しかし、その後、最大顧客の若者特に学生や高校生の懐が、親の不況や将来に対する不安からお小遣いが減じ続け、学生たちがマックでダベル金もなくなった影響を受けているようだ。
また、勤める若者も少子化が進行するなか派遣社員やアルバイトが限りなく増加しており、若者の可処分所得総体も大きく落ち込んできている。
外食産業全体にも言えることだが、こうした潜在顧客の生活の変化が大きく影響していると思われる。
　こうした売上高減少にＦＣ店舗の経営状態がどうであるか不明であるが、日本マクドナルドホールディングスそのものは大儲かりしている。
当然、一昨年来の円高が、牛肉等の輸入価格を押し下げた効果も現れていよう。しかし、円高も円安に振れ、同社の材料コストも上昇しているものと思われる。ただ、今期予想の売上高は前期比▲8.6％減の2,695億00百万円としながら、当期利益はなんと同9.6％増の141億00百万円としている。

これは原田社長が、これまでの売上至上主義から、利益第一主義の経営に大きく舵を切った現われである。結果、過去６年で直営店舗を６割以上減らし、利益を絶対確保できるＦＣ店を倍以上に増加させている。
また、利益拡大のためＦＣ店を含めドライブスルーの郊外型店舗を拡充させる一方、不採算店を閉鎖するとともに、不採算店も含めた直営店をＦＣ店に売却してきた。その結果、前期利益は堅調に推移させた。
ただ、こうした利益至上主義への転換では本体が利益を出しても、稼ぎ場所のＦＣ店舗の経営が疲弊したのでは、共倒れする危険性も孕む。共存共栄がいかに図られていくか、今後も注目されるところである。
　今後の景気回復次第では、客足もかなり戻ると見られ、同社の利益の拡大は続く可能性もある。