アイコン 【解説】図解、GM解体・再編

 
経過
 
2007年の自動車販売台数は、トヨタ自動車グループと僅差で世界一(937万台)であったが、ガソリン価格の高騰、サブプライムローン問題の顕在化、そしてリーマンショックに端を発する世界金融危機の影響で、北米での売上が大きく落ち込んだ。

その結果、2007年度決算で3兆円という途方もない額の赤字を生むこととなった。また、2008年上半期では約77年間も守り続けた販売台数世界一の座もトヨタに明け渡している。

GMは巨額の年金・退職者医療の債務を抱え、債務超過に陥っており、株主配当も停止されており、金融市場から債券発行による資金調達も困難な状態にあった。GMの純損失額は2005年105億6700万ドル、2006年19億7800万ドル、2007年387億3200万ドルであった。
2008年第1四半期から第3四半期までの財務データは、売上高1186億ドル、営業損失139億ドル、純損失213億ドルであり、第3四半期終了時点で、負債総額は1703億ドル、CDS残高2000億ドル、債務超過額599億ドル、手元資金162億ドル(3ヶ月のうちに50億ドル減少)であった。2008年第3期の売上高は前年同期比13%減の379億4100万ドルであった。
 
200810月のGMの新車販売台数が前年同月比45%減になる状況の中、10月31日に米国財務省はGMとクライスラーの合併に必要なリストラ費用100億ドルを、2008年に成立した緊急経済安定化法から支出することを拒否し、GMはクライスラーとの合併協議を中断した。格付会社S&Pは、GMの格付けを「B-」から「CCC+」に格下げし、見通しもネガティブとした。
2008年11月11日には株価が2.75ドルと1943年以来65年ぶりの安値になった。11月のGMの新車販売は2ヶ月連続の4割減、-41.2%だった。 GMは、フォードとクライスラーと共に、アメリカ連邦政府に金融支援を含んだ自動車業界救済法案の採決を求めたが、金融支援をうけるのに必要な経営再建策に具体性がないことなどを理由として、議会は11月に採決しなかった
そこで、GMら3社は、12月1日に経営再建策を議会に送付し、上院と下院で公聴会が開かれた。下院は自動車業界救済法案を12月10日にまとめ本会議で可決したが、選挙前の勢力分布で伯仲していた上院では、修正案を採決にもっていくための投票で必要な60票がとれず、12月11日に廃案となった。
 
議会での自動車業界救済法案の不成立を受けて、ついにブッシュ大統領が介入し、12月19日に、緊急経済安定化法の成立で運用が始まった不良資産救済プログラム(TARP)7000億ドル分のうち、議会承認済みの3500億ドルの中で未使用であった150億ドルを活用して、GMに134億ドル、クライスラーに40億ドルの合わせて174億ドルのつなぎ融資を実施することを決定した。実際に、GMには2008年12月31日に40億ドル、2009年1月21日に54億ドル、2月17日に40億ドルの3段階に分けた合計134億ドル、クライスラーには2009年1月2日に40億ドルの、総額で174億ドルのつなぎ融資が実施された。
 
オバマ政権発足後も危機は継続しており、2009年2月20日には、子会社のサーブ・オートモービルがスウェーデン政府からの公的支援を拒否されたこともあって事実上の経営破綻に追い込まれた。
 
2009年4月には、アメリカ政府は新たにGMに50億ドル、クライスラーに5億ドルの合わせて55億ドルのつなぎ融資を実施することを決定し、実際に4月末にクライスラーへの5億ドルの融資が実施された。
しかし2009年5月27日、会社側と債権者の債務削減交渉が26日深夜にまとまらず交渉の打ち切りが発表された。結果、米政府が支援を継続する条件を満たせなくなる見通しが強まり、この影響により29日のニューヨーク株式市場ではGM株価が急落し0・75ドルで取引を終え、1ドルを割り込んだ。
 
2009年6月1日、GMは連邦倒産法第11章の適用を申請し、負債額1,728億ドル(約16兆4,100億円)を抱え経営破綻した。この額は製造業としては世界最大である。今後はアメリカ政府が60%、カナダ政府が12%の株式を保有し、実質的にアメリカ政府により国有化され再建を目指す。メディアから社名のGMはガバメント・モーターズと皮肉られた。
ニューヨーク証券取引所は、ゼネラルモーターズの連邦倒産法第11章の申請を受け、2009年6月2日の取引開始前から、同社株を売買停止した後に、そのまま上場廃止する決定を下した。                      
 参照、ウィキペディア
  09年3月末時点の負債総額は、1,728億ドル(16兆4千億円)、資産は822億ドル(7兆8千億円)であり、何とすばらしい債務超過状態であろうか。
 新GMの株主にもなるUAWは労組、日本の労組より桁外れにしっかりしている。民間企業を国家管理して社会主義化するアメリカの労組を見習う必要があろう。
  実体経済の回復は長引こうから小林旭にCM登場してもらうしか、早期再生の道はなかろう。

 

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[ 2009年6月 3日 ]
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