国共通の問題だけではない。

都市部では今後増える介護需要に備えて人材や施設を確保することが求められる一方、人口減少が進む能登では、利用者と働き手がともに減る中でも、広い地域で最低限必要な介護サービスをどう残すかという課題がある。

県内19市町の介護保険料にも差があり、認定率、施設利用、在宅サービス、人材確保の状況も地域によって異なる。

「石川県平均」だけでは見えないこの地域差が、今後の介護問題を見るうえで重要になっている。

主な出典
石川県「石川県の年齢別推計人口(令和7年10月1日現在)」
石川県「石川県長寿社会プラン2024」
石川県「石川県介護・福祉人材確保・養成基本計画2025」
石川県「奥能登公立4病院機能強化検討会」資料
厚生労働省「介護保険事業状況報告」
地域包括ケア「見える化」システム
野々市市「介護保険事業の状況」

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[ 2026年9月25日 ]
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