【数字で見る古謝県政】県民所得231.5万円→500万円、観光2兆円、子育て1000億円
13日投開票の沖縄県知事選で、前那覇市副市長の古謝玄太氏が当選確実と報じられた。古謝氏が掲げる経済・生活関連の公約を見ると、大きな数字が並ぶ。一人当たり県民所得は231.5万円から500万円、観光収入は1兆747億円から2兆円、沖縄県こども未来部予算は552億円から1000億円へ。古謝県政が目指す沖縄経済の姿を、数字から整理する。
本稿では、古謝氏が公約として掲げた「目標値」と、沖縄県や国がすでに公表している「予算・統計」を分けて扱う。一人当たり県民所得は個人の給与額ではなく、雇用者報酬に加え、企業所得や財産所得などを含む県民所得を人口で割った経済指標である。また、2027年度沖縄振興予算2897億円は政府の概算要求であり、古謝氏が新たに確保した予算ではない。
古謝氏が掲げる3つの大型目標
| 項目 | 現在・基準 | 目標 | 必要な伸び |
|---|---|---|---|
| 一人当たり県民所得 | 231.5万円 | 500万円 |
268.5万円増 約116.0%増 |
| 観光収入 | 1兆747億円 | 2兆円 |
9253億円増 約86.1%増 |
| こども未来部予算 | 552億円 | 1000億円 |
448億円増 約81.2%増 |
県民所得231.5万円から500万円へ
古謝氏が経済政策の柱として掲げるのが、一人当たり県民所得500万円だ。基準としている2023年度の沖縄県の一人当たり県民所得は231万5000円。500万円まで引き上げるには268万5000円の増加が必要で、現在の約2.16倍、伸び率では約116.0%増となる。
2023年度の沖縄県の一人当たり県民所得は、全国の一人当たり国民所得352万1000円に対して65.7%の水準だった。同年度の県内総生産は名目4兆6430億円で、前年度比4.7%増。500万円という目標を実現するには、単なる賃上げだけではなく、県内企業の生産性や企業所得、新産業の創出を含む県経済全体の底上げが必要になる。
増加額は268.5万円。現在の約2.16倍に相当する。ただし「県民所得500万円」は、県民一人ひとりの給与が500万円になるという意味ではない。
観光収入1兆747億円から2兆円へ
観光では、2025年度の観光収入1兆747億円を2兆円へ引き上げる目標を掲げる。必要な上積みは9253億円で、現在から約86.1%増となる。
古謝氏は観光客数だけでなく、観光の「質」を高める方針を示している。本島・離島空港の機能強化、海外航空路線の誘致、MICE、リゾートウェディング、フライ&クルーズなどを掲げ、1人当たりの観光消費額を引き上げることで2兆円を目指す考えだ。
差額は9253億円。現在の観光収入から約86.1%の上積みが必要になる。
子育て予算552億円から1000億円へ
子育て分野では、2026年度に552億円となっている沖縄県こども未来部の予算を1000億円へ増やすとしている。増額幅は448億円、約81.2%増となる。
沖縄県の2026年度一般会計当初予算は9468億円。現在のこども未来部予算552億円は一般会計の約5.8%に相当し、1000億円まで増額した場合、現在の一般会計規模との単純比較では約10.6%となる。増額分448億円だけでも一般会計の約4.7%に相当するため、実現には国庫支出金や既存事業の再編を含めた財源設計が重要になる。
448億円増、約81.2%増。現在の県一般会計9468億円と単純比較すると、1000億円は約10.6%に相当する。
国の沖縄振興予算は2897億円を要求
古謝県政の経済政策を見るうえで、国との関係も大きなポイントとなる。内閣府が示した2027年度沖縄振興予算の概算要求総額は2897億円。2026年度予算2647億円に対し、原数値では約250.2億円、約9.5%の増額要求となっている。
| 項目 | 2026年度 | 2027年度要求 | 増加 |
|---|---|---|---|
| 沖縄振興予算 | 約2647億円 | 約2897億円 |
約250.2億円 約9.5% |
| 沖縄振興一括交付金 | 約736.4億円 | 約782.9億円 |
約46.5億円 約6.3% |
| 基地跡地先行取得費 | 約50.5億円 | 約71.0億円 |
約20.5億円 約40.5% |
| OIST関連経費 | 約200.4億円 | 約239.4億円 |
約39.1億円 約19.5% |
基地跡地・GW2050も経済政策の柱に
古謝氏は、普天間飛行場を含む嘉手納より南の米軍基地の返還と跡地利用を進め、GW2050 PROJECTSを強力に推進するとしている。国の2027年度概算要求でも、基地跡地の先行取得費は約50.5億円から約71.0億円へ約40.5%増となっており、跡地利用推進経費も別途計上されている。
GW2050 PROJECTSでは、那覇空港や那覇港湾施設、牧港補給地区、普天間飛行場などを含む広域的な開発構想が示されている。古謝県政では、基地問題を安全保障だけでなく、返還後の土地利用、都市開発、交通、観光、新産業への投資という経済政策につなげられるかが焦点となる。
数字で見る古謝県政
古謝県政の経済政策では、まず県民所得500万円、観光収入2兆円、子育て予算1000億円という三つの目標が目を引く。その一方で、実際の政策を動かす土台となる県一般会計は9468億円、国の沖縄振興予算概算要求は2897億円。公約として掲げた数字が、今後の予算編成や民間投資、基地跡地利用の中でどこまで具体化するかが問われる。





