アイコン 再度の牛丼戦争 吉野家/2月決算 赤字転落 それでもやはり値下げ

吉野家牛丼のすき家と松屋は放し飼いの牧草を主食とするオーストラリア産牛肉を使 用、吉野家はBSE後も一貫して、畜舎で飼われ穀物飼料を主食とするアメリカ産牛肉を使用している。放牧されているオーストラリア産牛は、肉質がアメリカ 産に比べ硬いとされ、味も落ちるといわれている(味覚の鋭い人は判るという)。
しかし、穀物飼料を食するアメリカ産牛は、コストがかかり、放牧中 心のオーストラリア産牛より価格が高く、これまで吉野家は、すき家と松屋の牛丼戦争の蚊帳の外に置かれ、大きな赤字を露呈していた。吉野家の阿部さんが社 長に復帰(現在は河村氏に交代)、陣頭指揮を執り、業績は回復してきたかに見えたが、当期は再度赤字に転落してしまった。

牛丼の消費環境も変わってきており、ここに来て、吉野家を含む牛丼御三家が挙って値下げに入っている(松屋・すき家280円⇒250円、共にキャンペーン価格終了)。吉野屋以外はキャンペーン価格であったが、吉野家はアメリカ産牛肉の輸入規制が大幅に緩和されたことにより、調達コストが安くなり、通常価格で大幅値下げ(380円⇒280円)に踏み切った(4月18日より)。

しかし、円高のままならば、規制緩和でそうしたこともあろうが、現在は20%も円安に振れ、輸入価格は上昇しており、当期の業績の実態から、価格競争に加わらざるを得ない状況に追い込まれたのではと思われる。
同社では、これまで、仕掛けられた牛丼戦争において、牛丼価格には手をつけず(全店統一、キャンペーン除く)、牛鍋丼など別メニューを作り、価格対応してきたことから、牛丼を下げても影響は少ないと見ているのだろうか?しかし、牛丼は看板メニューであり、決してそんなことはないはずだ。やはり、最大の値下げ要因は、下図のように既存店の客数(▲6.8%減)が減っていることによるものだろう。

当ページの最下位には「すき家」の既存店の客数月別推移を掲載したが、「すき家」の場合、通期で▲10.5%も減少している。マック同様消費不況の影響からか牛丼離れが生じているのかもしれない。
今、急成長しているアークランド系「かつや」のカツ丼とんかつに客を奪われたなどいう話はまだ聞かない。
今回の吉野家の値下げは、同社にとって博打とも受け止められる。

吉野家 既存店の前年同月比の客数
12/3
4
5
6
7
8
 
99.7
92.6
85.0
96.3
95.8
95.7
9
10
11
12
13/1
2
通期
96.0
91.9
89.0
91.7
88.9
96.3
93.2
 
連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
10年2月期
179,602
-895
-476
-8,941
11年2月期
171,314
5,116
5,509
382
12年2月期
165,883
4,801
5,311
1,310
13年2月期
164,599
1,877
2,460
-364
前期/当期
99.2%
39.1%
46.3%
 
14年2月期連結予想
173,000
3,000
3,100
1,000
14/2期予想/13/2期比
105.1%
159.8%
126.0%
 
 
<すき家の客数月別推移>
すき家 既存店の前年同月比の客数
 
5
6
7
8
9
  
94.10%
87.90%
93.80%
88.70%
88.50%
88.30%
10
11
12
13/1
2
3
通期
87.20%
86.50%
91.80%
89.20%
89.50%
88.50%
89.50%
 
[ 2013年4月16日 ]
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