アイコン 2013年 国内のスイーツ市場/富士経済

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、2013年2月~4月にかけて国内のスイーツ(和・洋菓子)市場を調査した。
その結果を報告書「スイーツ市場のチャネル別需要分析調査 2013」にまとめた。
こ の調査では、小売市場として量販店、CVSなど5チャネル、交通ルート市場として駅ナカ・駅ビルなど3チャネル、外食市場としてコーヒーショップ、ファミ リーレストランの2チャネル、計10チャネルにおける洋菓子10品目、和菓子8品目の市場について現状を分析し、今後を予測した。
 また、注目商品としてCVSのチルド和菓子、クリスマスケーキ、ひなまつりケーキを取り上げ、更に業務用商品として冷凍ホットケーキ・パンケーキや冷凍ホイップ済みクリームなど6品目についても調査・分析を行った。

<調査結果の概要>
1. スイーツ市場
 バウムクーヘン、ロールケーキ、マカロン、ラスクなどこれまで様々なブームが起こったが、2012年は一つの商品による大きなブームは見られず、市場全体として定番回帰の流れの中で既存商品のブラッシュアップ、フレーバー展開の拡充が中心となった。また、付加価値商品を求める“プチ贅沢”需要と身近な人への“プチ手土産”需要、この二つのトレンドを意識した商品が数多く展開され需要の裾野を広げている。
 1)小売スイーツ市場(小売ベース)
           2013年見込  前年比
 小売スイーツ 7,457億円   100.6%
 CVS       1,812億円   102.5%

 CVS、量販店、スイーツショップ(チェーンスイーツ・個店スイーツ)の小売スイーツ市場を対象とする。CVSでは利便性、量販店では値ごろ感を強みとした自家消費向けが主体となっていたが、自家消費でもより本格的なものを求める傾向がみられ、プチ贅沢をキーワードに本格嗜好の商品の展開が進んだ。一方、チェーンスイーツではフォーマルギフトと一線を画した手土産需要の開拓が図られている。
 CVSでは、2009年のローソン「プレミアムロールケーキ」の大ヒットでCVSスイーツの認知度が高まり、各チェーンでブランドを冠したスイーツがシリーズ化されるきっかけとなった。以降、洋生菓子が市場を牽引してきたが、2012年にはチルド和菓子の専門ブランドも立ち上がり、各チェーンが更に注力度を高めている。また、スイーツ単体としてだけでなく、カウンターコーヒーとセットで焼菓子が購入されるなど、相乗効果による拡大も期待される。CVSスイーツが注目されてから数年経ち、一時期のような急激な拡大には至ってないものの、次々に新商品が発売され市場は安定した推移を見せていることから、2013年も前年比2.5%増が見込まれる。今後はプチ手土産需要の獲得が市場拡大の鍵となると見られ、手土産用バッグやパッケージの価格非表示などが進んでいる。

 量販店ではファミリーユースが主体であるものの、個食タイプの需要が高まり、これらの商品が増加している。しかし、価格に対してシビアなチャネルであり、付加価値商品でもいかにコストを抑えて展開するかが求められる。

 スイーツショップは、洋生菓子の売上構成比が5割以上の店舗を対象としている。洋生菓子の中ではケーキの比率が高く、焼菓子なども含めると洋菓子全体で9割以上を占める。カットケーキ、プリン、シューはCVSへの需要流出で苦戦しており、CVSでの展開が少ないホールケーキに注力するメーカーが見られる。

 なお、上記の数値には含まれないが百貨店では2012年で4,617億円の前年比0.8%増となった。ギフト需要が主体であり、特にバレンタインデーやホワイトデーをはじめとするイベント需要が高い。2012年、2013年と増床・改装が続いており、来客数の増加による市場拡大が見込まれる。しかし、CVSや駅ナカ・駅ビルへの需要流出が見られることから、菓子メーカーが企画するスイーツブランドやマシュマロ、キャンディー、ポップコーンなど、これまで注力してこなかったカテゴリーへの取り組みが進んでいる。 

2)交通ルート市場(小売ベース)
           2013年見込   前年比
 交通ルート   3,473億円    101.2%
 駅ナカ・駅ビル 1,909億円    101.4%

 交通ルートでは、土産需要が高く、駅ナカ・駅ビルで6割、空港で7割、高速道路SA・PAでは8割以上を占める。出張先や旅行先が判りやすい、認知度の高い商品、地名が書かれている商品、特産物を使用した商品の需要が高く、「ここでしか買えない」と希少性を訴求したものが好まれる傾向にある。
 駅ナカ・駅ビルでは土産需要以外にも、帰宅時の会社員、休日のファミリー層の自家消費需要の獲得を狙った出店が見られる。施設数の増加によって市場も拡大しており、2013年は前年比1.4%増が見込まれる。

2.注目商品
 1)CVSチルド和菓子(小売ベース)
  2013年見込   前年比
    112億円   121.7%
 CVSスイーツは従来洋生菓子を中心に展開されていたが、2012年に入り主要CVSチェーンがチルド和菓子の専門ブランドを立ち上げるなど、和菓子への注力度が一気に高まった。大震災以降高齢者を含む幅広い層がCVSを利用するようになったことも追い風となり、2012年は前年比29.6%増となった。
 常温和菓子は日持ちさせるために砂糖の使用量が多いが、チルド帯にすることで砂糖の使用を抑えられる他、生クリームなどを使用した和洋折衷の商品を展開することで、専門店の和菓子との差別化を図っている。これまでCVSで展開されてきた常温和菓子とのカニバリも懸念されたが、常温和菓子は男性客が多いのに対し、チルド和菓子は女性客の購入が多く見られ、30代以上の女性による新たなマーケットが築かれている。チルド和菓子が来店客の女性比率を高める起爆剤になるか、今後が注目される。
2)業務用冷凍ホットケーキ・パンケーキ(出荷ベース)
 2013年見込    前年比
 14.8億円     105.0%
 ホットケーキ・パンケーキは、軽食メニューやデザートメニューとして子どもから大人まで幅広いユーザーに好まれる。冷凍ホットケーキ・パンケーキは特別な下ごしらえを必要とせず必要な量をその都度加熱して短時間で提供できる手軽さが支持され、ファストフードの朝食メニュー、ファミリーレストランのお子様メニューやデザートメニュー、喫茶・カフェでの軽食メニューに採用されている。
 2010年にハワイ発祥のパンケーキとオムレツの専門店「エッグスンシングス」が日本に初出店して以降、海外のパンケーキ専門店が日本への出店を進めている。冷凍ホットケーキ・パンケーキは元々安定した需要を獲得していたが、パンケーキブームでカラオケボックスや居酒屋などでも採用されるようになった。2012年は前年比8.5%増となり、ブームが続いている2013年も拡大が見込まれる。
 

[ 2013年6月20日 ]
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