米連邦破産法第11条(Chapter 11)の適用を申請しているプロゴルフリーグ「LIV Golf(LIVゴルフ)」について、米ニュージャージー州の連邦破産裁判所は2026年10月14日、投資会社BC Partnersとの修正再建支援契約を承認した。
契約には最大3億ドルの融資・出資による資金支援構想が盛り込まれており、LIVゴルフは選手が過半数の株式を保有する新リーグ「LIV 2.0」への移行を目指す。ただし、今回の裁判所判断は再建計画そのものの最終認可ではなく、リーグの存続が決まったわけではない。
新体制への参加を希望する選手の意思表明期限は10月25日。LIV側は10月末までに、再建を進めるか事業を整理するか判断する見通しを示している。
PIFが50億ドル超を投じたゴルフリーグ、資金支援終了で破産申請
LIVゴルフは2022年、サウジアラビア政府系ファンド「公共投資基金(PIF)」の資金支援を背景に本格始動したプロゴルフリーグ。高額の契約金や賞金を提示し、世界的な有力選手を獲得することで、既存のPGAツアーに対抗する大会運営を進めてきた。
PIFによる累計投資額は50億ドルを超えたとされる。しかし、リーグは投資に見合う収益基盤を確立できず、2026年シーズン終了後の資金支援打ち切り方針を受けて、事業規模の縮小と新たな出資者の確保を迫られた。
2026年8月には、300人を超える従業員の大半を対象とする大規模な人員削減が明らかになった。米ミシガン州で予定されていた大会なども中止され、運営体制の縮小が進んでいた。
その後、9月8日にLIV Golf Incorporatedと関連会社が米連邦破産法第11条に基づく再建手続きを申請。裁判所の監督下で債務や契約関係を整理しながら、新たな事業体制を模索することになった。
BC Partnersが最大3億ドル支援、選手が過半数株主となる再建案
新たな資金支援者として浮上したのが、英ロンドンを拠点とする投資会社BC Partnersのクレジット事業部門である。
10月5日に提出された修正再建支援契約では、融資と株式投資を組み合わせ、合計最大3億ドルを新体制に投入する構想が示された。
特に注目されるのは、リーグの所有構造を大幅に変更する点だ。これまでの大口資金提供者に依存した運営から、参加選手が株式の過半数を保有する方式への転換を計画している。
契約案では、新リーグ「LIV 2.0」の普通株式について、参加選手に52.5%、BC Partnersと共同投資家に45%、経営陣に2.5%を配分する構想となっている。
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新リーグの株主区分 |
予定持株比率 |
位置付け |
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参加選手 |
52.5% |
過半数を保有する構想 |
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BC Partners・共同投資家 |
45.0% |
新たな資金支援者 |
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経営陣 |
2.5% |
経営参加に伴う持分 |
参加選手には株式に加え、契約金や氏名・肖像などに関する一部権利を付与する方向で、新たな契約条件が検討されている。
ただし、最大3億ドルの支援枠が示されたことと、その全額がすでに払い込まれたことは異なる。資金支援の実行や新リーグへの移行には、選手の参加状況など複数の条件が残されている。
裁判所が再建支援契約を承認、19選手の既存契約整理も進展
10月14日の審理で、ニュージャージー州の連邦破産裁判所はLIVゴルフとBC Partnersの修正再建支援契約を承認した。
裁判所は、今回の承認が新リーグの再建計画そのものを認可するものではないと説明。事業を継続するのか、最終的に整理・清算へ向かうのかを見極めるための重要な段階と位置付けた。
また、同日の審理では、19選手に関する既存契約の解除を認める判断も示された。これにより、従来の高額契約を見直し、新しい報酬・株式保有制度への移行を進めることになる。
ただし、既存契約の解除が認められたことは、対象選手全員が新リーグからの離脱を決めたことを意味しない。新体制に参加する選手については、別途契約交渉が必要となる。
ジョン・ラームら有力選手が離脱、新リーグの選手確保が焦点
再建を左右する最大の課題の一つが、世界的な有力選手の確保である。
元世界ランキング1位のジョン・ラーム選手はLIVゴルフから離れる方向となり、既存契約に関する経済的権利の放棄や肖像権などをめぐる離脱合意が報じられている。関連する合意には、裁判所の承認が必要とされる。
また、ブルックス・ケプカ選手やパトリック・リード選手など、かつてリーグを支えた有力選手の離脱も相次いでいる。
さらに、欧州のDPワールドツアーは、2027年に同ツアーと「LIV 2.0」の両方へ出場することを認めない方針を示した。LIV側は、この動きが選手の参加判断や再建手続きに影響するとして懸念を表明している。
BC Partnersによる投資構想では、一定数の有力選手が新リーグへの参加に同意することが重要な条件となっている。参加判断の期限は当初の10月13日から10月25日に延長された。
2027年は10大会程度を構想、10月末に存廃判断へ
再建が成立した場合、LIVゴルフは2027年に従来より規模を縮小した「LIV 2.0」として大会を再開する構想を掲げている。
新体制では年間10大会程度とし、チーム戦を中心とする運営を計画。大会数や費用を抑制し、選手が株式を保有する仕組みを通じて事業の持続性を高める方針だ。
もっとも、現時点で2027年シーズンの開催が確定したわけではない。資金支援の条件を満たし、必要な選手や大会運営体制を確保できるかが焦点となる。
10月14日の裁判所審理では、LIV側が10月末までに新リーグを進めるか、事業の整理に向かうかを判断する見通しを示した。
2022年の発足以降、50億ドルを超える資金を背景に世界のプロゴルフ界へ参入したLIVゴルフ。大口資金提供者への依存から選手主体の所有構造へ転換できるかどうか、今後の再建交渉が注目される。