アイコン タマホーム、タマちゃん研究①

ローコスト住宅の条件

福岡県筑後市の建設会社の息子であった玉木社長は、住宅部門の会社を設けローコスト住宅のアキュラホームと提携して急成長を遂げた。

この間、玉木社長は利益を全部営業戦略に注ぎ込み、モデル住宅展示場兼営業店舗を各地に開設していった。宣伝はラジオを中心に展開、その後テレビへ移行するが、利益をぜんぶそうした営業戦略に使用した。福岡ドームのホークスタウンにモデル住宅を建設するなど、あっと驚かせる「動く広告塔」の玉木社長であった(講演活動を積極的に行っていた)。
同社の注文住宅は安価であったことから住宅の一次取得者層を中心に瞬く間に出店地域を凌駕、売上高はトントン拍子に増えていった。


何故、安くできるのか

パワービルダーが台頭するまで住宅価格は、最低坪40万円といわれていた(プレハブ大手
メーカーの最低価格は45万円)。 パワービルダーは30万円を実現、その後258,000円を打ち出すタマホームなども出現した。
バブル崩壊後、関東でパワービルダーが台頭した。価格が既存工務店より格段に安く、土地込みでも庶民に手が届く範囲の価格帯で販売され、パワービルダーは急成長を遂げた。
その安さを支えたのは
① プレカット
プレカット工法の導入であった。プレカットでは家屋の構造をパターン化、柱材の  
接合部分を工場のNC加工機で加工し現場組みにして大工の工程を大幅に減少させた。工事期間の短縮化と価格安の両面を可能にした。こうしたシステム化により4~5ヶ月間の工期を2ヶ月に短縮して完成させることができた。短納期は資金や在庫を固定化させる期間が短くメリット大、建設会社は資金繰りもよくなる。
 今ではプレカット工場を持たない木材会社が整理淘汰されてしまっている。
② 図面の共通化
注文住宅ではあるものの顧客が、土地形状や方向などにより欲すると思われる作り
にモデルをパターン化している。いくとおりもの図面を前もって用意することで図面を新規に起こす必要もなく、設計代も価格安を実現させる一因となった。
③ 住設機器や施工業者に対する価格設定力
価格交渉力、年間契約棟数によりメーカーと直接交渉を行う力を持っている。シス
テムキッチン・ユニットバス・洗面・トイレなどの住設機器を、建材店を通さずメーカーから直接購入することで格安入荷を実現させている。
 仕事量を持っていれば、施工専門業者にしても単価安でお願いできる。
④ 営業コストの節約
営業経費の節約、ミニ分譲の場合、4~5棟同じ場所に建てるが、1棟だけ建て分
譲広告のチラシを近隣に大量に撒き、来店客に自社企画の住宅を販売するやり方であり、テレビ広告などは殆ど行わない。チラシ代などはタカがしれている。

以上のようなことから、パワービルダーは安く販売しても利益が出る仕組みを作り上げている。極一部の粗悪な業者以外は技術的な問題も今では顧客側も官庁もうるさくクリアーされている。
九州でも平成10年頃になるとプレカット工場が各地にできてきた。そうした工場を背景に、アキュラホームシステムなどプレカット工場と提携するシステム住宅販売会社が九州へも営業攻勢をかけ、タマホームも加盟した。

タマホームは加盟して、ローコスト住宅販売で大成功を納めた。同社は当初より急拡大をはかるため、利益を店舗展開と広告費用に全部注ぎ込んだ。その結果今では設立後10年間で1700億円企業のハウジングメーカーに変貌を遂げている。
 

twitter
[ 2009年8月 6日 ]
この記事の関連記事
スポンサードリンク
スポンサードリンク