アイコン 【タマホーム】人の子タマちゃん、バブル化②

タマホーム、タマちゃん研究⑥

ビジネスモデルの崩壊(2)
 分譲地の購入や開発、それまで成功していた住宅屋が、規模を大きくして殆ど失敗してきたのは歴史が物語っている。

現在も同事業で成功しているのは、大都市近郊型のミニ分譲屋の一部だけである。大きくても郊外の300坪前後の土地を購入、モデル一棟を建て、チラシを入れ、人寄せパンダにして販売している。今のミニ分譲屋の住宅は、土地も50坪前後と案外広く、建物デザインやバリエーションも各種用意しており、性能も優れ、土地込み価格も近隣の分譲マンション価格より安く設定して水面下で人気を博している。大掛かりな宣伝もせず、在庫も極力抑え回転を早くして利益を出すビジネスモデルで成功している。現在大掛かりな開発は、区画整理事業などが主体となっており、バブル崩壊後は単独での大規模宅地造成は伊藤忠(残をトータテに一括売却)でもどこでも失敗してきたのが実情である。

分譲に走るタマホーム
ところが、タマホームの場合、自らはまだ開発してないものの、志多組(破綻、宮崎県)の分譲失敗地など大掛かりな既存分譲地を購入している。それも購入した分譲地は元々売れ残っているような分譲団地の土地で、破綻した会社のものや行き詰った会社から引き取ったものが多い。そのため安く取得できようが、完売するまで時間がかかりその間資金が固定化してしまう。
ミサワや積水が以前100~200区画の自社専用団地を作っていたが、単独開発の場合、1社だけの建物群で異様なムラを形成している。タマホームの購入世代は、若い第一世代が多く、そうしたタマホーム村には住むのを望まない世代である。
分譲型の住宅事業は、景気が良いと競争から土地購入価格も上がり、抱える土地も棚卸資産も多くなる。たいていピークになったところで景気が悪化してしまうのは世の常である。とどまる所を知らないタマホームが、安易に分譲地の開発や分譲地を購入すれば痛い目にあうこと必至である。

分譲型は売上の麻薬
 また、分譲地の建築条件付販売は麻薬の効能がある。売上高に土地代が含まれるため、売上高が膨張して急成長に見えてしまう。そのため土地を買い増し続ける結果を招く。また住宅販売が目的であるため、土地価格を抑えて販売することから、売上高に比し利益率が悪化し、収益構造が崩れていく。
 積水ハウスがこれまで成功してきたのは、レオパレスに見られるように、低金利を活用した資産活用アパートの展開が、住宅不況の中すべての事業を牽引したことにある。賃貸アパート建築事業は、ご存知の通り利回り計算により地主に提案できることから、建築利益も含めて利益率がとにかく高く取れることにある。資産活用アパートの提案事業は、左前のMDIがレオパレス21に化けたことや大東建託を見ても窺い知れる。
これまで、タマホームの属する戸建事業は、金融機関の不良債権処理が一巡し、金融機関からの企業融資も復活して景気が緩やかに回復、潜在顧客の収入も安定してきたからこそ拡大してきた。そうした時代背景下でタマホームも成長してきた。決して自社の住宅価格安だけの攻勢で景気に関係なく第一次取得者層に浸透してきたのではない。会社設立の平成10年頃からしばらくはそうであったろうが。今ではローコスト住宅会社が、木材会社によるプレカット技術が全国くまなく導入され、数多く設立されている。またタマホームのようには派手ではないが、地域に密着した宣伝を行ったり、面では各地にタマホームのライバルもいる。これまでタマホームは、圧倒的なパワーを背景に店舗展開して成長してきた。既に全国に165店舗の営業店舗を構え、現在太平洋ベルト地帯への進攻から北陸へ展開している。従業員も3,542名に達している。

広告率は売上高から利益に転換が必要
同社は大きく社会貢献もしている、しかしその全部が宣伝効果を狙ってのこと。今動いているイベント協賛だけでも全国に16、それにキムタクの宣伝もある。当然そうした販促費用は営業利益に関わってくる。それでも売上高が、これまでどおり快調に増加すれば吸収して問題ないが、売上高の伸び率が鈍化した場合、一機に問題が浮上する。ましてや分譲地の資産増加や投資用不動産の取得など論外である。膨れ上がった店舗も売上維持どころか、落ちる店舗も必ず生じる。消費不況の中で2割以上落ちている店舗も多いと聞く。新店舗効果で売上増加をはかり、売上減少店舗の対策を放置すればいずれ大きな問題が生じてくる。宣伝効果だけでは必ず限度生じてくる。

分譲型ではなくアパマンと業務提携は?
 土地についてはお客からの要望もあろうが、これまでどおり店舗の近隣の不動産会社と提携すれば可能であり、相互利益にもつながろう。また同郷の好(よしみ)でアパマンの大村氏と提携することを提案する。アパマンのネットワークと連動すれば、全国で優先的に土地情報を得、そうした土地情報をタマホームの来客者に提案することもできよう。
 不動産の先行取得とは、それほどリスクを伴うものである。

タマホームの経営は、これまで踊り場を儲けず猪突猛進している。玉木社長のタマホームを1兆円企業にする考えはそれなり評価するが、にここまで来れば自己資本の充実も必要である。しかし財務体質は借入依存体質となったままである。利益を計上していればよいというものではない。自己資本率50%を超える積水ハウスも景気の波をいくつも乗り越えて今日がある。
 

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[ 2009年8月31日 ]
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